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「真っ先に考えたことは、赤塚先生ならどうするかなということ」―映画『天才バカヴォン』FROGMAN監督×瀧本美織インタビュー

2015年5月25日(月) 20:28配信

FROGMAN監督、ネロ役の瀧本美織

FROGMAN監督、ネロ役の瀧本美織

今や、FLASHアニメ『秘密結社 鷹の爪』ですっかりおなじみとなったFROGMANが、漫画界の巨匠・赤塚不二夫の「天才バカボン」と世界名作劇場の「フランダースの犬」を同じ世界へ取り込むという離れ業をやってのけた。一見水と油のようなこの作品がFROGMANの手にかかると、これが見事なまでに融合。完全に自分の作品として仕上げたFROGMAN監督と、その監督が「仕事をしたかった」という女優・瀧本美織を声優の一人に起用した『天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~』。本作における二人の想いとは―?

企画が通れば「エイリアン」×「天才バカボン」だった!?

過去、バカボンでイベント向けのショートムービーを作成したことがあったFROGMAN(以下:監督)のもとには「赤塚不二夫生誕80周年記念作品を『天才バカボン』で作って欲しい」という企画が舞い込んだそう。「前回はショートかつイベント用だったので気楽だった」というが、今回の企画は長編映画。もちろん“気楽”には行けない。そんな時監督は「真っ先に考えたことは赤塚先生ならどうするかな」ということを考えたという。

「赤塚先生は何でもかんでもハチャメチャにするのがスタイルだし、作品を見れば分かるのですがパロディだったり、コラボや風刺が随所にある。じゃあ、もうタイトル観ただけで『なんじゃこりゃ?』っていうものを作るべき」―そう考えた監督は何と、当初アメリカの『エイリアン』とバカボン一家を戦わせようと思ったという。しかし結果はもちろん(?)「ノー!」。ちなみに、それならと『プレデター』で勝負するも、答えは「ノー!」。

「天才バカボン」誕生からまもなく半世紀/(C)天才バカヴォン製作委員会

「天才バカボン」誕生からまもなく半世紀/(C)天才バカヴォン製作委員会

ちょうどフランダースの犬が40周年…

海外が難しいと考えた監督は、日本国内に目を向ける。その時「ちょうどフランダースの犬が40周年だった」ということで考え始めた時、幼少期に観たフランダースの犬のラストを思い出した監督はそこにヒントを見出す。「ラストのシーン、ネロとパトラッシュは天に召されるんだけど、それが結構トラウマというか。なんでそこでニコニコしながら天国に行くのかな、村人を恨んでいないのかな、不思議だなというのがあって」という想いから別のエンディングを描くことを決めたという。「なので、地獄に堕ちて、その恨みを抱えて蘇ってバカボン一家と対決するという話にしたんですよ」

決してコラ画像ではない、奇跡のコラボ。/(C)天才バカヴォン製作委員会

決してコラ画像ではない、奇跡のコラボ。/(C)天才バカヴォン製作委員会

版元をどう口説き落とすか?

とはいえ、そう簡単に子供の頃の想いが消化できるはずもない。この企画を通すには「日本アニメーション」と「フジオ・プロダクション」の双方を口説き落とす必要があった。しかしそこは監督の熱意と、作品に対するリスペクトが伝わったのかOKをもらうことに成功する。実際「細かいことの調整が入ると思っていましたが、ほとんど入らなくて。すごく作りやすかった」と語る通り、普段は厳しい両者も「今回はFROGMANがやりたいようにやってくれ」と背中を押してくれた。

そして実際の完成作品を観た赤塚りえ子氏(フジオ・プロダクション社長)は「終わった後涙を拭っていて『感動した…凄い良かった』って仰ってくれた」という。「その言葉が何よりですね」という監督。「原作者や権利元に認めてもらうっていうことは、こういう作品の場合、仕事の半分はそこにかかっていますね」。

きっと、最初はこんな反応だったに違いない。/(C)天才バカヴォン製作委員会

きっと、最初はこんな反応だったに違いない。/(C)天才バカヴォン製作委員会

瀧本美織の起用は、監督の奥さんが事の発端?

監督の奥さん発信で「瀧本美織ちゃんってカワイイのよ。鳥取出身なのよ」という発言もあり、島根に住んでいた監督には「山陰出身の女優さんということもあって、すごく親近感があった」という瀧本。そんな中、WOWOWのアカデミー賞の中継を目撃した監督は「こんなに美人なのか! これは一度仕事をしなければ!」という想いを抱き、さらに「『風立ちぬ』のヒロイン役がすごく良かった」と決定打となる作品で確信し、ネロ役にオファー。

「オリジナルのネロの声はすごく子供っぽくて天真爛漫。だから瀧本さんの声ってぜんぜん違うけど、抑えた中でも暗いんじゃなくて、純粋さが上手く表現できると最初から思っていた。瀧本さん以外のオファーは考えていなかった」と一点買い。結果、見事起用に至った。

一見優しいネロも…。/(C)天才バカヴォン製作委員会

一見優しいネロも…。/(C)天才バカヴォン製作委員会

ジブリから、FROGMANまでの幅広さ

「コメディは自分も好きでずっとやってみたいと思っていた」という瀧本は、監督の一点買い発言に「今回本当に一緒に仕事ができて嬉しい!」と満面の笑み。そして「宮﨑駿からFROGMANまで(笑)」という監督の言葉に「自分の中でも幅が広げられましたね、監督のおかげで(笑)」と貪欲さを見せる瀧本。それでも本作の設定には「自分の中でもフランダースの犬が綺麗に終わっていたので、地獄から蘇るんだ…って思って(笑)。監督凄いなと」と驚きを隠せない。

監督のスタイルは、絵のないところでの音声収録~絵作り。絵のない状態は初めてという瀧本は「どこまでやったら…という妄想はしていたけど、監督が丁寧に導いてくださったので、結構自由にやらせてもらいました」と振り返り、監督も「やっぱり勘がいいし、コメディのセンスもすごくある」と絶賛。ほとんど演技指導はなかったそう。「人を笑わせたりするのが好きなので。笑って楽しんでいただければ本当、本望ですね」と瀧本は役に自信を見せている。

いわゆる“ダークサイド”も全開/(C)天才バカヴォン製作委員会

いわゆる“ダークサイド”も全開/(C)天才バカヴォン製作委員会

また、「何も知らないでやるときのほうが、一番新鮮で面白い」という瀧本。「本番よりテストが面白かったり良かったりするんだけど、やっぱり本番が使われちゃったりとか…そういう自分の中での憤りみたいなものも感じはじめていて。結構悩んでいるところ」とその胸の内を明かすが、この作品を観て背中を押されたという「自分で制限しちゃうんじゃなくて、限界はないんだっていう前向きなメッセージを頂きました」。

赤塚さんは真面目にバカをやっている

この作品は一見「くだらない映画」とふざけているように取られがちかもしれない。しかし、話の内容はもちろん、キャストの本気具合いやクレイジーケンバンドの主題歌など、映画を通して観た時の筋がしっかりしていて、悪い期待を見事に裏切る作品になっている。

「赤塚先生の笑いは、いわゆる遊び慣れた大人たちがやる悪ふざけ」と語る監督は、「そこはすごく僕らもちゃんとやらないといけないなと思った」という。「僕らが笑いの常識だと思っていることは、赤塚さんがすでに40年前にやっている。今回の作品で赤塚不二夫さんを超えたつもりでいたところが、全然そうじゃないことを再認識出来たチャレンジですね」

エンディングのクレイジーケンバンドがまたグッとくる/(C)天才バカヴォン製作委員会

エンディングのクレイジーケンバンドがまたグッとくる/(C)天才バカヴォン製作委員会

天才バカボンは日本人の情緒にすごく合わせた笑い

また、監督は、海外映画祭での受賞履歴もある。つまり、この作品も海外を視野に入れていたのでは?と思ったのだが実際はそうではなかった。「うちの会社がすごく海外に近い会社」と前置きしつつ、「作っていて分かったのは、鷹の爪は海外に持って行ってもウケる笑いのポイントがあるけど、天才バカボンは日本人の情緒にすごく合わせた笑いだということ」。そういうこともあって、海外は諦めたという。それでも「国を選べばバカボンも海外進出はあるかな」とその可能性は否定しなかった。

本作を「気負わずに楽しく観に来てくれたら。そこで感じたことが人それぞれ違ってもいいし、それが全て」という瀧本と、「バカボンというのは日本の漫画とかアニメとか、コメディのルーツみたいな作品。若い人は赤塚さんの作品ってそんなに触れ合えていないと思う。これをきっかけに知ってもらいたい」という監督。

「この作品がオモシロイと思ったら本物のバカボンも観てほしいと思っていますし、それぐらい天才バカボンっておすすめの作品です…って最後に自分の作品よりバカボンの宣伝になっちゃったな(笑)」

(C)天才バカヴォン製作委員会

(C)天才バカヴォン製作委員会

不可能を可能にした監督が、TVや映画の業界を経て学んだことは、「自分が作りたいものとみんなが観たいものが交差するところの作品を作る。それができるやつが本当のプロ」。“クリエイターにはなりたいものの、クリエイターになり過ぎないように”―このバランスの妙がFROGMANらしさなのかもしれない。

衣装協力(瀧本美織):テッド ベーカー ジャパン(03-6447-1755)、ケイト・スペード ジャパン(03-5772-0326)


映画『天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~』
5月23日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー

監督・脚本:FROGMAN (「秘密結社 鷹の爪」etc.)
出演:FROGMAN、瀧本美織、濱田岳、犬山イヌコ、岩田光央、金田朋子、上野アサ、澪乃せいら、桃(FROGMANの愛犬)、秋本帆華(チームしゃちほこ)、上島竜兵(ダチョウ倶楽部)、村井國夫
主題歌:クレイジーケンバンド「パパの子守唄」(ダブルジョイ インターナショナル / ユニバーサル シグマ)
オープニングテーマ:チームしゃちほこ「天才バカボン」(ワーナーミュージック・ジャパン)
音楽:manzo
制作:DLE
制作協力:フジオプロ/日本アニメーション
企画協力:ぴえろ
製作:天才バカヴォン製作委員会
配給:東映


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アーティスト情報

FROGMAN

生年月日 1971年4月9日(47歳)
星座 おひつじ座
出生地 東京都

FROGMANの関連作品一覧

瀧本美織

生年月日 1991年10月16日(26歳)
星座 てんびん座
出生地 鳥取県鳥取市

瀧本美織の関連作品一覧

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