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向井太一「赤よりも熱を持って、簡単には消せないような存在になりたい」新たなポップスのスタンダード『BLUE』リリース【インタビュー&撮りおろし】

2017年11月27日(月) 12:00配信

いま音楽シーンで注目を集める新しい世代のミュージシャンの特徴を挙げるとしたら、まずひとつが世界的なトレンドや最先端のカルチャーに敏感であること、もうひとつが優れたセルフプロデュース力を持っていることだと思う。

昨年、トイズファクトリーに新たに設立された新レーベルMIYA TERRACEからデビューした向井太一はまさにその両方に当てはまる極めて現代的なシンガーソングライターのひとりだ。

ここ数年、世界的に大きな潮流となっている新しい解釈のR&Bやソウルミュージックをベースにして、日本的なポップスへと落とし込むという音楽スタイルは実にジャンルレスでハイセンス。ここ1年はSoundCloudやサブスクリプション限定で楽曲を発表するなど、あえてCDというフォーマットに拘らない活動をしてきたが、そんな向井太一が11月29日に遂にファーストアルバム『BLUE』をリリースする。

自身がリスペクトする同世代のクリエイターらとタッグを組み、ここ1年の成長を色濃く反映させた今作は、新たなポップスのスタンダードになるはずだ。(インタビュー&文:秦理絵 撮影:キセキミチコ)

向井太一

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―今回の取材用にもらった音源、あとから曲数が増えたりしたんですけど、曲作りはギリギリまで粘ってたんですか?

向井:増えたのって「FREER」ですよね(笑)。途中でタイアップ(Galaxy Note8のCMソング)の話をもらって、2~3週間ぐらいで作ったんですよ。最初は12曲ぐらいのアルバムにするつもりだったんですけど。やりたいことが増えちゃって。「Can't Wait Anymore」とかは、後半からyayellと一緒にやりたくなって、「入れてもいいですか?」って言って追加したんです。曲自体はずっと作り続けてる感じなんです。

―音楽を作ることは楽しいですか?

向井:楽しいです。周りに良い音楽が溢れてるので、どんどん創作が湧くんです。

―向井くんにとって音楽を作りたくなる原点は良い音楽を聴くことですか?

向井:もしくは、失敗したときとか(笑)。なにか衝動的なきっかけがあると作りたくなりますね。でも、けっこうダウナーな気分のときが多いかな。

新しいことをやる音楽的感度の高さと、普遍的なポップスであるっていうキャッチーさとがバランスよく成立するような音楽をやっていきたい

―T-SITEのインタビューは、去年の11月に2nd EP『24』をリリースして以来1年ぶりですけど、この1年間を振り返るとどんな期間でしたか?

向井:去年ずっと種まきをしてたものが、ちょっとずつ芽を出してる感じがしてますね。去年は「地方でもライブをしたい」って言ってたんですけど、最近は他のアーティストのツアーに呼んでもらえたりして、いままで自分がライブをしたことがないところにも行って、ちょっとずつ自分のフィールドが増えてる感じがします。フェスに出たときは、僕のことを知らない人に「どう衝撃を与えてやろう」って考えながらやるのが面白いんです。

―東京以外でのライブの反応はどうですか? 偏見だったら申し訳ないんだけど、向井くんの音楽って都市型というか、まず流行に敏感な地域の人から広がるような気がしてて。

向井:ああ、わかりますよ。ちょっと小難しいことをやっているように見えるんですよね。でもいまはけっこう音楽を聴くプラットホームがいっぱいできてるから、そういうのも関係なくなってきてると思いますね。あと、僕自身はJ-POPをやりたいと言うか……ポップスでいたいんですよ。新しいことをやるっていう音楽的感度の高さと、普遍的なポップスであるっていうキャッチーさとがバランスよく成立するような音楽をやっていきたいんです。いままで最先端の音楽に触れたことがない人にも、僕が好きな音楽とかをキャッチしてもらうには、どういうバランスでポップスにしたらいいんだろうかっていうのは、ひとつの課題でもあるんです。

―向井くんの音楽性って、オルタナティブR&Bって呼ばれることが多いですけど、自分ではJ-POPだと思ってるんですか?

向井:オルタナティブR&Bっていうのも、媒体とかでは言ったりするんですけど、ジャンルとして拘ってはいないんですよ。実際に僕が作るメロディはR&Bじゃないし、自分自身では何のジャンルだかわからないんです。だから、総称してJ-POPって言ったりしてて。何かを発信するためには、ジャンルわけはわかりやすいんですけど、自分自身ではロックをやりたくなったら、ロックをやるし、自由に作っていきたい。どのジャンルでも向井太一って言えたらいいなと思ってます。

―なるほど。先日、別のアーティストとジャンルわけの弊害について話をしてて、「歌謡曲って言われるものも、実はすごく洋楽だったよね」っていう話になったんですよ。

向井:たしかに昔の邦楽はめちゃくちゃ洋楽でしたよね。それこそ60年代の歌謡曲はブラックミュージックなんですよ。僕、弘田三枝子さんがすごく好きで。あの人は完全にエタ・ジェームズですから。15~16歳ですごい歌唱力で。昔はセンスを持ってる人だけが歌手になってた。だから60年代の歌謡曲とか紅白の音楽って僕はすんなり体に入ってくるんです。

―へえ、それ面白い話です。ところで、向井くんの活動を見ていると、自分自身の見せ方とか、セルフプロデュースの部分も意識的ですよね。

向井:我が強いっていうか、仕切りたがりっていうかね(笑)。

―(笑)。たとえば、少し前だったらミュージシャンがモデルとして活動をしてると、「一体どっちなの?」って言われる風潮もあったけど、それをかっこいいものとしてブランディングできてるのは、どうしてなんでしょう?

向井:僕自身もっと自分の音楽を広げようと思ったときに、違う分野から入るのがわかりやすいと思うんですよ。そのためにモデルなりコラムなり、別のお仕事をやらせてもらって、どのアンテナでもいいから引っかかってもらって、最終的に僕の音楽を好きなってくれたらいいなっていうのが目的になんです。だからアートワークを自分でやるのも音楽のため。逆に言うと、そこを完全に人に任せてしまうと、自分がリアルじゃなくなって、結局、本当に大事なところ(音楽)に行き着かないような気がするんですよね。

―わかります。この1年間はそうやって自分の好きな音楽をより多くの人に知ってもらうための活動をずっと変わらずに続けてきたんですね。

向井:そうですね。種まきをしてきたっていうのは、そういうことなんです。あとは、いま振り返ってみると、それが全部今回のアルバムにもつながっていたような気がしますね。

しっかりと声と歌を聴かせるようなもの。いまはこの表現が自分の気持ちともリンクしてるんです

―前置きが長くなりましたけど。最新アルバム『BLUE』の話を聞ければと思います。まずパッと聴いたときの印象として、ずいぶん明るくなりましたね。

向井:そうなんですよ。いままでのEPは暗かったですよね(笑)。そこはライブの影響がいちばん大きいんです。どういう曲がお客さんとリンクするかを考えたときに、自然とこういうテイストになったというか。でも、ただ明るいだけの作品ではなくて。僕はネガティブからポジティブに変える力の大きさとか強さがすごいなって思ってるから、それは継続して作品に落とし込んでいけたなと思ってます。

―今回も曲ごとに同世代を中心にいろいろなプロデューサーを迎えてますけども、今回初めて参加した方というと……?

向井mabanuaさんとかJulian-Quan、あと、(高橋)海くんも初めて一緒に作りました。ずっとやりたった人たちなんですよ。

mabanuaさんとやった「空」はブラスのアレンジが効いたクールな曲です。

向井mabanuaさんはブラックミュージックをポップスに昇華するのが本当に上手なんですよね。いまはいろいろビックなアーティストに楽曲提供をしてますけど、ちゃんとボトムがしっかりしてるというか。特に「空」は一見広がりがあって、わかりやすいポップスなんですけど、ヒップホップのフォロワーにも広がるところがさすがだなと思ってます

LUCKY TAPESの海さんと作った「FLY」はどうでしたか? ファンキーでソウルフルでありながら、サビの解放感が気持ちいい曲です。海さんとは同世代ですよね?

向井:同い歳ですね。僕、LUCKY TAPESも好きなんですけど、どちらかと言うと、海くんのソロプロジェクトのトラックが好きなんですよ。デジタル寄りのPOPS的なアレンジをするんですけど。この曲は彼の良いところだけをつまんだ感じですね。ただのサマーチューンにしたくなくて、暑苦しく殴りかかるような、鼓舞するような曲にしたくて、歌詞とトラック感のバランスをすごく考えた曲ですね。

―曲ごとに誰と一緒にやりたいかっていうのは、向井くんが自分で決めてるんですか?

向井:ほぼ僕ですね。「Teenage」をやったBACHLOGICさんとかは、もともと僕も好きではいたんですけど、チームのみんなから「一緒にやってほしい」って挙がった方なんです。BLさんはヒップホップのトラックメイカーだから尖った激しい曲が多いんですけど、あえて僕のなかでもあんまりないメロウで甘いラブソングにしてもらいました。

―今作では「楽園」とか「ONE」とかでピアノをフィーチャーして、より生音を重視した曲作りになったのかなと思いましたが。

向井:前作のほうがトラック的な曲作りではありましたね。世界的な流れで見ても、ボーカルは音色の一部として聴かせるものが多かったんですよ。でも最近はまた体温を感じるようなボーカルが増えてきていて、僕自身もそういう流れにシフトしていってるんです。だから「ONE」とか、最後に入れることになった「FREER」とかは、いままでやってきたアンビエントの感じっていうよりも、しっかりと声と歌を聴かせるようなものになりましたね。いまはこの表現が自分の気持ちともリンクしてるんです。

「Blue」は、ネガティブをポジティブに変えるっていうアルバムのテーマにも通じている曲

―タイトルトラックになっている「Blue」ではピアノのイントロから始まって、自分が音楽をやる意味をストレートに綴っていますが、これはどういうふうにできたんですか?

向井:この曲は歌詞が書けない時期に作ったんですよ。何回も書き直してできた曲なんです。誰かに「こういう曲を書かなきゃいけない」とか「こういう曲を書いてください」とか言われるんですけど、結局、自分の内側から出るやつじゃないと良いものだと思えなくて。それで自分自身を開放して、いま悩んでることも受け入れて、それも良いことに繋がるはずだっていうことをそのまま書きました。それも今回のアルバムを象徴する、ネガティブをポジティブに変えるっていうテーマにも通じてるんです。

―「Blue」を書いてから、他の曲の歌詞にも変化があったんじゃないですか?

向井:そうなんですよ。自由になれて。このあとに「Can't Wait Anymore」とか「Conditional」を書いたんですけど。こういう言葉は使わないっていうのがなくなったんですよね。

―飾らなくなれた感じですか?

向井:そこに面白さを見出しちゃったんだと思います。実は忘れてたんですけど、もともと僕はその人にしかかっこよく歌えない言葉選びのセンスが好きだったんですよ。わかりやすく言うと、宇多田ヒカルとか。それをこのタイミングで思い出した感じですね。「Can't Wait Anymore」は良い意味でふざけながら書いたりとか、ちょっとニヤってするような言葉選びができたと思ってます。

―“100円のコーヒー”で始まる曲って、いままでの向井太一にはなかったですよね。

向井:そう。昔だったら、絶対に使わないような単語を使うようになりましたね。

―「Blue」には、“青すぎる気持ちが僕をつらぬく”っていうフレーズもありますけど、この青い感情って、向井くんにとってどういう意味ですか?

向井:いまってアーティストのサイクルがすごく速くて、新しいものが消費されやすい時代だと思うんです。そうやって次々に消費されていくものが派手にメラメラ燃える赤い炎だとしたら、僕は一見そことは離れたところで静かに見えるけど、そのなかに赤よりも熱を持って、簡単には消せないような存在になりたいっていう意味を込めてるんです。

―あとは向井くんの内側にある青い炎こそ“BLUE”というか。

向井:そうですね。それが僕のビジュアル面とのギャップと重なると思うんですよ。僕のアートワークとかビデオって無機質で体温のないようなイメージじゃないですか。あえてそういう感じにしてるんですけど。でも、楽曲の内容では人間の生々しい感情を表したかったので、そういう自分のアーティスト性にもリンクするなと思って。今回は1stアルバムっていうことで、自分がいままで積み上げたものをかたちにしたから、自分のアイデンティティを象徴する「BLUE」っていう言葉をタイトルにしたいなと思ったんです。

―なるほど。以前見たライブでは、ドラムとマニュピレーター&エレピをサポートに加えて編成でやってましたけど、今後のライブはどういうスタイルになりそうですか?

向井:ビルボードのライブとかはベースを入れたりもしたので、けっこう変則的に変えてはいるんです。今回のアルバムでは生音の配分が増えてるので、またちょっと楽器を増やしたいなあっていうのもありつつ。来年のワンマンはもうちょっと温度感の違うものにしたいと思いますね。いまはめちゃくちゃライブが楽しみです。

―最後に今回のアルバムができたことで、今後アーティストとしてどういう存在になっていきたいと思いますか?

向井:これがクラシックになればいいと思うんですよね。新進気鋭とか……よく言われるんですけど(笑)、自分の音楽が全体を変えていけるような存在になりたいです。久保田(利伸)さんがリアルなR&Bを持ってきたりとか、宇多田ヒカルさんがポップスに組み込んできたように、時代を象徴するような存在になれたら嬉しいなと思います。

>向井太一の写真をもっと見る(全6枚)

向井太一 リリース情報

BLUE

2017年11月29日発売

TFCC-86626 2,500円(税抜)

01. 楽園(Co-Produced by Julian-Quan Viet Le/LeJkeys)  02. FLY(Co-Produced by Kai Takahashi)  03. Can't Wait Anymore(Co-Produced by MONJOE/MIRU/荘子it)  04. Lost & Found(Co-Produced by CELSIOR COUPE)  05. Great Yard(Co-Produced by starRo)  06. Blue(Co-Produced by CELSIOR COUPE)  07. 空 feat. SALU (Co-Produced by mabanua)  08. 眠らない街(Co-Produced by mabanua)  09. Conditional(Co-Produced by grooveman Spot)  10. Teenage(Co-Produced by BACHLOGIC)  11. ONE(Co-Produced by CELSIOR COUPE)  君にキスして(Co-Produced by Kan Sano) (Bonus Track 1.)  FREER(Co-Produced by Masahiro Tobinai) (Bonus Track 2.)[Galaxy Note8 CM ソング]

向井太一「"BLUE" TOUR 2018」

2018年1月13日(土)大阪府 心斎橋VARON

2018年1月19日(金)東京都 WWW

チケットはこちら

先行期間:11月27日 23:59まで

一般発売:11月29日 10:00から

http://eplus.jp/taichi2018/

向井太一 オフィシャルサイト


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