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【レビュー】『エベレスト 3D』ーIMAX3Dで体感して欲しい上質な山岳ドラマ

2015年11月9日(月) 15:53配信

エベレストの脅威と生きることの尊さ

(c) Universal Pictures

(c) Universal Pictures

海上でのサバイバルを不気味な雰囲気で描いた『ザ・ディープ』(12)で知られるアイスランドの名匠バルタザール・コルマウクル監督の最新作『エベレスト 3D』は、世界最高峰のエベレスト登攀(とうはん)を目指した8人の登山家の姿を、実話に基づいて描いたサバイバル・ドラマだ。

コルマウクル監督は、『ハード・ラッシュ』『2ガンズ』などのエンタメ色の強いアクション映画を得意としているが、本作ではエベレスト登攀(とうはん)を目指す登山家たちの心情を、群像劇として丹念に描いている。

舞台は1996年のネパール。ニュージーランドで登山ガイド会社を営むロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は、開業以来4年間で19人の登山家をエベレストの頂上に導いた商業登山のパイオニアだ。そんな彼の元に今回集まったのは、ジャーナリストや郵便局員などを含む総勢8名の登山家たち。彼らは一ヶ月間の入念な訓練と準備の後、世界最高峰エベレストの登攀に挑むことになるのだが、他チームとのバッティングによる混雑、ロープ設営の不備、そして嵐の襲来など予期せぬ事態が重なり…。

本作で特筆すべきなのは、サスペンス性を徐々に高めていく構成と、「縦の奥行」だ。序盤では美しい景色とエベレストの雄大な姿を楽しむ登山家たちの姿が和やかに映し出されるが、その空気は登山家のベック(ジョシュ・ブローリン)がクレバス(氷の割れ目)の間にかけられた梯子から落下しそうになるシーンを境に一変する。慌てふためき必死にしがみつくベックの眼下に広がるのは、地面まで果てしなく続くように思える虚空。「落ちたら絶対に助からない」と感じさせる奥行の深さには、思わず背筋が凍る。この「縦の奥行」が本作最大の見所なのだが、谷間に吸い込まれるようなあの感覚は、視野が全て画面で覆われるIMAXシアターの3D上映でしか体感することはできないはずなので、読者諸賢には本作をIMAX3Dで鑑賞することを強くおすすめする。

(c) Universal Pictures

(c) Universal Pictures

構成と「縦の奥行」に加え、人物描写がしっかりとなされているのも素晴らしい。通常の場合、サバイバル映画はサスペンス性を重視するために人物描写が不十分になることが多い。しかし本作は実話ベースということもあり、群像劇的に個々人について深く掘り下げることで、この課題をクリアしている。エベレストへの登攀を目指す前、メンバーたちは環境に適応するために、様々な訓練を重ねる。その過程では、メンバーそれぞれのエベレストに対する思いが丁寧に描かれていく。かつての失敗、残してきた恋人や家族、他の隊との競争意識…こうした個人的事情をしっかりと映し出す人物描写の積み重ねがあるからこそ、メンバーそれぞれに与えられるリタイア、あるいは死という厳しすぎる現実が、エベレストの恐ろしさと人間の無力、そして命の儚さ、その尊さを鑑賞者に強く印象づける。

終盤では、登攀を諦めきれなかった登山家たち、彼らを助けようとする者たちが、次々と命を落としていく。結果論から言えば、命を落とした者たちの選択は誤りであり、自分が生き残ることを優先すべきだったのだろう。しかし、人は常に合理的な判断を下せるものではない。「諦めきれない」という思い、「自分を犠牲にしても誰かを助けたい」という思い…それが人情というものだ。この人情の部分がしっかりと描かれているからこそ、本作は深みのあるドラマに仕上がっている。

悲しみに満ちていながら、一筋の希望が見えるラストも秀逸だ。

(文:岸豊)


映画『エベレスト 3D』

大ヒット上映中

監督:バルタザール・コルマウクル

出演:ジェイソン・クラーク、ジョシュ・ブローリン、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホール、森尚子 他

配給:東宝東和


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