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スキマスイッチの新しい原動力 ツアー「POPMAN’S CARNIVAL」@昭和女子大学 人見記念講堂ライブレポート

2016年7月14日(木) 19:30配信

楽曲制作を経た全国ツアーというルーティンではなく、新曲リリースに伴わないタイミングでもライブを行ないたいという想いでスキマスイッチが始めた新たなツアー「POPMAN'S CARNIVAL」。ふたりがその時々でやりたいと思う楽曲を、思い思いのアレンジで届けていくスタイルのライブは、予想以上にアットホームかつ自由で解放的なライブだった。

4月22日に千葉・市川市文化会館からスタートしたツアーの22本目、セミファイナルとなる昭和女子大学人見記念講堂。大学内の施設とはいえ一般のホール会場にも引けをとらない広さと高さを誇る会場には約2,000人が集結。スキマスイッチと総勢7人のバンドメンバーが鳴らす豊潤なポップミュージックに酔いしれる贅沢なひと時だった。

スキマスイッチ

スキマスイッチ

“カーニバル”に似合うカントリー風のSEで幕を開けたライブは大人っぽいゴージャスなアレンジで聴かせる「晴ときどき曇」からスタート。もともとスキマスイッチのライブでは多くの曲がライブ用にリアレンジされることが多いが、「POPMAN'S CARNIVAL」はその比重がより高い。ミラーボールの光を浴びてムーディーなブラスアレンジで届けた「飲みに来ないか」まで冒頭の3曲を終えると会場には割れんばかりの歓声が響いた。これにはふたりも「(最初から)やりすぎだよ!」(大橋卓弥[Vo・G])、「だいぶ最後までやったぐらい拍手をいただきましたけども……(笑)」(常田真太郎[Key])と言うほどだったが、約1年ぶりのツアーに寄せるお客さんの期待がそれほど大きいということだ。

音楽という名の大海原を自在に泳ぎまわるスキマポップス

リリースに伴わないライブとはいえ、4月には初のB面ベストアルバム『POPMAN’S ANOTHER WORLD』が発売されたことも受けて、この日はその収録ナンバーからも多く披露された。フルートの音色がどこか郷愁をかきたてた「かけら ほのか」ではトーキングドラムが効果的にリズムを打ち鳴らし、「僕と傘と日曜日」では長さ2mはあろうあかというレインスティックなる雨音を鳴らす民族楽器が使われたりと、あくまで生音にこだわるスキマスイッチらしい細かい音づくりも見どころだった。

静謐なピアノの伴奏で届けた「またね。」の温かな歌声から、エレキギターを掻き鳴らす危険な匂いのするロックナンバー「ソングライアー」の攻撃的な歌いぶりまで。どんな楽器の音色にも、音圧にも、全く埋もれずに存在感を放つ大橋のボーカルは圧巻で、その一聴してスキマスイッチだと思わせる彼の歌声があってこそ、音楽という名の大海原を自在に泳ぎまわるスキマポップスが成立するのだ。

中盤はより近い距離でお客さんに音楽を届けるためにと、サポートメンバーも全員がステージのフロントに並んで演奏を届けてくれた。この時間は総立ちのお客さんも一時着席して、のんびりと聴く。トランペットをミュートさせた脱力感のある響きが印象的だった「君曜日」や、スキマがミニストップとタイアップした1分ほどの小曲「フレ!フレ!」など、アットホームな雰囲気が心地好い。浦清英(Key)が奏でるアコーディオンの音色にのせた「スカーレット」では、スキマらしい魔法のような優しいメロディが会場に響き渡った。

再びバンドセットに戻ると、大橋が「いくぞー!」と人差し指を高く突きあげて一気にアッパーなモードへとチェンジ。一斉に立ち上がるお客さん。華やかなパーカッションと照明がシンクロした解放的なロックナンバー「ユリーカ」から、いよいよライブはクライマックスへと向かう。「パラボラヴァ」から「Ah Yeah!!」へ、アップナンバーの連発にぐんぐん会場の熱気が高まったところで投げかけた「全力少年」。大橋がステージを降りて客席の合間を縫うように移動しながら歌うと、会場はこのいちばんの興奮に包まれた。

「僕たちはずっと等身大の音楽を作りたいと話しています」

 

 

そしてラストはドラマチックなバンドサウンドにのせて届けた「ハナツ」。少し呼吸を整えながら、大橋は「僕たちはずっと等身大の音楽を作りたいと話しています」と前置きをして語りかけた。「作ったときは思ってもみなかったことを、曲から教えてもらうことがあります。この曲も今回のツアーで歌ううちに、みなさんと僕らの関係性を歌っているように聴こえてきました」と。その歌に夢や希望という言葉は出てこない。だが、そういう不確かなものを信じて生きる私たちに優しく寄り添う希望に満ちたナンバーだった。

ツアーTシャツに着替えたふたりがステージに登場したアンコールはバンドメンバーと長いセッションを繰り広げた「デザイナーズマンション」が素晴しかった。手練のプレイヤーたちが奏でる技の数々を本当に楽しそうに見守る大橋と常田。

デビュー以来全てのサウンドプロデュースをメンバーのふたりで行ない、いまや日本屈指のポップアーティストへと成長したスキマスイッチの原点には、純粋に「音楽が好きだ」という強い愛情があることを、その笑顔を見て改めて感じた。そしてラストの「サウンドオブ」まで3時間を超えた濃厚なライブは、いつまでも鳴りやまない大きな喝采のなかで幕を閉じた。

今回はリリースの伴わないツアーだったが、「曲は湯水のように溢れ出てます!」と、大橋は言っていた。「(アンコールで)着替える間にも2曲できたから(笑)」とも。それはさすがに冗談だが、どうやら本当に新曲も作っているらしい。今回スタートさせた「POPMAN'S CARNIVAL」というスキマスイッチの新しいプラットホームは、デビュー13年を迎えた彼らにとって、音楽のフリースタイルな遊び場としての役割もありつつ、その衝動とモチベーションを維持するための新たなクリエイティブの源泉にもなりそうだ。(文:秦理絵)


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