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Brian the Sunインタビュー ブライアンが抱く「矛盾と葛藤の狭間にある大切なもの」

2017年1月23日(月) 12:08配信

インディーズ時代からBrian the Sunは、鋭く尖った感性と、時代に流されない反骨精神をチラつかせながら、自分たちが信じる音楽と真摯に向き合うロックバンドだった。そんな彼らが、アニメ『僕のヒーローアカデミア』の主題歌「HEROS」でメジャーデビューを果たしてから半年。1月11日にリリースされたメジャー初アルバム『パトスとエートス』は、今後バンドがどこに進もうとも、「自分たちの原点はここだ」と楔を打ち込むような作品だ。

今回のインタビューでは、このアルバムを軸にしながら、ブライアンがバンドとして何を目指すのか、全ての楽曲の作詞作曲を手がける森良太(Vo・G)に話を訊いた。インタビューの後半、森は「自分たちにできることは何もない」と言った。そのうえで、音楽に夢を抱き続けている、と。あたかも相反する価値観を受け入れながら、その矛盾と葛藤の狭間にある大切なものを失わずにいる。それがBrian the Sunというバンドの真実なのだと思う。(インタビュー&文:秦理絵)

Brian the Sun

─メジャーデビューから半年が経ちましたけど、いまはどんな心境ですか?

「めっちゃ良い人ばっかりですね」

─メジャーには嫌なヤツがいっぱいいると思ってた?

「もちろん(笑)。もっとライブのダメ出しとかをされると思ってました」

─インディーズ時代から、特に環境の変化を感じることってありますか?

「バイトをせんでよくなったことですかね。でも、バイトをしてる時間って、いままでは曲を考える時間だったりもしたんですよ。そこで、いろいろと感じることも多かったので。だから、またバイトをしようかなと思いますけど……」

─いま、スタッフの視線が一気にきた(笑)。

「しません!冗談です(笑)。いまは順風満帆です。ライブと制作しかしてないから、ラクなんです。「朝、この時間に起きて、毎日仕事に行かなあかんわ」とか、「仕事場の人とどんなテンションで会おう」とかがないじゃないですか。幸せです。そのぶん自分から心の振り幅を作っていかないけんなとは思ってます

セルアウトもスタッフに対しての愛情だったりしますから

─メジャー以降のブライアンについて正直に言うと、デビューシングルの「HEROES」は、インディーズ時代にないぐらい明るくてストレートな曲だったのが気になってて。

「やっぱりアニメとちゃんとコラボしたかったんですよね。アニメって日本の文化のなかで、ちゃんと確立した立派なアートじゃないですか。そのアートに対して、世界観をないがしろにせんと書きたいなと思ったんです。どちらかが主役とか脇役じゃなく。だから、あのとき、『今回はタイアップだから聴いてもらうために』っていうことを主軸に置いてたら、もっと意味がわからん曲になってたと思うんですけど。アニメの世界観とコラボするつもりで曲を書けば、何ひとつ嘘のない歌になるっていうのは、意識して書きましたね」

─そのコラボによって、いままでのブライアンにない新しい引き出しを開けてもらったっていう感覚はありますか?

「たぶん、ここから先、僕らにとっての課題が見えた気がするんです。なんかこう……「らしさ」みたいなものって、周りがみんな持つじゃないですか。俺は、その「らしさ」みたいなことは、あんまり大事にしたくないんです。それを言い出すと、売れないと思うんですね。俺らの「らしさ」っていうのは、排他的なところだと思うから。聴く人の好き嫌いがはっきりしていて、好きな人は深く聴ける。それが俺のやりたいことやったりもするんですけど、あんまりこだわりすぎると良くないんです」

─小さいコミュニティだけで終わってしまう危険がありますもんね。

「こだわりが足枷になるんですよね。だから『ヒロアカ』っていうアニメとのコラボは、『ここまでは俺たちは嘘をつかずにできる』っていうのを教えてくれた作品やったんです。『らしさ』なんて誰が言い出したのかわからないし、俺がそう思ってやり続けたからそうなったのかもしれないけど、そうやって自分の行動を制約してるものから脱したいっていうのは、ずっと思ってます。そうするタイミングを探ってる感じがするんです。

─でも、「らしさ」のなかには、バンドにとっては守ったほうがいいものと、捨てるべきもののふたつがあると思うんですね。ブライアンが守るべき「らしさ」は何ですか?

「愛情の一点やと思います。まず、自分が音楽を作るっていうことにあたって、愛情とか情念があるかっていうことが、その「らしさ」だったり、戦略だったりに負けてはいけない。それだけは守りたいんです。だから、今回の新しいアルバムに関しても、愛情とか情念をちゃんと込めたから、メジャーだからっていう奇を衒った感じにもなってないんです」

─なるほど。いきなり嫌な質問だったと思うけど、メジャー一発目でブライアンがああいう垢抜けた曲を作ったぶん、一見、セルアウトしたようにも見える。そのへんの誤解があるようだったら、解きたいと思ったんですよね。

「まあね、わかりますよ。セルアウトもスタッフに対しての愛情だったりしますから。自分のことだけを考えて曲を作るのは、あんまりかっこよくないと思うんです。バンドを続けていけば、守りたい人もできるから、アーティストは、いつか数字として結果を残さないといけないタイミングが絶対に訪れる。そこに鬩ぎ合いがあるから、人のアルバムを聴いてても、『変わったな』と思うより、『なんか、いろいろあんねんな』って思うんです。それも愛情あってのことだとしたら、どっちが良い悪いは言えないですよね」

アルバム『パトスとエートス』はツッコミどころの多い作品やと思うんですよ

─なるほど。そういうなかでリリースされるアルバムが『パトスとエートス』で。この先、ブラインが進んでいくうえで指針になる作品になったんじゃなかと思います。

「たしかに先に自分たちの指針を出しておきたいっていうのは、その通りですね。アルバムの1枚目でこれが自分たちだっていう足場をしっかりさせたいっていうのはあったし。『1枚目だから、パンチのあるやつにしてくれ』とかも周りに言われなかったので。言おうと思ったら、いくらでもそういうことを言える、ツッコミどころの多い作品やと思うんですよ。でも、それこそ「らしさ」をわかってもらってるから出せるなあと思います」

─自分で思うツッコミどころはどういうところですか?

「1曲目の『Impromptu』とか」

─ああ、かなりローな感じで始まりますからね。

「俺らは作品として作ってるんですよね、商品としてじゃなく。そのへんがね、購買意欲をそそるというよりも、長く聴けるっていうスタンスなんです、相変わらず」

─でもメジャーでアルバムを出すっていうことは、作品であることも大事だけど、そのうえで、ちゃんと商品じゃないといけないですよね?

「そうなんですよ。そのへんの線引きは、もちろん考えはしました。自分らだけでやってればいいやっていうのは、やっぱり嫌やし。せっかくメジャーでアルバムが出るなら売れたいっていうのはあるし……」

─でも、ブラインが売れるには、この方法なんでしょうね。

「そう、俺もそう思うんですよ。『俺は正直にやってます』って言った以上、どこかのタイミングで、正直でやるこをとやめてしまったら、『なんだい?』ってなるじゃないですか。そうなってほしくないから、がんばって正直にやるんです。でも、正直にやり過ぎると、深く深く、狭く狭くなっていくっていう、その葛藤はあるんですよね」

─なるほど。ここに一本の横軸があって、右がマニアックゾーン、左がリスナーに歩み寄ったゾーンだとして、このアルバムはどのへんにある作品だと思いますか?

「どっちかって言うと、俺はマニアックゾーンに振ってると思います。でも、めちゃくちゃ冷静になったときに、いまのロックシーンの中心にいるリスナーって、3年後には就職してはるような、いちばん不安定な人じゃないですか。高校生が大学生になって、大学生が社会人になる。そしたら、違うものを聴くと思うんです。でも時間が経っても、俺らの曲は聴き応えがありますよって言える。いまのど真ん中っていうのは、むしろ、いちばん避けていたいんです。俺らは特定の層に絞って歌ってるわけではないので。大人が聴いても、子どもが聴いても、ずっと良いと思えるものを作りたいんです」

次に進んだり、変化を持たせる時っていうのは、一回何かを断ち切ったり、壊したりすることが必要だと思う

─今回のアルバムを作るうえで目指すイメージは何かありましたか?

「アルバム自体を男性的なものにしたいと思ってました。男性的な働きを持たせたかった。っていうのは、女性は守る仕事じゃないですか、優くて、暖色の、角のない丸み、包み込むようなっていう。逆に男性は、守るより攻める、暖色より寒色っていう、女性とは対称的なイメージですよね。一言で言うと、絶ち切るエネルギーが強いと思うんです」

─断ち切るエネルギー?

「全ての人間は女の人から生まれてくるわけじゃないですか。だから男の人って母離れをする瞬間があって、母親を断ち切らなければならないと思いますんです。そういうニュアンスというか。だから、次に進んだり、変化を持たせる時っていうのは、一回何かを断ち切ったり、壊したりすることが必要だと思うんです。それが、僕らの1枚目のアルバムになったらいいなと思ったんですよね。それができたら、次は本当に優しくもなれるし」

─アルバムのタイトルに掲げた「パトスとエートス」の意味は?

「辞書でひくと、“パトス”は感情が揺れ動く一瞬のこと、情動っていう意味なんです。“エートス”は、性格とか習慣ですね。だから、このアルバムは、いまはパトスなんですけど、何年かしたら、エートスになってるかもしれないっていうイメージがあって。エートスには、“帰る場所”っていう意味もあるんですよ。だから、それこそ何年か先に、俺たちが本当にセルアウトするタイミングがあったとして、これを聴いて、『あ、このときはこういう感じでやってたんやな』って思い出す、そういう作品にしたいと思ったんです」

─歌詞では“君”とか“あなた”に対して、心が通じなくて寂しいとか、擦れ違っていて辛いということが、ほぼメインテーマですね。

「その女々しさが、今回のアルバムが男性的たるゆえんなんですよね。“女々しい”っていうのは男性的じゃないですか。そういう弱さが歌詞では出てると思います」

─森くんは、こういう曲たちを失恋のラブソングという認識で書いてますか?

「“君”というものを何に置き換えるかは人によって自由だと思うんです。だから、自分のなかでいろんな物事に置き換えてほしい。そこにはもちろん恋愛も入るし、お客さんと僕らの擦れ違いだったりも含まれてるんですけど、それを具体的には言いたくはないんです。それを書いちゃう仕事ではないので。僕はあくまでも音楽を聴き終えたあとに、その人がなんとなく何かを思い出せるような、そういうかたちで置いておきたいんです」

─だから、今回のアルバムでは、歌詞のなかで、直接的に自分たちはこうだとか、みんなこうしたほうが良いんだとか訴えるメッセージはないんですね。

「言うときは、ちゃんと言いますけどね。インディーズ時代の曲で『ロックンロールポップギャング』っていう曲があって(ミニアルバム『彼女はゼロフィリア』収録)。そこでは、《気に入らない事ばっかりだ》っていうことを歌ってるんですけど」

─あの曲はめちゃくちゃ尖ってるもんね。

「言うときは、あれぐらいはっきり言いたいんです」

─だからこそ今作は、直接的ではないけれど、作品全体で、「俺たちはこういうことをやりたいバンドなんだ」っていうのを間接的に伝えてる1枚だと思うんです。

「ほんまは言ったほうがわかりやすいとは思うんですよ。でも、どこか音楽に夢を見たいところがあるから、そこにある含みまで聴く人から奪うことはできないんです。そこの余白がないと、ただのメッセージになってしまう。それは押しつけがましいですよね」

─ただ、実際にはメッセージを売りにするアーティストも支持されていますよ?

森:それが俺らのスタンスなんだっていう感じでやってくれたら潔いし、かっこいいんですけど、音楽家がメッセージ性に食われるタイミングが絶対にあると思ってて。震災のときに、メッセージ性に負ける音楽家がたくさんいた─それは音楽家だけに限った話じゃないですけど。個人の主観が強く出ると、音楽は聴いててしんどいものになってしまうと思うんですよ。僕は、こう思うんだ、君もそうだろ?っていうのは、よほど迷ってる人には大切なメッセージかもしれないけど、自分の足で歩いとって、そこで壁にぶち当たって悩んでる人にとっては、必要のないメッセージだと思うんです。本当に聴く人のことを考えたときに、手を差し伸べるだけが愛情ではない。だから、僕らの曲には、わりとふわっとした、何を歌ってるかわからんっていうのが多いのかもしれないです。

─そうなると、Brian the Sunの音楽が、リスナーの日常にのなかで、どういう風に機能してほしいと思いますか?

「うーん……もちろん力にはなってほしい、パワーにはなってほしいんですけど。結局、音楽を聴いて、何かを感じるのもその人なんですよ。だから、そこまでは、俺も何も言えないです。生きる糧にしてくれてもいいし、なんとなく「聴いてみようかな」でもいいし。ただ、ずっと一貫して思うのは、別に俺らにできることは何もないっていうことですよね。それを聴いて、今日もがんばるぞって思うのは、聴いてる人やから。それは、陽が暮れるときに、きれいな夕陽を見て、『明日もがんばるぞ』と思うのと同じというか」

─夕陽は何もメッセージを持ってないけれど、見ると、なにか込み上げるものがある。

「それと一緒ですね。音楽はそれぐらいの感じでいいと思ってます。ときにメッセージは放ちたいとも思いますけど。僕らにとって、それはいまではないんです」

Brian the Sun TOUR 2017 「パトスとエートス」

2017年3月3日(金) 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd[ワンマン]
2017年3月12日(日)名古屋 SPADE BOX【ワンマン】
2017年3月25日(土)京都 KYOTO MUSE
2017年3月26日(日)神戸 Varit.
2017年3月31日(金)高松 DIME
2017年4月1日(土)岡山 IMAGE
2017年4月4日(火)札幌COLONY
2017年4月7日(金)横浜BAYSIS
2017年4月11日(火)宮崎SR BOX
2017年4月12日(水)鹿児島SR HALL
2017年4月22日(土)金沢 vanvan V4【ワンマン】
2017年4月23日(日)富山 SOUL POWER
2017年4月30日(日)新潟CLUB RIVERST【ワンマン】
2017年5月6日(土)梅田 CLUB QUATTRO【ワンマン】
2017年5月12日(金)広島BACK BEAT【ワンマン】
2017年5月21日(日)福岡 BEAT STATION【ワンマン】
2017年5月27日(土)東京 LIQUIDROOM【ワンマン】

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Brian the Sunオフィシャルサイト


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パトスとエートス

パトスとエートス

演奏者 Brian the Sun 
歌と演奏 Brian the Sun 
作詞 Ryota Mori 
作曲 Ryota Mori 
編曲 Brian the Sun 

 作品詳細・レビューを見る 

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