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「かたちは違うにせよ、共感できる部分がたくさんありました」―映画『ストレイヤーズ・クロニクル』岡田将生インタビュー

2015年7月1日(水) 23:30配信

岡田将生

岡田将生

エヴァーグリーン。このひとには、変わらない魅力がある。初めて話をしたのは映画『天然コケッコー』の撮影現場でのことだった。少しはにかみながら話す、けれどもその奥底には、揺らがぬ何かがある。それはたとえば、自分を決して過信しないというデリカシー。
2006年にデビューしてから10年目を迎える。最新主演映画『ストレイヤーズ・クロニクル』をめぐって、岡田将生に「変わったこと」と「変わらないこと」を訊いた。

「瀬々監督と一緒に映画を作りたかった。結果、瀬々監督にとっても、僕にとっても、挑戦になりました。アクションで感情をあらわすのは初めてのことでした」

本多孝好の人気小説シリーズの映画化。望まぬ力をもった特殊能力者同士の戦いを描くが、岡田にとって最重要だったのは『アントキノイノチ』でタッグを組んだ瀬々敬久監督との再会だった。

「僕が演じた昴は、優しい青年でありながら、すごく葛藤して生きている。グループのリーダーとして、正義を模索しながら。でも、能力がある、なしにかかわらず、みんな悩みながら生きているじゃないですか。だから、かたちは違うにせよ、共感できる部分がたくさんありました。悩みながら生きている姿は、美しいし、はかないと思います。監督からは『ずっと葛藤していてくれ』と言われていました。苦しかったけど、僕を支えてくれるチームがいたし、僕もチームを支えていました。支えてもらうことで、一緒にいて、すごく気持ちのいい空気が流れる瞬間があって。みんなにすごく助けてもらっていました。一緒の空間にいると、ちょっと心が和らいだり。顔を見ているだけで、みんなのことを考えたり。今回は僕がいちばん年上で、これまで(撮影)現場ではそういうことがなかったので、そういう感情って、あんまり生まれなかったんですけど、自分のことより心配になるんです。『大丈夫?』って。それは新しい経験でしたね」

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

若手俳優たちとの共演。中には10歳年下、つまり、デビュー当時の岡田と同年齢の若者もいた。支えること。支えられること。それを、あらためて考えた。

「僕は強い人間じゃない。むしろ弱い人間なんです」

そう話すが、これからはどんどん自分より若い役者との共演も増えていくだろう。現在25歳の彼にとって、「リーダー」とはどのような存在なのだろう。

「自然と人が集まってくる、この人についていきたくなるような背中をしている人は、リーダーとして素敵だなあと。自然と、その人のために動いてあげたくなる。下にいる人がそう思えるリーダーは、カッコいいと思います。これまで、主役をされている方々の背中をずっと見させてもらっていて、こういう人になりたい、と思うことはもちろんありました。いいなと思ったことは、自分のなかに「入れよう」とします。いいものだけ、ちょっとずついただいて。いま、自分のなかには、それが「入っている」ので。いつか、自分らしいリーダーになれたら、とは思いますが、どうなんだろうなあ……」

自信なげな様子は、新人の頃から変わらない。キャリアを重ねても変わらぬ人間性がそこに感じられる。

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

「でも、変わったこともあります。ここ数年、出逢ってきた人たちに、エンターテインメントの面白さを教えてもらって、たくさん観るようになった。それは、すごく変わったなって。作品を観ると、ワクワクしたり、観終わった後、スッキリしていい時間だったなって思えるんです。こういう道もあるんだぞと示してくれました。ここ何年かで、自分のなかで変わったポイントですね。ちゃんと視野を広く持たないと駄目なんだなと。変わりたくない、と思ってた自分は、すごく小さいなと思いました」

それはきっと、作り手のひとりである自分を意識するようになったからかもしれない。しかし、パーソナリティは驚くほど変わっていない。人間としての肌触りが、不変。2007年にドラマで初めて顔を合わせ、『アントキノイノチ』『ストレイヤーズ・クロニクル』でも共演している染谷将太も「変わらない」と明言している。

「根本的な考え方の部分は変わっていないと思います。その根本の部分を話すのは恥ずかしいので(笑)なかなか言えないんですけど。でも、将太に『変わってない』と言われたのは嬉しいし、変わらないといけない部分はもちろんあるんですけど、自分は自分でいい。このままいきたいな、と思ってもいるんです」

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

8月15日には26歳になる。俳優としての10年をどう見ているのだろう。

「10年経ったというのも不思議ですし、なんで続けてるんだろう? もう10年か……と思う事もあります。何が自分に出来ているのか、ずっと悩んでいますし、正直、自分ではわからない。きっと、気づくのは大分、時間が経ってから。たとえば、いま監督にオッケーをいただいた芝居を、別の場面でできるか?(作品を重ねても)自信につながらないというか、プラスにもっていけないタイプなんですよ…」

ネガティヴな暗さはない。見せかけの謙虚さでもない。岡田将生は、ただ正直なのだと思う。思ってもいないことは口にしない。やわらかな頑固者は、自信を持って「自信なんてない」と口にする。だから、「変わらないこと」がとても自然で、すこやかなのだ。

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

(C)本多孝好/集英社 (C)2015「ストレイヤーズ・クロニクル」製作委員会

「この10年が密だったなあと思うのか、スカスカだったなあと思うのか。いつか、わかるんですかね。仕事を充実させるには、プライベートを充実させないと駄目だ、って言う人もいるじゃないですか。最近、そういう考え方にもなってきました。とか言いつつ、プライベートでは、なんにもしてないし。それで、仕事したいなとか思っちゃう(笑)。そんな繰り返し。自分は駄目だなあと思いながら、今日もやってます(笑)」

(取材・文:相田冬二)


映画『ストレイヤーズ・クロニクル』
新宿ピカデリー他 全国大ヒット公開中

監督:瀬々敬久(『ヘヴンズストーリー』、『アントキノイノチ』など)
原作:本多孝好「ストレイヤーズ・クロニクル」集英社刊
キャスト:岡田将生、染谷将太、成海璃子、松岡茉優、白石隼也、高月彩良、清水尋也、鈴木伸之、栁俊太郎、瀬戸利樹/黒島結菜、豊原功補、石橋蓮司、伊原剛志
脚本:喜安浩平(『桐島、部活やめるってよ』“第37回日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞”)、瀬々敬久
音楽:安川午朗(『八日目の蝉』日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞、『どろろ』、『ヘヴンズストーリー』)
撮影:近藤龍人(『私の男』『桐島、部活やめるってよ』ほか)
アクション監督:下村勇二(『GANTZ』、『プラチナデータ』、『図書館戦争』)
配給:ワーナー・ブラザース映画


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ストレイヤーズ・クロニクル

ストレイヤーズ・クロニクル

著者 本多孝好 
概要 防衛副大臣となった渡瀬浩一郎に囚われたままの亘を、必死に探す昴。渡瀬は自身の黒い野望を達成するため、暗殺者・武部に昴の殺害を指示。一方、「破綻」のタイムリミットが近づく“アゲハ”達は、渡瀬抹殺のため動き出す。“アゲハ”の中心人物、学の体内で人類滅亡のウィルスが着々と生成されていく中、ついに三者が、富士山演習場で激突。誰が敵で誰が味方なのか―。死闘のシリーズ最終章!

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