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Base Ball Bear  Tour『三十一歳』のファイナル 2015年12月4日@豊洲PIT【ライブレポート】

2015年12月10日(木) 21:42配信

「やっぱり僕らは“うぇ〜い!”みたいなノリが苦手なんですよ。そもそも“うぇ〜い!”が得意だったらこんなバンドやってないし、こんな繊細な歌詞は書いてないですから。メンバーの関係性は16、17(歳)から変わってないけど、バンドの体質はものすごく変化したんです。ニューアルバム『C2』のレコーディングはすごくシビアでした。だからこそ、すごく音がいいでしょ? 30代を迎えて、自分たちがここまでストイックなバンドになれてよかった。次のアルバムは今作の5倍カッコいい作品を作るし、その次はさらに5倍、またその次も5倍、さらにその次は全国の電車のつり革が僕らのアルバムになってるでしょう」

本編終盤のMCで、フロントマンの小出祐介はこう語った。

口ぶりこそユーモラスであったが、吐いた言葉の内にこもった熱量は、とてつもなく高かった。リリース前のインタビューで小出は『C2』について、日本のバンドシーンの現状に強い違和感を覚えていることを踏まえて、このアルバムの精神性は2、3年後に向かって放っていると語った。

『「それって、for 誰?」part.2』に歌詞でも綴っているように、それは砂漠に水を撒くような行為である、とも。しかし、もしかしたら砂漠に水を撒き続ければいつかその場所は大きな湖になるかもしれない―—そういう信念と覚悟をもって、Base Ball Bearは『C2』を作り上げた。

Base Ball Bear

Base Ball Bear 小出祐介

12月4日、豊洲PIT。まだ『C2』のリリースがアナウンスされる前だった9月12日の水戸公演からスタートし、終盤に差しかかったころに『C2』のリリースを挟み、そして『C2』がどういうアルバムなのかリスナーに浸透したなかで迎えた、全25本にわたる「Base Ball Bear Tour『三十一歳』」のファイナル。

1曲目は『C2』に向かうシーズンの狼煙を上げたシングル『「それって、for 誰?」part.1』だった。粘度の高いファンクネスをたたえたグルーヴのダイナミズムで、同期音は一切使用せず生身のみでタフなバンドサウンドを体現するBase Ball Bearの本質と現在地が、いきなり浮き彫りになる。

“視点”と“視座”をテーマに、奥行きと行間に富んだ批評眼で現代社会の実相を捉えたリリックと、ポピュラーミュージックであることからも絶対に逃げないメロディの求心力を融合させた『C2』の歌——その指針としても『「それって、for 誰?」part.1』はある。

そのあとに続いたのは、前作『二十九歳』収録の「そんなに好きじゃなかった」と前々作『新呼吸』収録の「short hair」。それは近年のBase Ball Bearの音楽性がたどった変化であり進化であり深化を、オーディエンスに追体験させるシームレスな流れだった。


  • 小出祐介(G&Vo)

  • 湯浅将平(G)

  • 関根史織(B&Cho)

  • 堀之内大介(Dr&Ch)

Base Ball Bearならではの“視点”と“視座”に裏打ちされた構成

 

 

中盤もそういったコントラストを見せる趣があった。『C2』シーズンの2枚目のシングルである「文化祭の夜」と初期の楽曲である「Good bye」、『C2』シーズンの3枚目のシングルである「不思議な夜」と『新呼吸』収録の「Tabibito In The Dark」。『C2』の楽曲群の対になる過去曲は何かという、これもこのバンドならではの“視点”と“視座”に裏打ちされた構成だと感じた。

堀之内大介のドラムと関根史織のベースが支える骨太のリズムと、その上でコードとカッティングとフレーズを濃密に絡み合わせる小出と湯浅将平のギターワーク。今のBase Ball Bearのバンドアンサンブルは、絶え間なく創造性を更新し、プレイヤーとしてのスキルを磨き続けるギターロックバンドとしての矜持を示すようで、本当に頼もしい。

ネオアコテイストのサウンドに『C2』で唯一小出の私小説性の強い歌が孤独な様相でたゆたう「レインメーカー」と、オーディエンスに求めたハンドクラップをバックにメインのコーラスフレーズをメンバーがひとりずつ重ねていき、Base Ball Bearというバンドはこの4人とリスナーがあって成り立っているという“ハーモニーの存在”を際立たせた「どうしよう」、そして深遠なムードに満ちた「新呼吸」の連なりもグッとくるものがあった。

「日本のあらたなカッティングの神様が誕生する瞬間をみなさんにお見せしよう!」

 

 

本編終盤。小出が「まさに今、Zepp Tokyoでは“カッティングの神様”と呼ばれるナイル・ロジャースがライブをしていますが、日本のあらたなカッティングの神様が誕生する瞬間をみなさんにお見せしよう!」と宣言してから、「曖してる」から始まった横軸のグルーヴを強調しながら、縦軸の疾走感を高めていく怒涛の展開。

その最後に「祭りのあと」を響かせ、ロックバンドによる本当に刺激的で踊れる4つ打ちとは何かを、今のBase Ball Bearだからこそ発せられるすごみをもって誇示した。

ここからさらにBase Ball Bearは唯一無比の“ものすごいギターロックバンド”になっていく―—筆者がこの日のライブを観て覚えたのは、予感ではなく、疑いようのない確信である。

(文:三宅正一 撮影:緒車寿一)

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Base Ball Bearオフィシャルサイト


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C2

演奏者 Base Ball Bear 
歌と演奏 Base Ball Bear 
編曲 玉井健二 

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