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新しいMr.Childrenの音楽を探す彼らの時間が刻まれている

2015年5月20日(水) 16:42配信

Mr.Children

アルバム『REFLECTION』は、前作『(an imitation)blood orange』から2年7ヵ月ぶりだ。彼らのアルバムのなかでは最も間隔が空いた。どんなアルバムになるのか。

かつてないほどの期待が高まっていたのは、そう思わせるいくつもの根拠があったからだ。

たとえば、前作は震災後のまるで生き急ぐかのように立て続けだった新曲の発売を受けたものだった。2011年3月11日の東日本大震災の後の日本に暮らす全ての人々がそうだったような悲しみや嘆き、そして、こんな状況で何が出来るだろうという自分に対しての逡巡。音楽に携わっている誰もが感じた、音楽に出来ることや音楽の役割に対しての途方に暮れたような自問自答。そんなリアルタイムの彼らの“心の動き”が、微に入り細に入り丁寧に歌い込まれていたようなアルバムだった。

そして、彼ら自身のキャリアで言えば、2012年は、20周年の節目にあたっていた。2011年から2013年にかけての野外スタジアムやドームを含む足かけ3年にわたるツアーは、質量ともに彼らの歴史だけでなく、日本のコンサート史に残るものだった。それは、持てる力の全てをステージに出し尽くすかのような渾身のライヴでもあった。

そうやって前作『(an imitation)blood orange』で20周年を迎えた彼らが、どこへ踏み出してゆくのか。名実ともに日本を代表するバンドとしてJ-POPシーンの主戦場を走り抜けてきた彼らが、どう年を重ねてゆくのか。

アルバムへの期待がかつてないほど高まったのは、その最初の音として僕らが聴いたのが、2013年5月に配信限定で発売された「REM」だったこともある。従来のイメージをかなぐり捨てたような悲鳴を思わせるヴォーカルに驚いた人は多いはずだ。袋小路に迷い込み、出口を探しているという歌詞は、彼らの激しい葛藤を感じさせた。順風満帆のモンスターバンドとして世間の期待に応えながら進んでゆくのか、それとも何かを逸脱しようとしているのか。「REM」発売後に出た夏フェス“サマーソニック”での彼らは、なかには冷ややかな視線を送る客席に向かってむきだしで立ち向かうようなアグレッシブなステージを展開していた。

対照的に、一年後に配信限定で出た「放たれる」は、「REM」とは180度違う、内省的な強さを伴った曲だった。

何かが変わり始めていると思った。

去年の11月に出たアルバム先行シングル「足音 ~Be Strong」は、バンドがアレンジも手がけた完全手作りだった。“舗装された道を選んで歩いてゆくだけの日々はもうやめたいんだ”という一節が答えのような気がした。

例え失敗したっていい、疲れたら立ち止まればいい。それでも、次への一歩を踏み出してみる。『REFLECTION』の初回盤に付いているレコーディングドキュメンタリーは、彼らの新しい旅の過程を如実に物語っていた。

Mr.Childrenが、日本のこれまでのバンドと決定的に異なっている点がいくつもある。

一つは、良い曲と売れる曲が必ずしも一致してこなかった商業主義のど真ん中で良い曲は売れると証明してきたことだ。彼らの最初のヒットとなった「CROSS ROAD」やその年の年間チャートの1位となった「innocent world」は、どれも“生き方”がテーマになった曲だ。人生の節目。これから待っている不純な業界に立ち向かいながら自分のなかのイノセントを確かめた歌。決して“歌詞”にふさわしいとは思えない“innocent”という言葉をあの曲で知ったという若いリスナーも多いはずだ。あんなに真っ直ぐでピュアなポップスがそれまでにあっただろうか。

二つ目が、彼らの曲と彼ら自身の距離だ。作り手の“心の動き”が、率直に言葉になりメロディになっている。喜怒哀楽の四つの文字には収まらないくらいの複雑で微妙な感情。一度言葉に出してしまうことで同時に生まれる相反する感情も、一つの歌になっている。メロディに乗った時の日本語の響き方や届き方。初回盤のドキュメンタリーのなかには、桜井和寿が、一つの言葉のニュアンスにこだわりつつ何度も歌い直すシーンもあった。個人的な歌のようであり、誰の感情にも当てはまる。そこには嘘も虚飾もない。聴きようによっては、赤裸々に聴こえる歌でも聴き方や見方次第で何通りの光も放つ作品としての完成されたバランスを備えている。その見事さは、年々磨きがかかっている。自分の気持ちに誠実な嘘のない商業音楽。“魂”を売り渡さない。不純な何かに汚させないポップミュージック。それこそがMr.Childrenなのだと思う。

新作『REFLECTION』は、そういう意味での最高傑作ではないだろうか。

2013年1月からスタートしたレコーディングは、今年の初めまで続き、23曲が誕生したという。20周年を迎え、新しいMr.Childrenの音楽を探す彼らの時間が刻まれている曲たちを全て納めたのが『REFLECTION{Naked}』である。CDの限度時間を越えた全111分をどう聴いてもらうか。浮上したのがUSBという形式だった。しかもレコーディングスタジオとほぼ同じ音で聴けるという(ハイレゾ+MP3)形式。その中からアルバムとして選び抜かれた14曲が『REFLECTION{Drip}』だ。つまり、この2年7ヵ月を記録したベストアルバムということでもある。

“さあ、行こうか、常識という壁を越え”と始まる一曲目の「未完」から“すべてのことを真っ直ぐに受け止めたい”と歌う最後の「足音 ~Be Strong」に至る14曲は感動的だった。

1999年を振り返りつつ“もう特別じゃない”と歌う「FIGHT CLUB」は、あの頃の自分たちに向けたものだろうか。大陸的なメロディが新鮮だった「斜陽」、透明に突き抜けたまさにMr.Childrenと言うべき「Melody」、儚いほどの美しさを漂わせた「蜘蛛の糸」、“肥大したモンスターの頭を今度こそ打ち抜く”という衝撃的な始まりの「Starting Over」は“何かが終わり 何かが始まる”と歌っている。その後の「忘れ得ぬ人」に誰を思い浮かべるだろう。タイトル曲「Reflection」はピアノのインストだ。“僕らだけの言葉で話そう”という「fantasy」はこちらの心理を見透かしたようだ。“あきらめを殺す”(「WALTZ」)、“夢をもう一度広げよう”(「進化論」)、“幻聴を追いかける”(「幻聴」)、フィナーレに向けて、一音一音に凝縮された意志や決意が強固になってゆく。

そして、最後の曲「足音 ~Be Strong」は、“この足音を聞いている誰かがきっといる”というフレーズで終わっている――。

それは彼ら自身のことだけではないのかもしれない。終わりと始まりに託したのは震災後、未だに未来への手がかりを見つけられないこの国に向けたものなのかもしれない。でも、4人がありったけの力を出し尽くすまで表現しようとしているバンドの音は、聴くたびに新しい力や光を放っている。これだけ4人の音が同じ方向を向いて何かを確認し合っているようなアルバムは初めてだろう。後は、聴き手に判断して欲しい。どう聴かれようと、どう受け止められようと、そこにあるのは“自由! 自由! 自由!”(「未完」)だ。

「未完」のアルバム。「未完」の歴史。成功も挫折も不信も知ってしまったからこそ歌える“終わりなき旅”。このアルバムが放っている幾筋もの「REFLECTION」に勇気づけられない人はいないのではないだろうか。2年7ヵ月かけて作り上げたアルバムそれ自体が、40代の「innocent world」のような気がした。

VA6月号は、5月20日より全国のTSUTAYA RECORDSで無料配布される。(文:田家秀樹)(TSUTAYA「VA」5月20日号掲載)

PROFILE

1989年結成。1992年、アルバム『Everything』でメジャーデビュー。翌年リリースしたシングル「CROSS ROAD」が100万枚を超える大ヒットを記録し、「innocent world」など名曲を量産した。現在、全国アリーナツアー実施中。7月よりスタジアムツアーをスタートする。

Mr.Children リリース情報

REFLECTION{Naked}

REFLECTION
{Naked}

REFLECTION{Naked}

2015年6月4日発売
2015年6月20日レンタル開始
完全限定生産盤(CD+DVD+USB):TFCC-86555 9,000円(税抜)
●{Drip}初回盤(CD+ドキュメンタリーDVD)
●USBアルバム{Naked}(全23曲 / MP3+ハイレゾ)
●豪華80P写真集 / オリジナル・ライナーノーツ48P+DEMO音源試聴QRコード

REFLECTION{Drip}

REFLECTION
{Drip}

REFLECTION{Drip}

2015年6月4日発売
2015年6月20日レンタル開始
初回盤(CD+DVD):TFCC-86543 3,213円(税抜)
●ドキュメンタリーDVD
●{Drip}未収録曲ダウンロード購入スペシャルID封入(期間限定)
通常盤(CD):TFCC-86544 2,913円(税抜)
●{Drip}未収録曲ダウンロード購入スペシャルID封入(期間限定)

Mr.Children オフィシャルサイト

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