注目の建築家・中村竜治とともに“庭”を考える4冊

2015.1.22 (木) 07:00

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『bang』

社会や価値観が多様化している昨今、建築家の職能も多様化してきている。30代から40代の若手建築家は数多くいるが、それぞれが次の時代の建築のあり方を模索している。東京をベースに活動をしている建築家・中村竜治氏もそのひとりだ。

『atmosphere』

「中村さんは、建築家でありながら、その仕事が会場構成やインスタレーションなどアート作品に近いものが多く、見る人との関係性でできあがるような作品で評価が高い建築家」と、代官山 蔦屋書店の建築コンシェルジュでの坂山毅彦氏は話す。

「会場構成やインスタレーション作品でありながら、建物を作るときと同様にクリアすべきストラクチャーをきちんと考えているところがすばらしいと思います。また一見、構造的にもたなそうな繊細な部材を用いるところが新しい建物の可能性も秘めている。あらかじめ確立された構造形式に寄らないで、構造物の力の流れや部材の物性などの基礎を丁寧に造形に結びつけるデザインを見ていくと、ありえる建築構造はもっとあるんじゃないかなとも思わせてくれます」

中村氏の作品に見る“関係性”

『beam』

今回、中村氏に“庭”というテーマで選書してもらった。そこから見えてくる“庭”の姿とはなんだろうか?

「関係性だと思います。例えば、『beam』という作品は、『感じる服 考える服:東京ファッションの現在形』展(2011年、東京オペラシティアートギャラリー)というファッションの展覧会場の会場構成の仕事なんですが、梁と呼んでいる目線くらいの高さに架けられた水平の部材で各展示ブースを区切っているんです。これを床に投影すれば、いわゆる敷地境界線のようなものになりますよね。この中に置かれる展示物が家だとしたら、そのまわりの部分は庭になる。隣の展示は借景になる。この梁は出展者にそう意識させます。このように中村さんの手がける会場構成の中にも、家と庭との関係性が見て取れます。庭を直接的に緑のある空間と語るよりは、中があって外がある、自分があって自分の隣もあるなど、その関係性についての考えのあらわれだと思います」

坂山氏に、中村氏が“庭”について考えるための書籍を、彼のコメントとともに紹介してもらった。

“庭”への思考をめぐらす4冊

『たのしい写真』

ホンマタカシ 著、平凡社 刊

写真家・ホンマタカシの自身の写真術を述べた一冊。「日本庭園でよく使われる借景は写真と類似点があります。写真が与えてくれる多用な視点は、借景というある意味古典的な手法にまだまだ可能性を与えてくれるような気がします」

『立体で見る星の本』

杉浦康平・北村正利 著、福音館書店刊

付属の立体メガネを使って、宇宙の星を立体で見せる一冊。「夜空の星を見るとき、それぞれの星の遠い近いはあまり意識しませんが、それを立体メガネを使って表現した本です。星空は誰もが何処に居ても平等に共有できる庭だと思います」

『ティファニーのテーブルマナー』

W.ホービング 著、鹿島出版会 刊

ティファニーの前会長によるテーブルマナーの入門書。「テーブルマナーが、美しくユーモアのあるイラストで表現されています。マニュアル本にしてはたっぷりな余白が、庭を感じさせます」

『原っぱと遊園地』

青木淳 著、王国社 刊

ルイ・ヴィトン表参道、青森県立美術館などで知られ、中村氏の師でもある建築家・青木淳の建築論集。「空地という無目的な庭の可能性に、デザイナーは立ちすくみ、自由に形や機能を生み出してきた手を止めざるをえません」


中村氏の選書は、建築論のみならず、写真論、絵本、テーブルマナーなどジャンルは異なる。それは、私達が持つ庭の概念への問題提起に満ちている。中村氏の選書から、新たな“ものの見方”のヒントを得たい。

(文:岡崎咲子)

◆代官山 蔦屋書店関連イベント

建築家による選書棚シリーズ「BOOKS with ARCHITECT」 第七回 建築家・中村竜治と「庭」
2015年2月1日(日)19:00~21:00
蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース

【代官山 蔦屋書店】
建築コンシェルジュ 坂山毅彦 氏

2013年から同店のコンシェルジュに。一級建築士としても活躍し、建築設計事務所を主宰。社会と建築の距離を縮めることを目指した棚作りに取り組む。毎月、自身が注目する建築家が選ぶ本を紹介し、トークショーを行う「BOOKS with ARCHITECT」を企画している。

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