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<メンバー全曲解説>the band apart、外界へ開かれた『謎のオープンワールド』

2015年1月19日(月) 17:00配信

謎のオープンワールド

the band apartの7thアルバム『謎のオープンワールド』は、彼らがまた新たなフェイズに突入したことを告げる傑作だ。

全14トラックに4つのスキットをちりばめ、まるでゲームの世界に迷い込んだような仮想現実的な感覚と、いや、これこそが現実世界を覆っているムードそのものではないかという気づきが交錯する。縦と横のグルーヴをまさに縦横無尽に操りながら、バンドミュージックの自由を謳歌するジャンルレスなアレンジ力とアンサンブルはそのままに、今作はこれまで以上に外に開かれた音楽世界が構築されている。シンプルにシェイプされたサウンドは、全編日本語で綴られた歌のポピュラリティを前に押し出し、the band apartが体現するポップの沃野がより豊潤なものになっていることがはっきりわかる。

そもそもメンバー全員がソングライティングとサウンドメイクを担えるからこそ、the band apartの音楽性における引き出しと奥行きは底知れない。そのうえでよりフレッシュなクリエイティビティを求め今作は意識的に制作期間当初から楽曲のアイデアをメンバーで共有したという。

ドラムの木暮栄一による全曲解説をお届けする。作品とともにご一読いただければ幸いだ。(文:三宅正一)

   

   

『謎のオープンワールド』全曲解説

1. (opening)

このスキットのイメージは、いつも乗ってる電車の座席に座ってiPhoneをいじっていて、ふと前をみたら自分以外の人が誰もいなくなってたみたいな感じですね。“何これ!?”みたいな。別世界にトリップしてしまったような感覚を出したかったんですよね。band apartはメンバー4人全員が作詞も作曲もするから、いろんな視点や感情が混在してるんですよね。今作は特にそれが顕著で。リスナーにはゲームの世界に入り込んだ主人公が、いろんな風景を見たり、いろんな感情を覚えていくような感覚で捉えてもらえたら聴きやすいだろうなと思って。全体の流れを大きく分けると3つ。4つのスキットはその入口になればと。

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2. 笑うDJ

自分の好きな日本語のロックやヒップホップの歌詞って、意味はわからないけどすごくキャッチーみたいなものが多いんですよね。この曲の歌詞もそういうものにしたいと思ったんです。電車の窓の外にいつもの街の風景が流れていくんだけど、よく見ると赤塚不二夫のマンガのキャラクターが電車を追走してるみたいな(笑)。それくらい突飛で意味性のない散文詩みたいな歌詞になったと思います。サウンドの元ネタも俺が持っていったんですけど、全体像はスタジオで音を合わせながら作っていったのでストレートな感じになりましたね。すでにライブでもやってるんですけど、簡単というのもあってメンバーみんな楽しそうですね(笑)。

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3. ピルグリム

サウンドのネタを持ってきたのは荒井(岳史)で、そこから俺と荒井と原(昌和)の3人でベーシックを作るセッションをしました。結果的にかなりキャッチーな曲になったので、これをアルバムのリードトラックにしたいなと思って。歌詞は荒井から頼まれて僕が書きました。最初は「笑うDJ」の延長のようなイメージ優先の歌詞を書いてたんですけど、もう少し自分たちなりのポジティブな意志を示す内容にしたいなと思って。日々生きていきて、どちらかというとむかつくことのほうが多かったりしますよね。でも、たまにいいことがあって一瞬だけでもポジティブな気持ちになったりする。その一瞬を切り取ったような歌になりましたね。

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4.廃棄CITY

サウンドの元ネタを持ってきたのは川崎(亘一)で、歌詞も川崎が書きました。川崎と原の2人でアレンジしていって。川崎らしいアメリカンのギターリフをもとにいろんな要素が付け足されていったんですけど、原のアレンジセンスが活きて最終的にどんどんシンプルなサウンドになっていきました。歌詞はやさぐれてる男が街を歩いているような内容と思いきや、実際は歌い出しどおり方南町にあった僕らの前のプライベートスタジオを追い出されたときのエピソードっていう(笑)。

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5. (save point A)

2曲目のスキットですね。「笑うDJ」、「プルグリム」、「廃棄CITY」とアッパーな曲が続いて、そこからまた新たな異空間に入り込んでいくようなイメージで作りました。ちなみに踏み切りのSEは代田橋駅のものです。

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6. 禁断の宮殿

これはほとんど原が作った曲ですね。ディスコファンクっぽいサウンドで、爽やかでテンポ感も気持ちいいんだけど、そういうサウンドにこういう内容の歌詞を乗せるかっていう感じが原らしい(笑)。あいつが日常的に感じてるフラストレーションが言葉の端々に表れてますね。原の血液型はA型なんですけど、A型っぽい神経質さが曲作りのときだけ出るんですよ。ストイックになってる曲作り期間中にストレスを溜めながらメシを食いに行ったら、その店に流れてる曲にむかついてる様子が目に浮かびますね。

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7. 殺し屋がいっぱい

「禁断の宮殿」の歌詞で最後に“ソーシャルロッカー”ってワードが出てきますけど、それを受けてこの曲はまさにソーシャルロックな内容にしようと思って(笑)。曲の元ネタが軽快でポップだったから、なおさら歌詞ではふざけたいと思ったんですよね。今っていろんな場所に殺し屋がいると思うんですよ。それはここ数年間にSNSをやっていても思うことで。自分のなかに仮想敵を作って、それを直接的に言うんじゃないんだけど、“こいつは敵だぞ”っていう思惑が裏にあるような物言いをする人が多いなと思って。ネットが発達して情報を調べればいろいろ出てくる時代ですけど、だからこそ自分の身で体験しなきゃ本当の判断ってできないと思うんですよね。

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8. 遊覧船

この曲がいちばん狙いのない曲ですね。だからすごくリラックスしたサウンドになった。もともとはバンドでアコースティクライブに誘われることが多くなってきたから、そこでできる曲を作ろうというところから始まったんですよ。川崎がサウンドのネタを作って、俺がサンプリングっぽいループを組んで、メロディは原と荒井が一緒に考えました。歌詞は俺が書いて足りないところを原が書きました。ほかの曲も同時進行で作ってたんですけど、パッと空いた部分をメンバーの誰かが補うみたいな感じで楽しんで作れました。歌詞はさっきまで人がそこにいた気配は感じるんだけど、今は誰もいないっていう感じを出せたらいいなと思って。風景廟所だけの歌詞がほかになかったので、そこも意識しましたね。

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9. 月と暁

ストレートでシンプルなサウンドですよね。曲作り期間の序盤にサウンドのネタを荒井が持ってきて。歌詞も荒井が書きました。最初はBad Religionみたいな感じでものすごいネタをもってきたのと思ったんですけど、おもしろいから形にしてみようってなって。原のネタをいちばん最後にくっ付けたんですけど、何も悩まずにスムーズに形になりました。歌詞は、俺のイメージでは荒井の住んでるマンションのベランダであいつが缶ビールを持って佇んでるような感じ。いろんなことを反芻しながらほろ酔いで夜風を浴びてる荒井の姿が目に浮かびます(笑)。

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10. (save point B)

3曲目のスキットです。そろそろアルバムの終わりが近いというムードを出せればいいなと思って。夕方の5時のチャイムが遠くに鳴ってる情景って日本で育った人だとだいたい記憶にあると思うんですよね。あの感じが出せればいいなと思って。奥のほうで聴こえる歌をうたってる女性は1stアルバム(『K.AND HIS BIKE』)のときから女性の声がほしいときに呼んだらすぐに来てくれるチャニーさんです。今回も“いますぐスタジオに来て”って言ったらすぐに来てくれました(笑)。

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11. 裸足のラストデイ

アルバムの曲が全曲そろってまとめて聴いたときに俺個人の趣味だとこの曲がいちばん好きだったので、周りのスタッフに“リード曲にしてもいいんじゃない?”って言ったら“いや、歌詞が……”って言われて(笑)。原が書いたこの歌詞は、電波に乗りづらいワードを連呼してるんですけど、すごくあいつの気持ちが素直に出てると思うんですよね。僕らはずっと音楽を生業にしていて。もちろん税金も払ってるし、一般的な社会生活を送ってる面もあるんですけど、いわゆる会社員の人たちとは少し違う価値観や感覚があって。原の場合は特にマイノリティな生き方を体現するところがあるから。そういうあいつを知ってるとけっこうグッとくる歌になってる。

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12. 消える前に

スケールの大きなイントロだけ川崎が考えて、あとはほとんど荒井が作りました。歌詞も荒井が書きました。エモーショナルでロックなんだけど歌謡曲っぽいニュアンスもあって。なんとも言えない不思議な感触のある曲だと思います。シリアスな歌詞も含めて、これは後半の軸になる曲だなと思いましたね。

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13. 最終列車

大サビの部分のみ俺のネタで、あとは荒井が作りました。歌詞は俺ですね。最初は“こことここをくっ付けてVan Halenっぽくしよう”とか“アウトロを「ビバリーヒルズ高校白書」のオマージュにしよう”とか(笑)、ちょっとふざけた感じで遊びながら作ってたんですけど、いつの間にかすごくエモーショナルな曲になっていって。もうちょっとポップな歌ものになるのかなと思ってたけど、わりとシリアスなムードが強くなりましたね。自分の感覚を頼りに生きてるんだけど、それでも自分否定の連続なんですよね。そうやって年を重ねて生きていくんだなって思うんだけど、だからこそ自分の感覚を貫くことをあきらめたくないというか。そういう歌になってると思います。

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14. (ending)

最後のスキットです。8bitのいわゆるファミコンっぽい音で「最終列車」のアウトロを引き継いでるんですけど、こういうアプローチでアルバムの余韻を残せるものがあったほうが聴き心地として重くなりすぎないかなと思って。音の上にメンバーの会話が乗ってるんですけど、その内容があまりにもバカすぎて。話してるときは楽しいから気づかないんですけど、トラックを作るときにあらためて聴いてみたらあまりにもくだらなすぎて“これはねえな”と思って(笑)。それで会話にめちゃくちゃエフェクトをかけたんです。

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◆プロフィール

荒井岳史(Vo&G)、川崎亘一(G)、原昌和(B)、木暮栄一(Dr)で1998年に結成。
2001年に1stシングル「FOOL PROOF」でデビューし、2004年12月には自主レーベルasian gothic labelより「RECOGNIZE ep」を発表した。

◆TOUR INFO

the band apart 7th album"謎のオープンワールド"release live SMOOTH LIKE BUTTER TOUR

3/7(土)東京・新代田 FEVER
3/15(日)横浜 F.A.D YOKOHAMA
3/28(土)滋賀 U-STONE
3/30(月)神戸 太陽と虎
4/3(金)甲府 KAZOO HALL
4/5(日)熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
4/11(土)京都 GATTACA
4/17(金)浜松 窓枠
4/19(日)伊勢 CLUB RHYTHM
4/28(火)新潟 CLUB RIVERST
4/30(木)富山 Soul Power
5/1(金)松本 ALECX
5/12(火)岡山 CRAZYMAMA 2nd Room
5/14(木)福岡 BEAT STATION
5/16(土)熊本 Django
5/17(日)鹿児島 SR HALL
5/19(火)松江 canova
5/20(水)広島 Cave-Be
5/22(金)高知 X-pt.
5/24(日)高松DIME
6/3(水)名古屋CLUB QUATTRO
6/5(金)大阪BIG CAT
6/7(日)福山Cable
6/14(日)旭川 CASINO DRIVE
6/16(火)札幌 cube garden
6/18(木)仙台CLUB JUNK BOX
6/20(土)秋田 Club SWINDLE
6/21(日)青森 Quarter
6/23(火)いわき clubSONICiwaki
6/26(金)東京・六本木 EX THEATER

◆『謎のオープンワールド』TSUTAYA 予約/購入特典(抽選)

ツタロックフェス2015ご招待
※抽選特典の詳細は対象商品をお買い上げの際に先着でお渡しする応募ハガキをご覧ください。

◆ツタロック詳細はコチラ

the band apart オフィシャルサイト

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