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シーナ&ロケッツ・鮎川誠が葬儀直後に語った「シーナと俺」の物語 音楽――そして愛

2015年2月24日(火) 15:38配信

鮎川誠

シーナ&ロケッツが結成された同じ年にできた喫茶店。穏やかな九州なまりで鮎川誠が語った

日本ロック界の黎明期に多大な足跡を残し、今もなお活躍を続けるバンド「シーナ&ロケッツ」。圧倒的な歌声で人々を魅了したボーカリスト、シーナさんが子宮頸がんのため亡くなったのは2月14日のこと。61歳という若さだった。

夫でギタリストの鮎川誠が、葬儀翌日の2月20日、2人の出会いから育ててきた音楽、シーナさんの闘病をあますところなく語ってくれた。

「友だちになりましょう」

シーナと初めて会ったのは1971年の夏、お盆のころだった。俺は当時、バンド「サンハウス」でギターを担当、福岡市のダンスホールのバンドマンとして生計を立てていた。閑古鳥が鳴いていたその店に、まだ高校3年生だったシーナが来て、初対面の俺にいきなりこう言った。

「友だちになりましょう」

俺に声をかけるなんて見上げたものだが(笑)、話してみると、なかなかのロック少女ちゅうことがわかった。あとで聞くと、「魂のこもった荒々しい俺のギターに共感した」ちゅうことだった。

博多の中洲の近く、春吉にあるバンドマンばかり住んどるアパートの3畳間を借り、すぐ一緒に暮らし始めた。家賃は2,800円。そのころ俺はバンド演奏で月に5万円稼いでいた。好きな音楽をすることで金が稼げる。「それって最高やん」ちゅうことです。当時はバンドの仕事にありつくこと以外に、何のアイデアもなかった。

「デカい音で弾きたい。それ以外の野心なんて何もなかった」

キングスネーク・ハイウェイ/鮎川誠EARLY WORKS 1975‐1979

キングスネーク・ハイウェイ/鮎川誠EARLY WORKS 1975‐1979

来る日も来る日も1日4回のステージ。最後にブルースの演奏をする。そうしてレパートリーを増やし磨いて、音楽の勉強をしていた。ローリング・ストーンズやらビートルズ、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、そういう音楽を弾きながら、僕らもデカい音で弾きたい。それ以外の野心なんて何もなかった。博多でレコードが作れるとも思っていなかった。

僕はローリング・ストーンズが好きやったけど、マネをするちゅうわけではない。ストーンズはストーンズがやったように、「お前はお前の音楽をやれ」ちゅう教えに聴こえていた。でも、その音楽の出所はシカゴ・ブルースから来てるんだ、ということをストーンズから教わった。

では、シカゴ・ブルースとは何か。そうしたことまで遡って、可能な限り聴いていった。すると、ロバート・ジョンソンに行き当たった。そのロバート・ジョンソンにギターを教えた先生が「サンハウス」という名前だった。これからブルースを学ぶ生徒の一人として、「僕らの象徴として偉大な先生の名前をバンド名にもらおうぜ」ちゅうことになったのが、バンド名の由来です。

シーナのハートに突き刺さった

ただ、それでやりよるうちは所詮、ダンスホールの中のレベル。ところが時代は、世界や東京から違う風が吹いて来ていた。『ウッドストック』という映画に凄い衝撃を受けたのはその頃。これは、野外コンサートを記録した映画。リッチー・ヘブンスから始まって、スライ&ザ・ストーンも、テン・イヤーズ・アフターもいて、40万人が同時に一つの音楽を聴くシーンを見て考えが変わったんです。小さな箱の中で演奏してた僕らからすると、もう時代もレベルも違う。次第に、そういうロックコンサートを夢見るようになった。

もう一つ、岡林信康や高田渡、細野晴臣の「はっぴーえんど」など、これまでとは全く異なる音楽が登場した。自作の曲を自分で歌う。たとえば、詩人の山之口貘の詩に高田渡が曲をつけるとか。ブルースの旋律に自分の思いを乗せるとか。みんな自分の音楽をやりよってる。だから僕たちも、自分の曲を作り博多で頑張った。

そのとき、一番応援してくれよったのがシーナでした。シーナは「サンハウス」の音楽を、

「一体ここはどこなの、と思うくらいよかった」

と褒めてくれた。茶化して「フィリピンから来たバンドかなあ、とも思ったけど」とも言いよったけど(笑)。でも、「ハートに突き刺さった」と言ってくれた。だからシーナのお陰で僕は自分の音楽を信じて、気持ちよく突き進むことができた。

5年間「サンハウス」で活動した後、シーナの父親に、

「東京に出て、1回勝負して来い。腹いっぱい音楽をやって来い。その代わり、もしダメだったらダラダラやらんで、スパッと諦めて帰って仕事をしろ」と後押しされ、上京することになった。「サンハウス」は解散し、東京で作曲をしたりギターを弾いたりしていた。

シーナ&ロケッツで目指したもの

そんな1978年のある日。シーナがポツリとこう言った。

「私が歌いたい」

「私もレコードを作って、自分の歌を聴いてみたい」

これが「シーナ&ロケッツ」の始まりです。そこには、何にも替えがたいこだわりが強くあった。ウィルコ・ジョンソンやプリティ・シングス、キンクス、ストーンズ、ビートルズなど、イギリスのブリティッシュビート、それに加えて、アメリカのブルースちゅうものを、ツーカーで話せる仲間としか一緒に音楽はできないと思っていた。だから、サンハウスの仲間に声をかけて、九州出身の4人で「シーナ&ロケッツ」を始めた。

シーナさんの通夜で涙を見せた鮎川

シーナさんの通夜で目頭を押さえる鮎川

そうした仲間でないと、自分たちの音楽は表現できない。上手さを発表するのは決してロックじゃなくて、4人が「一つの人間」に聴こえるような、つまり、ボーカルとボーカルを支えるものが1つの音楽を作り出す、それがロックバンドなんです。大事なのはシンガーだ。内田裕也さんの歌も内田さんしか歌えない。作る音楽も、シンガーも、みんな違うけど、みんないい。だから、僕らにとって大事なのはシーナだった。自分たちの歌を自分たちが歌う。だから素晴らしい。

1978年に「涙のハイウェイ」でデビュー。それから35年、休むことなく活動してきた。ただ、好きな音楽と向き合って、夢中でやって来た。

ロック音楽やロックバンドは、生き物なんだと思う。その場で試したときが、曲ができるとき。だからリハーサルでどんどん変化していく。それがまたいい。

僕は痺れまくりだった、シーナの歌に。どうしてここで、こんな声を出したんだろうとか。ちょっと巻き舌を入れたりとか。僕のソロの一番いいところに「ギャーオッ!」って入れたり。そんなの誰かが教えたり、「もう一度」という世界じゃないんです。生きた音との格闘が何より楽しい、それがロックなんだ。毎日、姿を変えていいし、上手にできなくてもいい。ロックを楽しむ心が伝えられれば、それでいいんです。シーナは、それを本能で伝えていた。

僕ら筋金入りのロックフリーク。朝から晩まで、シーナと出会ってからこれまで、ずっと一緒にいつもロックに向き合って来た。それができたのは、素晴らしいシンガーであるシーナがいてくれたから。ある意味、凄く幸せなことだった。


でも、そんなシーナの体調に異変が現れたのは、去年の7月のことだった――。

(文:青柳雄介)

シーナ&ロケッツ・鮎川誠が語った「シーナと俺」の物語 旅立ち~シーナさんが下した「決断」


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演奏者 シーナ&ザ・ロケッツ 
歌と演奏 シーナ&ザ・ロケッツ 
作詞 柴山俊之  クリス モスデル 
作曲 シーナ  鮎川誠 

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