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映画『ルームロンダリング』片桐健滋監督インタビュー「いい人たちばかりが集まった現場が一本目でとても幸せだった」

2018年6月13日(水) 12:00配信

片桐健滋監督

片桐健滋監督

TSUTAYAが本格的に映画製作をスタートさせる切っ掛けとなった、映像企画募集コンペ『TSUTAYA CREATORS' PROGRAM』(以下、TCP)で474の企画の中から選ばれた3本の作品。その中の一つが片桐健滋&梅本竜矢コンビによる『ルームロンダリング』だった。フランスで3年間フランソワ・トリュフォーの編集で知られるヤン・デデ氏に師事、帰国後はフリーの編集を経て、崔洋一、豊田利晃、羽住英一郎、廣木隆一といった名だたる監督たちの助監督としても活躍を続ける片桐監督。企画受賞から3年、本作でついに長編デビューを飾る。

―先日池田さんに取材をしたとき「片桐監督とはすごくいい関係で仕事ができた」と仰っていたので、きっと監督も手応えがあったのではと思っています。本作でご自身がやりたかったことはどれくらい出来たと思いますか?

この作品で撮影を担当してくれた、昔から仲のいい江崎朋生さん(『あさひなぐ』 『BRAVE HEARTS海猿』 『映画 暗殺教室』)から「一本目は自分がやりたいことの半分も出来ればいい」と言われてましたし、そういう意味ではほぼ9割がた出来たなと思いますね。俳優やスタッフの皆さんは自分が仕事したいなと思う人達ばかりでしたから。残りの一割は自分に対する反省で、完成した今だから言える感じですかね。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―また「監督は『ルームロンダリング』という惑星を持っていて、現場のみんながそこに居た感じ』とも仰っていました。実際師事してきた方から受けた影響もこの作品には出ていますか?

ご一緒してきた監督方の作品はもちろん好きですよ。その監督が得意なものをやっているときが一番面白いですしね。いろいろと勉強させていただきましたけど、やっぱり自分の一番好きなものは仕事を習ってきた監督たちではないんですよね。僕はジャン=ピエール・ジュネとかエミール・クストリッツァのようなヨーロッパの映画の感じが好きなので、色味や音楽の使い方とかテンポ感はそういったものの影響は多々あるなと思います。ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』のような“少し不思議な話”というのも好きですね。SFじゃなくて“少し不思議なSF”。

―今回監督が一番自分の色を出せたなと思う部分はどこでしょう?

僕は、冒頭じゃないかなと思います。最初の15分がすごく大事だと思っていたので、だいぶ考えたかなと思いますね。あとはやっぱりエンディングもそうですけど、終わったあとにすぐ帰られるのも嫌なんで(笑)、最後のエンドロールをああしてみたりとか。こだわりは割と細部ですけど、全部こだわれたと思いますし、それくらいみんなやってくれました。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―今回キャスティングされる上では、片桐さんが業界でお仕事をされてきた関係があったからスムーズに決まった部分も大きいと思います。主役の池田さんやオダギリさんはもちろん、渋川(清彦)さん、光宗(薫)さんや健太郎さんなども見事にハマっていますよね。

池田さんとオダギリさんがまず決まって「それならこういう組み合わせにしたい」というものがほぼほぼ全部うまくいったかなと。健太郎くんは違う監督の作品のオーディションで会ったときに「この子にやってもらいたい!」と思いましたし、幽霊のパンクロッカーは僕はKEEさん(※渋川の旧芸名)じゃないと嫌だなって思ったんですよね。なんか可愛いし、KEEさんみたいな人がパンクロッカーで死んじゃったってなったら、「きっと何も悪い事していないんだろうな」という空気を持っているし、光宗さんは池田さんの対局にあるような人にしたいとか、みんなのキャラクターが立つような人がいいなと思ったらそのような形になれたのはたまたま運が良かったんだと思いますね。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―自分が監督として関わった初めての現場の雰囲気はいかがでしたか?

ドラマは撮っていても長編映画は1本目で、しかもオリジナルなのでとにかく自分が一番楽しんでやろうと。その気持ちが現場に伝われば良いなと思っていました。俳優の皆さんはフランクに提案もしてくれたり、スタッフも僕が迷っても待ってくれる人たちだったので。僕が作ったと言うよりは、出る人も撮る人もみんなが基本的に心が優しい人達ばかりで、そういう人たちが集まった現場が一本目だったということがすごく幸せですね。さきほども取材で「一番感極まったときは?」と聞かれたんですが、僕は映画がスクリーンでかかったときよりも、撮影が終わったときが感極まりましたね。「もしかしたらこんなにいい人たちとの映画作りはもう出来ないかもしれない」って思ったんで。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―限られた予算の中で撮影も15日間と、助監督としての経験も活かしながらすごく工夫されたと思うんですが。

僕は映画やドラマの中で登場人物の衣装がどんどん変わるのがあまり好きではなくて…。それで言うと幽霊は着替えませんよね。悟郎さんもほとんど着替えないし、御子ちゃんや亜樹人くんもそう。ある種「これ!」という渾身のものがあれば他は要らないんですね。でもそれは、僕の大好きな衣装デザインの小川久美子さんがいたからそう思えたし、削減にもなる。こちらも僕の大好きな美術の井上心平さんと装飾の櫻井啓介さんのおかげで、御子ちゃんのミニマルなセットも出来ました。彼女は物件の場所が変わるだけで、持ってる荷物は変わらないですからね。そういう部分は企画・脚本の段階で考えていました。撮影現場ではシーンごとのこだわり具合の決断だったり、芝居も何回もやらないでおこうと考えていて、それくらいみんなが信頼できる人たちで、答えを持ってやってくれていましたから。現場でとにかく早くそれを切り取りたいというのが一番でした。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―ディテールでは例えばイカヅチ不動産とかすごく昭和レトロないい感じだし、二軒目のマンションの屋上も絶妙ですよね。ロケ地探しはどうやっていったのでしょうか?

ロケハンする制作部の方にイメージを伝えて、出てきたのがあの不動産でした。でも最初は「かっこいいけど狭すぎる」って思ったんですよね。で、ホントにめちゃくちゃ狭い(笑)。場所が狭いと、ゴタゴタしてスタッフが苦労するんです。ただ、不思議と裏に庭もあったり、あそこにしかない魅力があったので決めました。二軒目のところはロケハンに行って見つけました。本当は給水塔をイメージしていたんですが、理想的な場所を見つける時間的余裕もなかったところに、近場で屋上に出られる場所があそこで。そこで偶然ギミックを目撃したとき、「これはやろう!」と決めて設定を直しましたね。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―『ルームロンダリング』では御子が部屋を転々として幽霊たちとコミュニケーションを取って彼女自身が変わっていくことと、もう一つは家族の話がありますよね。そこのバランス感も悩まれたと思うのですが?

最初は「女の子がお母さんに会いに行く」というのがベースでしたが、それだと企画としては通らないですよね。単純に会いに行くのでは面白くないので、女の子をこじらせようと。さらに、母と会いたいと思ったときには会えなくなる方が良いと思ったので、子供の頃別れたことにして。現在の御子は、悟郎の都合で引っ越し続ける“根無し草”のような存在なので、自発的に母に会いに行かせるきっかけとして幽霊がいて、生者と対局にある彼らに影響を受けることによって「生きている自分が今やらないでどうする」と前に踏み出すような仕組みにしたかったんですね。なので、分量としてはどうしても面白い幽霊のほうが多くなってしまって苦労しました。御子ちゃんは自分であまり話さない子なので…。本当は家族の話がもうちょっとわかりやすく出来たほうが良かったところもあるんですけど、こういうところも一割の反省でもあるんですよね。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―また、TCPの最終プレゼンのときから「映画にできなかったら漫画にする」って仰っていて、それが実際映画に先行してコミックでも展開されています(現在コミックビームにて連載中。コミックス上巻発売中)。

あの時(TCP最終プレゼン時)、時間がなかったので映像ではなく漫画にしたのがご縁でした。プレゼンの漫画も劇中で御子が描く絵もコミックビーム編集長の岩井さんに相談に乗っていただいて。映画の絵の方は結果的にはプラスディー(制作会社)の女の子が全部1人で描いてくれていて。すごいんですよ。岩井さんには映画が完成したあと初号試写に来ていただいて「ウチでやろうと思います」と言ってもらったときは嬉しかったですね。漫画を描いてくれている羽生生先生には好きにやってもらいたいなと思っていたので、僕がとやかく言うことはなかったです。活字のざっくりとした構成を見せていただいたくらいですが、好きでやっていただいているのが伝わってきていますし、今は毎回「どんな話かな」と楽しみしていますね。漫画を読んで「もっと怖く撮ったほうが良かったかな」とか「こういう画角のほうが面白かったのかな」と思うこともあります。

(C)HANYUNYU Jun「ルームロンダリング」製作委員会2018

(C)HANYUNYU Jun「ルームロンダリング」製作委員会2018

―長編デビュー作を撮り終わった今お伺いしますが、監督が気に入ったキャストを再度起用することも多いですよね。片桐監督が今後作品を作っていく上でまたこの人達と一緒にやりたい想いはありますか?

それはありますね。豊田(利晃)さんの作品にずっとKEEさんが出ているみたいに、ご縁があったらできればやりたいと思う人達ばかりでした。どういう話かにもよりますけど、また池田さんとは仕事をしたいと思いますね。オダギリさんもそうだし、健太郎くん、KEEさん…みんなそうなっちゃうな。全員が同じ時っていうのはないですけど、ちゃんともう一回やりたいなと思いますね。そういう魅力のある人達と一本目で一緒に仕事できたことに感謝ですね。


映画『ルームロンダリング』
2018年7月7日(土)より新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

コミックビーム連載中「ルームロンダリング」
単行本(上巻)発売中!!

TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015 準グランプリ作品

出演:池田エライザ、渋川清彦、健太郎、光宗薫/オダギリジョー
監督:片桐健滋
脚本:片桐健滋・梅本竜矢   
2018年/109分/日本/カラー/DCP/シネマスコープサイズ/5.1ch
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:ファントム・フィルム


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著者 羽生生純  片桐健滋 

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出演者 池田エライザ  渋川清彦  健太郎  光宗薫  木下隆行  奥野瑛太  つみきみほ  田口トモロヲ  渡辺えり  オダギリジョー 
監督 片桐健滋 
脚本 片桐健滋  梅本竜矢 

 作品詳細・レビューを見る 

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