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Awesome City Club、The fin.、Yogee New Wavesらが台頭する音楽シーン、次なるムーブメント「シティポップ」とは?

2015年3月11日(水) 20:01配信

次の音楽シーンのムーブメントは“シティポップ”だと言われる。その代表的なバンドとしては、シャムキャッツミツメ森は生きているYogee New WavesAwesome City Clubなどがあげられる。

Awesome City Club

次世代を代表するバンドのひとつ、Awesome City Club(Photo by TAICHI NISHIMAKI)

彼らのサウンドには、はっぴいえんど(70年代)に端を発する、山下達郎、シュガーベイブ、新井由実、竹内まりやら80年代シティポップの匂いは感じるが、それ以上に、US/UKインディー、歌謡曲、ロック、ジャズ、フュージョン、クラシックなど様々なジャンルを取り入れて独自のポップスを作り上げている。

そこでその“シティポップ”と呼ばれる現象がどこから始まったのかを探るべく、インディーズシーンの発信地とて、最先端の現場を見続けるTSUTAYA O-nestの店長・岸本純一さんに話を訊いてみた。

バンド同士の人間関係の中にある傾向

岸本さんが“シティポップ”ブームを初めて意識したのは2012年頃だったという。「SHIBUYA TSUTAYAで、O-nestのピックアップアーティストを紹介することになったんです。そこでOGRE YOU ASSHOLEトクマルシューゴ蓮沼執太らを取り上げることにしたけど、彼らを説明する言葉は“シティポップ”以外に思い浮かばなかった」という。もちろん、OGRE YOU ASSHOLEもトクマルも、自らシティポップと名乗ることはないし、いわゆる90年代のシティポップとはサウンド傾向が完全に重なるものではない。

なぜ、岸本さんは彼らを“シティポップ”と呼ぶことにしたのか。そこにはライブハウスの店長ならではの独特の視点があった。

 「まだ、明確にこれ!っていうシーンは誰も提言してないんじゃないんです。でも、みんな人と人とが繋がってるから」。
つまり、岸本さんは、音でジャンルを括るのではなく、対バンやイベントなどを通じたバンド同士の人間関係のなかにシーンの傾向を見出したのだ。そうすると、最初に書いた、森は生きている、Yogee New Waves 、cero、シャムキャッツ、ミツメらの萌芽が、 OGRE YOU ASSHOLE、トクマルシューゴから繋がっているという。

Do It Yourselfの精神

そこで、岸本さんに、彼らの特徴をいくつかあげてもらった。「この人たちは自分たちでマネージメントをやる場合が多いですね」。そして、主にYou Tubeやサウンドクラウドで楽曲を発表し、ジャケット写真などのアートワークも自ら手がけるのだ。「だから、それほどメジャーを重要視してないんです。もちろん売れたいとは思ってるけど、それがメジャーとイコールではないという考え方です」。さらに、「彼らは海外の来日アーティストとの対バンの可能性を持ってるバンドが多いです」という。もちろん、すべてのアーティストに当てはまるわけではないが、ひとつの傾向ではありそうだ。

ここからは具体的なバンドの関係性を見てみよう。

◆第一世代(2000年初頭~)

第一世代のアーティストたち

OGRE YOU ASSHOLE

トクマルシューゴ

SAKEROCK

二階堂和美

group_inou

にせんねんもんだい

前述した、OGRE YOU ASSHOLEトクマルシューゴが登場するのはおよそ10年前にさかのぼる。 OGRE YOU ASSHOLE は、かつてVAPからメジャーデビューをした時期もあったが、現在はインディーレーベルP-VINEに所属。このP-VINEレーベルというのが、このシーンを語るうえでは重要なポジションになる。

同じく、P-VINE所属のトクマルシューゴは海外のインディーポップファンから高い評価を受けるクリエイターのひとり。作詞・作曲、アレンジ、演奏から、レコーディング、ミキシングまでを自分でこなし、楽器のみならず身の周りの様々な道具を使って奏でる実験的なポップミュージックはまさに唯一無二だろう。

◆OGRE YOU ASSHOLE「夜の船」

一方、この世代で見てみると、SAKEROCK二階堂和美の名前もあげておきたい。ソロ活動が好調な星野源が在籍するインストバンド・SAKEROCKと、ジブリ映画『かぐや姫の物語』の主題歌を手がけた女性シンガーソングライター二階堂和美はともにカクバリズムというインディーレーベルに所属している。P-VINEと双璧をなすシーンの要だ。

◆SAKEROCK「Emerald Music」

音楽的な傾向は異なるが、ふたり組のエレクトロ・ポップ・ユニットのgroup_inouと、人力テクノ系3人組ガールズバンド・にせんねんもんだいもまた、上記バンドらと関係性は深い。いずれも独自のレーベルを設立して、海外ツアーなどを積極的に行なっている。

◆group_inou「THERAPY」

◆第二世代(2000年前半~)

第二世代のアーティストたち

cero

シャムキャッツ

続くカクバリズムからのバンドといえばceroだ。2012年リリースの2ndアルバム『My Lost City』の頃から大型フェスへの出演も目立ち、ティンパンアレー、はっぴいえんどなどの影響を感じさせるサウンドは、現代版シティポップとして紹介されることも多い。

◆cero「Orphans」

同時期のP-VINE系のバンドでいえば、2009年の1stアルバム『はしけ』が話題になった4人組バンドのシャムキャッツ。渋谷系をはじめ洋邦90年代のポップ/ロックを基盤としたバンドサウンドは、岸本さんいわく「(世代的には)上とも下ともコミュニケーションがあり、このシーンの中心といえる」存在だという。

◆シャムキャッツ「AFTER HOURS」

◆第三世代(2000年後半~)

第三世代のアーティストたち

スカート

吉田ヨウヘイgroup

ROTH BART BARON

王舟

ミツメ

トリプルファイヤー

00年代後半にかけてもレーベルごとの系譜でみていく。川本真琴などにに楽曲提供を手がける澤部渡のソロプロジェクトからスタートした3人組バンドスカートは、昨年からカクバリズムに所属。どこか影を秘めたサウンドは不健康ポップバンドと呼ばれる。

P-VINEからは、男女混成8組バンド・吉田ヨウヘイgroupが注目株。アルト・サックス、テナー・サックス、フルート、ファゴットなど4 管を含む男女混成の大所帯バンドで、その豊かなアンサンブルで生み出す日本語ロックはまさにハイブリッドな新世代といえる。

さらに、felicityレーベル(2002年に小山田圭吾が設立)からリリースしている、ROTH BART BARON王舟をあげておきたい。アコースティック楽器を多用した楽曲がUSインディーバンドとも比較されている ROTH BART BARONは2人組ロックバンド。王舟はトクマルシューゴの主催イベントに出演したことでも知名度をあげた男性シンガーソングライターだ。このあたりはみな年齢的には27歳前後になる。

一方、自主レーベルでDIYに活動する2バンドも紹介したい。4人組ロックバンド・ミツメトリプルファイヤーOGRE YOU ASSHOLE~cero~シャムキャッツに連なるグッドミュージックの系譜にあるミツメに対して、歌ともラップとも違う“語り”を削ぎ落したバンドサウンドにのせる3人組バンド・トリプルファイヤーはやや異端。だが、ミツメ、スカートらとの対バンもあり、このシーンでの人間的なつながりは深い。

◆王舟 「瞬間」

◆ミツメ 「うつろ」

◆第四世代

第四世代のアーティストたち

森は生きている

Yogee New Waves

Ykiki Beat

The fin.

水曜日のカンパネラ

Awesome City Club

今、最も勢いがあるのがこの世代だ。P-VINEに所属する森は生きているは、cero同様、はっぴいえんどの影響と共に語れることの多い6人組バンド。さらに“出れんの!?サマソニ!?”から注目を集めたYogee New Waves、ネット配信で知名度をあげて海外アクトとの共演を重ねる4人組Ykiki Beatなどは、2015年最も注目が集まるニューカマーたちだ。

日本語詞で表現するバンドが多いなか、全編英語詞でドリーミーなサウンドを築きあげるのがThe fin.。彼らは、サカナクション、KANA-BOONらを輩出した事務所・ヒップランドに所属している。また、ガールズボーカルで注目なのは3人組音楽ユニット・水曜日のカンパネラ。エレクトロなトラックに摩訶不思議なラップをのせる独特のスタイルは、その奇抜なライブパフォーマンスとともに話題を呼んでいる。

特にこの世代に特徴的なのは、その成長スピードだと、nest店長の岸本さんは言うAwesome City Clubは、「去年はじめて音源をもらって、“出させてください”っていうところからはじまったんです。それがもう自主企画でnestを完売してる」。もはやライブハウスでじわじわと人気が広まる、という時代ではないのだ。「受け身で音楽を聴いてたら目に留まらないアーティストたちを、ネットでちゃんと掘り下げて聴くお客さんがライブハウスに集まってるんです」。これが2015年音楽シーンの現状なのだ。

◆The fin.「Night Time]   

◆Awesome City Club 「children]   

以上、いくつかのバンドを紹介してきたが、そもそも岸本さん自身もこのシーンを“シティポップ”と呼ぶには違和感を拭い切れない。だが、次のムーブメントは確実に巻き起こっている。ネットを経由して無限のアーカイブを足がかりに花開く最先端なポップスのかたち。それは、ロックという言葉がもはやジャンルを語るものではないのと同じように、“シティポップ”もまた、高度なアンサンブルを駆使して独自の音楽のかたちを求める、その実験的な精神性を表す言葉になりつつあるのかもしれない。(文:秦理絵) 

※画像はすべて公式サイト、公式YouTubeより

>Awesome City Club 、The fin.が出演したツタロックフェスのレポートはコチラ

>The fin.「1万円以内でジャケ買いした3枚!」コラムはコチラ


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