公開中の映画や話題のレンタルDVD・ブルーレイのおすすめ映画情報なら、T-SITEニュース 映画

たけし節炸裂!「お笑いのために人間国宝になりたい」北野武×藤竜也 独占インタビュー

2015年4月24日(金) 06:00配信

『龍三と七人の子分たち』北野武監督と、主演の藤竜也

『龍三と七人の子分たち』北野武監督と、主演の藤竜也

北野武監督の2年半ぶり17作目となる最新監督作『龍三と七人の子分たち』が4月25日(土)に公開される。今までのヤクザ映画の常識を大きく飛び越え大ヒットを記録したアウトレイジ(2010年)、アウトレイジ ビヨンド(2012年)。その北野監督が世に放つ新たな作品の主人公は、引退した元ヤクザのジジイたち!

オレオレ詐欺に騙された元組長・龍三が昔の仲間7人を呼び寄せ、詐欺集団の若者を成敗しようと立ち上がる姿をコメディ・タッチに描く。本作には北野映画の真骨頂である暴力描写がなくR指定もないため、世代を超えて楽しめる一大エンタテインメントだ。

主人公の龍三を演じるのは、北野作品に初参加となる藤竜也。加えて、近藤正臣、中尾彬らベテラン俳優が脇を固め、主要キャスト8人の平均年齢はなんと73歳。また、北野監督もビートたけし名義でヤクザを取り締まるマル暴に扮する。

そこで、北野武監督と藤竜也にT-SITEが単独インタビューを敢行し、撮影の裏話や現代の社会問題、そして“素敵なジジイ”になるための方法を直撃した。

お笑いだからこそ、キャスティングは「ちゃんとした役者で」

─本作は高齢化社会などの社会問題をコミカルに描いていますが、このアイデアやリアルな台詞というのはどこから湧いてくるのでしょうか?

「本職のお笑いをやりたかった」(北野)

「本職のお笑いをやりたかった」(北野)

北野武(以下K):同じシリーズばかり撮っていたら飽きるからたまには隠し技みたいに、本職のお笑いをやりたいなと思ってね。いざ映画化することになったら、キャスティングはどうしようってなって。

お笑いだから、コメディアンを使ったら吉本新喜劇みたいになるからね。あれは舞台だからいいけど、映画となると役者がちゃんと演技して、それで笑わせられるような状態でないと。それがダメだったら『みんな〜やってるか!』(1995年)みたいになるからね。お笑い自体をバカにするというか。だからちゃんと撮るなら、ちゃんとした役者を揃えてほしいとキャスティングの担当に頼んで。台詞はほとんどできていたから、キャスティングの問題だけで、あとはやるかやらないかだけだった。

─それだけ重要視していたキャスティングですが、キャストの決め手とは?

K:藤さんが出てくれる、ということになって、そうするとあとはちゃんとした芝居ができるベテランの役者がいて、龍三と子分とのつなぎ役で近藤(正臣)さんがいてって決めていった。キャスティングはなかなかうまくいったと思うね。

─藤さんは北野作品初出演ですが、オファーを受けた時と出演後では北野監督の印象は変わりましたか?

オファーをもらったときは、お年玉とクリスマスプレゼントを両方もらった感じ(藤)

オファーをもらったときは、お年玉とクリスマスプレゼントを両方もらった感じ(藤)

藤竜也(以下F):これまで北野監督とはあまりお会いしたことがなく、作品を通してしか知らなかったのですが、いつかは北野作品に出てみたいと思っていたので、オファーをいただいた時は、お年玉とクリスマスプレゼントを両方もらったような感じでした。今回、一緒に仕事をやらしてもらって、また監督の次の作品を観てみたいなと思います。

─これまでヤクザ役はたくさん演じられてきたと思いますが、ヤクザを引退した龍三を演じるに当たり、役作りはどうされましたか?

F:監督からの要望はとくになかったですね。引退した方は時間がありますからね、いろんなことを工夫してやっているんですよ。僕も普通だったら会社を引退している歳ですから、「やりたい」という気持ちを龍三さんでやらせてもらったって感じです。あんな風に生きてみたいですよね、できるなら。羨ましいですよ。

耳が遠い! カンペが見えない!

─「五寸釘のヒデ」「早打ちのマック」などのユニークな七人の子分のキャラクターはどうやって作り上げたのでしょうか?

K:黒澤(明)監督の『七人の侍』や『荒野の七人』みたいに登場人物には得意技があるじゃない。それを入れたいなと思ってね。それで、安田(顕)さんが演じる京浜連合のボスは今風なヤクザだから、絶対ダーツをやっていると。それにナインダーツを五寸釘で当てるじいさんがいたり、スティーブ・マックイーンに憧れる年寄りがいたり。エピソードがいっぱいあって、台本をそうやって書いていったもんだから、キャスティングがうまく当てはまったね。

─ベテラン俳優がそろった現場の雰囲気は?

K:けっこうゾーンにハマったね。何回やっても台詞がでてこないっていう人もいたよ。そういう時は「台本を読んでいいですよ」って机に台本を置いたら平気で本番でも読んでいた(笑)。そんで台本を見えないようにして、そのシーンを映画で使ったからね。あと、「用意スタート!」の声が聞こえなくて「えっ?」「俺かい?」って言う人がいたり(笑)。現場でカンペを書いて見せても「小さくて見えない」って言うから段々とカンペが大きくなって、寄りで撮るからカメラからカンペが見えないように、相手の背中に貼ったりいろんなことをしているんだよね(笑)。味があって面白い現場だったよ。

─台詞の掛け合いが面白かったのですが、何度もリハーサルをされたのですか?

K:言葉の掛け合いは、流れで撮らないで、単独で1個ずつ撮っていったね。あとは編集の時に漫才のタイミングでこの台詞をこの“間”で入れてくれって指示をしたから、音声さんが大変だったと思うよ。フィルムだと何コマって言えるんだけど、デジタル編集になっちゃうからね。役者に漫才の“間”でやってくれと言ってもそれは無理だから。でも一言が一言がうまいから、つっこみのタイミングは編集で補って。どの掛け合いも漫才だね。

─笑いの要素を意識して台本や演出に入れられたのですか?

K:お笑いって落差なんだよね。チャップリンじゃないけど、バナナの皮が道にあって転ぶのが普通のおやじや可哀想なおじいさんが滑っても笑えない。大金持ちや総理大臣なんか偉い人が転んだほうが面白い。自分はコメディアンでテレビタレントだけど、とにかく偉くなりたいわけ。名誉とかではなく、落差を付けるためにね。お笑いのために人間国宝くらいになりたい。そんで逮捕とか剥奪とかになるのが一番面白いよ(笑)。だから偉くなったほうがいいの。映画でも藤さんが演じた龍三は、かっこよくて怖いからいいの。これがコメディアンだったら全然受けていないね。

アナログの迫力でカーチェイスを再現したら…

─クライマックスのバスのカーチェイスシーンは大迫力でした。撮影秘話を教えてください。

K:あれはね、カーアクションにCGを使ってないの。アナログの迫力と面白さを出したかったから、名古屋の商店街を貸してくれたのは有り難かったね。あそこにセットを作って何回も壊していたんだけどね。CGを使えばバスが飛んだり、車がひっくり返ったりするけど、それやっちゃうと『トランスフォーマー』みたいになっちゃうからね。

今のCGって有り得ないようなやり過ぎが多いからね。真面目なギャング映画でもCG使ってめっちゃくちゃやるから、コミックみたいになってて。『ダイハード2』は400人乗りのジャンボジェット機を落としているのにR指定じゃなくて、俺のは2人くらいしか刺してないのにリアルだからってR指定なんだって(笑)。

─実際にそのバスに藤さんは乗っていましたが、撮影はいかがでしたか?

K:藤さんが偉いのは、龍三は右手の薬指と小指がないから、映らないように、ちゃんと残りの指3本でバスに掴まっていたんだって。何度も撮ったからヘトヘトになったんだって(笑)。バスに乗っている役者は細かいところまで芝居してたね。

F:指3本で掴まるの疲れるんですよね。本当にすごい運転でしたからね、バスは遠心力で左右に引っ張られて。バスと同じ高さに障害物があって、どんどん当たっていくから、バスのガラスも割れたし、あれはすごいアクションシーンでしたよ。

俺曲がったことしかしない(笑)

─本作にはGG(ジジイ)イズム「財産は全部使い切ろうとしている」「曲がった事が許せない」「身体も硬いが、頭も固い」などがありますが、お二人がモットーにしている“イズム”があれば教えてください。

「財産なんかないよ。全部取られちゃってる」(北野)

「財産なんかないよ。全部取られちゃってる」(北野)

K:財産は全部使い切ろうとしている……そんなの端から無いよ。全部取られちゃってるから(笑)。曲がった事が許せないんじゃなくて、俺は曲がった事しかしない(笑)。あと、頭は固いが一ヵ所硬くならないところがあるとか(爆笑)。

今回の映画の元ヤクザたちは、スジが通っているから、それなりのモットーがあるけど、俺には一切そういうのはないね。一般の人よりも昔気質の人のほうがスジだけは通すからね。しっかりしてるよ。

─勝村さん演じる息子の龍平と龍三の話が噛み合わないところも笑えましたが、最近の若者についてどうお考えですか?

K:若い人は世の中の風潮かもしれないけど、強引に夢を持てとか、ちゃんとした仕事を見つけろとか、社会がプレッシャーかけすぎなんじゃないかな。何もやんない権利もあるし、悪いことやらなきゃね。下手に他人様の子供を傷つけるよりは家でゲームやってるほうがいいと思う。そんで食えなくなったらその時は働くしかないんだから。今は自由を強制しているから自由じゃないよ。自由って何も思わない自由もあるわけだし。早くやりたいことを見つけなさいって言っても見つかんない子だっているし。子供の生き方を強制している気がするな。

世の中「基本的にはうまくいかない」

─それでは、お二人のような“素敵なジジイ”になるためにはどうすればいいのですか?

「一生懸命一本一本やってきただけ」と語る藤竜也

「一生懸命一本一本やってきただけ」と語る藤竜也

K:我々の中学の時は、1学年16クラスで約1,000人いて、3学年で約3,000人、夜間学生を入れると約5,000人いたわけ。

5,000人いると先生は名前を覚えてないし、進学校だったからバカは相手にされないし、勝ち抜き戦なんだよね。たまに浅草に帰ると「ツービートのおかげで何人の芸人がダメになっているのかわかっているのか?」と飲み屋で説教されるんだけど。運と実力の二つがうまいこと噛み合わなければいけないので、夢叶わずともよしとしないと。努力するのは、宝くじを買い続けることであって、当たることではないんで。

努力しなきゃ当たんないから、その努力している人の中で運が良かったり、チャンスに恵まれたり、色んな条件が揃って芸人や役者として認められたりするところがあるからね。「基本的にはうまくいかない」って思っていたほうが楽じゃないかな。

F:僕は一生懸命に一本一本やってきただけ。大手の映画会社に所属していたけれど、そこに300~350人専属俳優がいるわけで。当然一番下からスタートして浮上できるかできないかは、さっき監督が言ったように運と努力ですよね。それを考えると僕もちょっと危なかったと思いますよ。ここまで浮き上がってこられて幸せですよね。

K:その300人の専属俳優に入るのにも何万人も応募しているわけだから、そこからまた勝ち抜き戦だから。『THE MANZAI』の予選に出られるだけで3,500組だからね。10年とかのキャリアを持っている強者もいて、その予選に勝ち残るのも大変で、決勝に残るだけで大したものだと思うけど。実際、それでどこに残ったって、テレビ局で漫才を使ってくれるかって保証もないし。だから、そういう商売だからしょうがないけど、続けることだよね。ただ、覚悟しないといけないのはいつ当たるかわかんないけど、一生当たんない可能性もあるってことだね。

若い時から記憶に残る「“進駐軍”の空気」(藤)「志ん生の落語」(北野)

─「これだけは見ておいて損はない」と若者にすすめられるような、若い頃に触れた文化はありますか?

F:僕は戦後の横浜の焼け野原の日本人と進駐軍とが混在している空気が忘れがたいね。小学生の僕にはものすごくインパクトがあってね。GIと日本人とでは着る服も体格も全く違うので、当時はかっこよく見えて、いまだにずっと頭に残っていますね。

昭和の噺家・古今亭志ん生

「梅春」の名前を持つ北野監督が愛してやまない昭和の噺家・古今亭志ん生

K:俺は相変わらず、(古今亭)志ん生さんを聴いてるね。この間、落語をやってみたんだけど(立川)談春さんの前説で。梅の春と書いて「ばいしゅん」という名前を持ってて。急にめくりをめくったら「梅春」って書いてて、誰が出てくるのかと客がざわついていたら、俺が出てきて。

アウェイだから大丈夫かなと思ったけど、出ていっただけでまあまあ笑ってたから良かったなと思ってね。そんで、「野ざらし」やろうとして大失敗したの(笑)。(古今亭)志ん朝さんもやっぱりすごいけど、同じ噺を志ん生さんで聴くと、骨董品だとしたら国宝に近いよね。

(取材/文:クニカタマキ)

『龍三と七人の子分たち』
4月25日(土)全国ロードショー
監督・脚本・編集/北野武
出演/藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉澤健、小野寺昭、安田顕、矢島健一、下條アトム、勝村政信、萬田久子、ビートたけし
配給/ワーナー・ブラザーズ映画、オフィス北野
ryuzo7.jp
(C)2015『龍三と七人の子分たち』製作委員会

ゴールデンウィークはジジイが暴れる!

ゴールデンウィークはジジイが暴れる!

【GWなんて関係ない?激シブおやじが大暴れ編】2015年のゴールデンウィークオススメ映画3選


「北野武」の関連記事

このタグがついた記事をもっと見る

ビートたけしの作り方

ビートたけしの作り方

出演者 北野武  ビートたけし  田中邦衛  星由里子  高林由紀子  ルー大柴  鷲尾真知子  諸星和己  小林聡美  石丸謙二郎  中江有里 
概要 93年10月からフジテレビ系列で放送された人気バラエティ番組。ビートたけしがウッチャンナンチャンやトミーズらとともにコントやトークを繰り広げる。三谷幸喜脚本による連続コント・ドラマ「大家族主義」なども収録。

 作品詳細・レビューを見る 

北野武 監督全集

北野武 監督全集

出演者 北野武 
監督 北野武 
概要 『その男、凶暴につき』から『菊次郎の夏』までの全9作を集めた北野武監督の作品集。来春公開予定の新作の情報収録の特典ディスク付き。初回限定生産につき注意!

 作品詳細・レビューを見る 

この記事が気に入ったら、
いいね!しよう。

Twitterでも最新記事をチェック!

この記事を読んだ人におすすめの記事

こちらの記事もおすすめ

この記事を読んだ人におすすめの作品

アーティスト情報

北野武

生年月日 1947年1月18日(71歳)
星座 やぎ座
出生地 東京都足立区梅島

北野武の関連作品一覧

藤竜也

生年月日 1941年8月27日(76歳)
星座 おとめ座
出生地 神奈川県

藤竜也の関連作品一覧

関連サイト


カテゴリー

T-SITEニュース エンタメトップへ戻る

アクセスランキング

  1. マンウィズ、[ALEXANDROS]、My Hair is Badら14組が競演!ツタロックフェス2018ライブレポート

    1位

  2. 【インタビュー】月9デリヘル嬢役・今田美桜 高橋一生が引き出した“福岡で一番かわいい女の子”の色っぽさ

    2位

  3. 【第6話あらすじ】『花のち晴れ』波乱の“Wデート” 平野紫耀が涙の告白!?

    3位

  4. 【2018年1月~4月】TSUTAYA写真集ランキング 昨年覇者・白石麻衣の座を長濱ねるが継承?

    4位

  5. 2018年人気急上昇! 注目のロックバンド10選!

    5位

本日の人気記事ランキングTOP30

人気の画像

  • 小倉優香、『チア☆ダン』「JETS」センター役に大抜擢!
  • 『けものフレンズ』で大ブレイクの美少女声優・尾崎由香、初の写真集を発売!
  • ナニワのブラックダイヤモンド・橋本梨菜、ヤンジャンに堂々登場
  • 有村架純、初セルフプロデュース 25歳の「今」が詰まった写真集発売
  • 可愛すぎる音大生・みうらうみ、「グラビアン魂」に初登場
  • 出口亜梨沙、“大人エロス枠”で初表紙飾る
  • 【2018年1月~4月】TSUTAYA写真集ランキング 昨年覇者・白石麻衣の座を長濱ねるが継承?
  • エロかわいい音大生・みうらうみ、再びグラビアに登場
  • 元GEM・南ななこ、初グラビアは昭和レトロな銭湯!“美バスト”を披露

TSUTAYA ランキング

TSUTAYA MUSIC PLAYLIST

TSUTAYA MUSIC PLAYLISTをもっと見る

TSUTAYA映画通スタッフおすすめ

TSUTAYA映画通スタッフおすすめをもっと見る

SNS・RSS