“写経”から空間を探る。日本モダニズム建築の巨匠・原広司の“いま”

2015.1.12 (月) 07:00

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展覧会公式図録『空間概念と様相をめぐる〈写経〉の壁紙』(現代企画室刊)より

長きにわたり建築ファンを魅了してやまない日本モダニズム建築。代官山 蔦屋書店の建築デザインコンシェルジュ 三條陽平氏はいま、「原広司、谷口吉生、磯崎新など、日本の近代建築を牽引してきた巨匠たちの活動に注目している」と語る。


日本近代建築を総括する季節

三條氏はなぜ、建築界の巨匠たちの“いま”に注目しているのだろうか?

「いま、日本近代建築を牽引してきた巨匠たちが自身の建築論をあらゆる形で世に残していこうという活動がおもしろい。日本の建築を世界レベルに押し上げた建築家たちの魂が発表されているのが、いまだと思うんです。おそらくそれは、世代交代という建築界の流れ。だからこそ、代官山 蔦屋書店でもご紹介していきたいと思っています」

金沢 21世紀美術館で 2015年3月15日まで開催されている「ジャパン・アーキテクツ 1945-2010」展、2014年夏に埼玉県立近代美術館で開催され、全国巡回中の『戦後日本住宅伝説~挑発する家・内省する家』展など、戦後日本建築史を総括するような企画展が日本各地の美術館で行われている中、三條氏が特に注目したのが、市原湖畔美術館で開催された「原広司:WALLPAPERS」展だ。


原広司の建築思想に触れるー「原広司:WALLPAPERS」

JR京都駅、梅田スカイビル、札幌ドームなどの建築で知られる、日本を代表する建築家のひとりである原広司氏。「空間とは何か」ということを追求した「原広司:WALLPAPERS」展は「異質な展示だった」と三條氏は語る。

「原さんがこれまでに読んできた経典、神話、小説、哲学書などさまざまなジャンルの書籍から、空間に関する箇所をピックアップして、原さんがスケッチした風景・夕景などの上に写経しているんです。最初は原さんの建築作品を総括するような展示になる予定だったらしいのですが、新しい建築表現の限界に挑戦するという意味でこのような手法を取ったようです。原さんは実作のみならず建築論でもフォロワーが多いのですが、本展を通して原さんの建築思想に触れることができると思います。原さんはこの展示を見ることが 2500年の旅だとおっしゃっていますが、まさに空間概念と様相をめぐる展示だったと思います」

展覧会公式図録『空間概念と様相をめぐる〈写経〉の壁紙』(現代企画室刊)

「展覧会公式図録『空間概念と様相をめぐる〈写経〉の壁紙』(現代企画室刊)もとてもかっこいいんです。実際に展示で使われているトレーシングペーパーが本書でも使われています。そのほか、経典、哲学書、グリム童話など、実際に作品に使用された関連書籍もあわせてることで、本書を中心に原広司さんの思考を探ることができると思います」


『ジャパン・アーキテクツ1945-2010』(新建築社・金沢21世紀美術館刊)

「ジャパン・アーキテクツ 1945-2010」展の展覧会カタログ。展示資料に竣工写真を加え,解説文とともに紹介。 アーカイヴ性の高い一冊。

『戦後日本住宅伝説 ─挑発する家・内省する家』(新建築社刊)

「戦後日本住宅伝説 ─挑発する家・内省する家」展の展覧会カタログ。16人の建築家、16の住宅を紹介。戦後住宅の流れを建築家のコンセプトとともに探る。


日本のモダニズム建築は、日本が世界に誇るべき文化のひとつ。いまだからこそ、時代を築いてきた建築家の言葉や思想から、建築の真髄に触れたい。

(文:岡崎咲子)

【代官山 蔦屋書店】
建築・デザインコンシェルジュ 三條陽平 氏

TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで建築・デザインの担当をした後、2012年から代官山 蔦屋書店のコンシェルジュに。月に一度、建築物を見るために地方へ出かけることをライフワークとしている。今後は海外、特にニューヨークやスイスの建築を見に行くことが目標。

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