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LUCKY TAPESが照らす国内インディシーンの未来

2015年9月7日(月) 17:32配信

LUCKY TAPES

LUCKY TAPES

ブラックミュージックの洗練された芳香をまとったサウンドと豊潤なメロウネスを吸い込んだ歌で、きらびやかな夜を舞台にした情景と物語を描くLUCKY TAPES。
結成から1年ちょっとでリリースした1stアルバム『The SHOW』にはLUCKY TAPESが提示する同時代性に富んだロマンティックなダンスポップの息吹が全8曲に注がれている。国内インディシーンの未来を照らすバンドの成り立ちと展望を、フロントマンでありメインソングライターの高橋海とドラムの濱田翼に語ってもらった。(インタビュー&文:三宅正一)

シティポップという文脈で語られるけど、都会の風景を描いているつもりはない

—海くんは鎌倉が出身在住なんですよね。今日もこの取材のために東京に来てくれて。
高橋 はい。基本的に地元にいるときは外に出ないんですよ。家にこもり切って曲作りしてることが多くて。DTM(デスクトップミュージック)で曲を作るので、音楽活動だったり何かしら特別な予定がないと都内まで出てこないですね。制作期間は特に集中して家にこもってしまうので、メンバーや周りの人には “気分転換に外に出なよ”と心配されることもあって。“海に行ったりしなよ”とか(笑)。

—ただ、鎌倉に住んでいることで音楽へのプラス作用もかなりあるんじゃないですか?

高橋 そうですね。住環境ってものづくりをするうえでかなり影響すると思っていて。LUCKY TAPESの曲は都会的なイメージだったり、シティポップという文脈で語られたりするんですけど、自分たちからすると都会の風景を描いているつもりはあまりないんです。

—今は洗練されたサウンドにポップな歌を乗せるインディ色の強いバンドであれば、なんでもシティポップと一括りにされてしまう風潮がありますよね。ブラックミュージックの昇華の仕方や歌メロの性質は、各バンドはそれぞれ異なるアプローチをしているんだけど。
高橋 全体で括られてしまっている感じはありますね。シティポップで括られている音楽でも郊外の風景を描いている人も多いし。近いところで、Suchmosも湘南ですよね。彼等の音楽は車で海に行きたくなるような気持ちのいいリゾート感があると思うし。僕らの曲も都会から離れて高級車に乗ってドライブするようなムードがあったりして、そういった要素も重要だと思います。

音楽を作る楽しさにハマってからは外に出なくなった

—でも、海くん自身は家に引きこもってるという(笑)。

高橋 歩いて行ける距離にあっても、最近は海まで遊びに行くことはほとんどなくなりましたね。だけど頭の中では具体的にイメージできるから。

—原風景としてそれを知ってるし。

高橋 そう、風景として知ってるのは大きい。LUCKY TAPESを組む前にSLOW BEACHというバンドをやっていて。今とは音楽性も違うのですが、名前からも分かるとおりビーチ感を全面に出していました。

—サウンドはどんな感じだったんですか?

高橋 いわゆるチルウェイヴとか。

—USインディ色が強い感じ?

高橋 そうですね。

濱田 かなりトロピカルな感じでしたね。

高橋 東京出身で、都会の生活の中で音楽を作っていたら、また違った音楽性になっていたかと思います。

—海くんはサーフィンもやってたんですよね?

高橋 はい、父親の影響で小さいころからサーフィンやスケートボード、スノーボードなど横乗りのスポーツに触れてきました。

—幼いころからそうやってストリートカルチャーには触れていたんだけど、何度も言うけど今は引きこもってるという(笑)。

高橋 そうなんですよ。音楽を作る楽しさにハマってからはサーフィンやスケボーから離れていって、外に出る機会もめっきり減りました。お酒もあまり飲めないし(笑)。

—東京に対して憧憬を抱いたことはなんですか?

高橋 東京のカルチャーには常に興味を抱いてます。東京に住んでる音楽仲間も多いので、彼らを見ていると私生活や思想、ファッションもスタイリッシュだなと思ったり。だけど、自分がそこに染まってしまったらまた音楽的なスタイルも変わってしまうだろうから、どこかで線を引いてる部分はあるかもしれません。

—たとえばSuchmosの音楽はクールな不良の匂いを帯びているけど、LUCKY TAPESはきらびやかでメロウなムードが強く押し出されてるじゃないですか。同世代で近いエリアを拠点にしていて、ともにブラックミュージックが根っこにあっても、その掬い上げ方や視点や解釈がまったく違いますよね。

高橋 Suchmosのメンバーは湘南の茅ヶ崎に住んでいたりしますよね。茅ヶ崎だからそういうクールな不良性が帯びるのではないでしょうか。鎌倉はどちらかというとのんびりとした生活を送っている家族やサーファーが多くて。

—東京に住んでた人が古民家に移り住んだりね。

高橋 そうそう。とてもゆったりとした時間と空気が流れてるんですよ。その違いもあると思います。なので、逆にSuchmosみたいな鋭い音楽性には憧れるし、とても刺激になっています。

LUCKY TAPESの黒さを決定付けたのが、マイケル・ジャクソンの「Love Never Felt So Good」

—前身バンドを経て、LUCKY TAPES結成からここまで1年ちょっとですよね。これくらい早いペースで活動を軌道に乗せたのは海くんの想定内だったんですか?
高橋 今はこれくらいの勢いで軌道に乗せないとバンドが埋もれていってしまうような気がしてて。でも、結成までの流れはどちらかというとフワフワとした始まりでした。スタジオで遊び感覚で曲を作ったりしていて。

トロ・イ・モア/Underneath the Pine

—前身バンドから音楽性を転換した流れは?

高橋 メンバーそれぞれブラックミュージックやグルーヴ感の強い音楽には何かしら触れてきていたのですが、その中でもいちばん素養があったのはベースの田口(恵人)で。自分の家ではMTVがよく流れていて、2000年代のメジャーなR&Bやヒップホップを好んで聴いていたんですけど、彼に70年代のソウルとかファンクを色々と教えてもらって。前身バンドではチル~シンセポップ寄りの音だったのが、彼の黒いベースラインによってトロ・イ・モアのようなニュアンスが出たり。

—ああ、なるほどね。

高橋 そこから、LUCKY TAPESではその黒さを全面に出していこうと。それを決定付けたのが、前身バンドの解散後、みんなでご飯を食べに行ったときに揃って聴いていたマイケル・ジャクソンの「Love Never Felt So Good」で。

—ちなみにジャスティン・ティンバーレイクがフィーチャーリングしてるバージョンですか?

高橋 いえ、マイケルだけのバージョンが好きでした。あの曲をみんなで “最高だね!”って話していて。“こんな曲を作りたいよね”ってスタジオに入ったんですよ。あそこが明確な分岐点でした。

濱田 うん。徐々にではなく、あそこでパチン!と変わった。まずスタジオに入って「Love Never Felt So Good」をコピーして。曲の展開もみんなはっきり覚えてなかったけど、グルーヴやコードは耳コピでだいたいわかるから、セッション感覚でやってみたらそれがすごくしっくりきたんですよ。

高橋 最初はまだギター(高橋健介)がいなくて、3人でやろうとしていました。

濱田 そう、ライブも3人でやろうとしていて。ギターレスでベン・フォールズみたいなピアノロックみたいな感じで、最初はもうちょっとサウンドもゴリゴリ感が強かったんです。そこにギターが入ったことによりガラッと雰囲気が変わりました。

LUCKY TAPESのサウンドや歌に潜む中性的な趣のワケ

—海くんのパーソナリティに触れてもそう思うけど、LUCKY TAPESのサウンドや歌には中性的な趣が強くあるなと思っていて。楽曲にはブラックミュージック由来のセクシュアリティも帯びてるんだけど、それが直接的に表出しないのは海くんのパーソナリティによって中和されているのかなと。それこそがLUCKY TAPESのポップネスにおけるキーワードだと思うし。

高橋 なるほど。声質も関係してるのかな。

—そう、声質もかなり大きい。

高橋 泥臭い感じで歌っていたらゴリゴリのファンクになりそう。自分の声はどちらかというとアンビエント向きな透明感や浮遊感が強いので、オケにゴリっとしている部分があっても中和されているというのはあるのかなと。

—そこは、前身バンドでチルウェイヴ的なアプローチをしていたのも作用してるだろうし。

高橋 その余韻も残っているのかもしませんね。だけど、中性的というのは初めて言われました。

—え、ホントに? 最初からそう思ってたけど。

高橋 聴く側になるとき、国内だと中性的なボーカリストが好きで。きのこ帝国の佐藤さんやindigo la Endの川谷(絵音)さん、plentyの江沼(郁弥)さんとか。なので、憧れは抱いているものの、僕自身そこまで声が高いわけでもないので、そう聴こえているのは純粋にうれしいです。

—今でも十分ポップミュージックとしてすごく心地いい聴き応えがあるんだけど、ひとつ思うのは、歌の中にも中性的だからこそ出せるある種のエグみや毒性みたいなものが出ればもっとリスナーを強く惹きつける求心力が生まれるんじゃないかなって。
高橋 そうなんですよね、そういうエグみみたいなものをもっと追求していきたいと自身でも強く考えていて。ちょっと捻くれた、抜け出せなくなる中毒性みたいなものを出せたらもっとよくなるなって。今のままでは、聴きやすいんだけどサラッと流れていくBGMになりかねない。そこは自分が持っている人間的な癖のようなものをうまく出していけたらいいな。

1音のためだけに1人のミュージシャンを入れるくらい妥協せず制作するのがいちばんだと思う

—海くんはCINRA.NETのインタビューで、“星野源くんの「SUN」を聴いたときに自分がやりたいと思ってたことをやっていて悔しいと思った”と言ってましたけど、彼はまさに自分のパーソナリティにあるエグみをポップに昇華している人だし、「SUN」のサウンドもストリングスの使い方が異常だったりするじゃないですか。

高橋 はい。源さんは声にもエグみのある特徴的な声の持ち主ですよね。勝手に思ってるんですけど、最近の源さんの曲がホントに自分の表現したいことに近づいてきていて。今、CM(資生堂「スノービューティーⅡ」)で流れてる新曲「Snow Men」もとても素敵な曲で感動させられます。「SUN」とはまた違った、黒くてスウィートなアプローチをされていて。こうやって時代性ってリンクするんだなと思いました。あと、今までちゃんと聴いたことなかったんですけど、Base Ball Bearの新曲「それって、for 誰?」やSHISHAMOの新曲「熱帯夜」にも黒いニュアンスがあって面白いなと。よく聴いています。

—濱田くんはドラマーとしてLUCKY TAPESのサウンドを構築するうえでどんなことを意識してますか?

濱田 ベースの田口くんがブラックミュージックに精通してるので、彼にいろいろアドバイスをもらいつつ精進してる感じですね。

—今までこういうサウンドで叩いたことはなかったんですか?

濱田 僕は三重出身なんですけど、上京してからジャンルを気にせずにいろんなバンドのサポートで叩いてきました。そのなかでジャミロクワイのようなビッグバンド編成で叩いた経験はありますね。今はLUCKY TAPESに集中してるので、このサウンドをもっと自分のものにしたいと思ってます。

—ブラスやコーラスなど、音源もライブもサポートメンバーを積極的に迎えてるのもこのバンドの特徴で。そこにもすごく可能性を感じていて。

高橋 最初は3人で始動したバンドですが、曲をアレンジしていくうちに大所帯の編成でやりたいという思いがどんどん強くなって。いつかは生のストリングスを入れてやってみたいとも思うし。

—何をもって売れるとするかは難しい時代だけど、だからこそ、しっかり音楽で対価を得て、贅沢にレコーディングやライブをすることがすごく大事になってくると思う。

濱田 そうですね。1音のためだけに1人のミュージシャンを入れるくらい妥協せずに制作やライブをするのがいちばんだと思うし、それが理想ですよね。

—もちろん、アートワークやMVも妥協しないだろうし。

高橋 今回のアルバムはジャケットにもこだわっていて。思わず手に取りたくなるようなデザインにしたかったのでギリギリまでデザイナーさんと相談したり。今回のアルバムからの新しいMVも、こだわるがゆえになかなか前に進んでいなくて。同世代のミュージシャンたちが次々にクオリティの高い作品をつくって、高い意識を持ってやってるから、音源や映像にしてもデザインにしても中途半端なものは出したくないですね。それが作り手の信頼に繋がると思いますから。

LUCKY TAPES リリース情報

THE SHOW

2015年8月5日

価格:2,160円(税込) Rallye Label / RYECD-250

【収録曲】
1. All Because Of You 2. 揺れるドレス 3. Touch!(album version) 4. 平和と魔法 5. Peace and Magic(album version) 6. Friday Night 7. 夜が明けたら 8. Gun


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