ブーム真っただ中! エアプランツによるグリーン表現の最前線/The Landscapers塙正樹氏インタビュー

2015.6.29 (月) 19:52

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グリーンの表現は新しい時代に入ろうとしている。街を見渡してみれば、壁面緑化や植物を用いたディスプレイなど、グリーンが求められる役割はますます広がってきた。これまで以上に多種多様な場所でグリーンが必要とされている今、とりわけ注目を浴びているのが、エアプランツという種類の植物。知らない人には驚かれるかもしれないが、土がいらない植物なので、常識に縛られない柔軟な表現が可能となるのだ。

The Landscapers(ザ・ランドスケーパーズ)は、こうしたエアプランツの可能性に目を向け、独自のクリエーションで新しいグリーンの表現を開拓しているボタニカルブランド。スタートして1年足らずの新鋭ブランドでありながら、その洗練されたセンスが評判を呼び、活動の幅を広げつつあるところだ。アパレルやライフスタイル系のショップで、エアプランツを用いたディスプレイやオリジナル商品の販売を実施するほか、今年6月には代官山 蔦屋書店で「favorite books, favorite plants」というテーマを掲げ、洋書とエアプランツをコラボーレションさせた斬新な展示も行った。

まさに表現としてのグリーンの最前線にいると言っても過言ではないThe Landscapers。彼らの活動を紐解くことで、グリーンの表現の“今”が見えてくるのではないだろうか。そこで今回は、The Landscapersのディレクションを務める塙正樹氏に話を聞いてみた。

アパレルやインテリアの現場で掴んだ、グリーンの需要

ーまずThe Landscapersを始めたいきさつについて教えてください。

The Landscapersとは、アパレルメーカーに勤めていた僕と植栽関係の仕事をしていた妻の2人が中心になって始めたボタニカルブランドです。現段階でユニット形式ではありますが、本当は僕らに共感してくれる方全員を「The Landscapers」と呼びたいと思っています。

このブランドを始めたきっかけですが、僕がアパレルメーカーで働いていた頃、もう洋服だけで店舗展開できる時代ではないなと感じていました。今はアパレルだけでなく、雑貨、食材、グリーンなど、ライフスタイル全般をトータルに提案しないと生きていけない時代なんです。雑貨やグリーンが見たい、という気持ちが入り口になってライフスタイルショップを訪れるケースは多くありますから。

ー最初に現場のニーズありきでブランドを始められたと。

はい。ですが、センスの良いグリーンを店舗に取り入れたいという時に、どこに頼めばいいか分からないというケースが大半だと思います。植物のレンタルを行っている業者に頼むと味気ないものになってしまいます。グリーンに対する現場のニーズは、僕自身が実際に感じていました。それがボタニカルブランドを立ち上げたきっかけのひとつです。

空間ありきでグリーンを考える、バランス感覚の妙

"Hanging Glass Tillandsia" type B. @the_landscapers_japan

"Cylinder 15. stone. Tillandsia” @the_landscapers_japan

ー実際のお二人の役割分担について教えていただけますか。

まず妻は作り手。彼女は園芸の仕事をしていた経験もあるため、グリーンに関する正しい知識を持っています。商売ベースからはいったん離れて、クリエーターとしてグリーン商品のアッセンブリ(制作)を行っています。

そして僕はディレクションを担当しています。クライアントと話をして、最初のプランニングも行っています。僕が考えたプランに対して、妻が現実的な形を与える、という役割分担でしょうか。お互いにぶつかることもしょっちゅうですよ(笑)。僕は尖ったものを作りたくなるし、妻は実際に作る中でアレンジをしたくなったりもする。でも、だからこそ面白いものがつくれるんだと思います。

ーアパレルやインテリア業界での経験は役立っていますか?

例えばグリーンでショップをディスプレイする場合、グリーンは主役ではなく、あくまでも空間を引き立てるものに過ぎません。どういうグリーンであればお客さんが素晴らしい空間だと思ってくれるのか、それが大切なこと。その意味では、やはり僕らの経験は生きていますね。僕が前職でアパレルセレクトショップのコンサルティングをしている時にも、「絶対にグリーンは必要ですよ」と提案することもありました。

"TLS Iron Wagon" @the_landscapers_japan

ーエアプランツに注目したのはなぜですか?

エアプランツは今人気のある植物で、お客さんに目にしてもらいやすい、そしてインテリアとしての表現の可能性もある、というのが、エアプランツに注目した理由ですね。でも実は、エアプランツだけにこだわっているわけではないんです。ゆくゆくはボタニカル全体を提案していきたいと考えています。

ーボタニカルの提案と言えば、最近ではグリーンの在り方はずいぶん変わってきていますよね。

ええ。アパレルや本屋でグリーンが売れるなんて、昔は考えられなかったことです。それに、僕らはカフェや飲食店でも展開させてもらっていますし、グリーンを買うならここじゃなきゃいけない、という垣根は既になくなっていますね。将来的には病院や美術館にも置けたらいいですね。


自分たちの目の届く範囲でグリーンを展開していきたい

ーグリーンの提案においてこだわっていることはありますか。

グリーンが広がるのはいいんですが、枯れてるところを見ると悲しくなります。だから、オファーをいただいた時には「管理する人を付けてください」と必ず伝えているんです。それと、いろんな場所に置くのではなく、できるだけ一箇所に集約して見せて欲しいと。なぜなら、一箇所に集まっている方が管理しやすいんです。散らばっていると見逃すものも出てきますから。

グリーンを広げても、枯れてしまったら意味がありません。僕らのブランドにも傷が付きます。僕らのビジョンに共感してくれる方々に対して、僕らの目の届く範囲でやっていきたいから、無闇に取引先を増やそうとは考えていません。

ーなるほど。そして先ほどの話で言えば、そうやってグリーンを管理する人たちも、The Landscapersの一員になるんですね。

その通りです。いずれはThe Landscapersのバッヂを作って、管理してくれる人たちに付けてもらいたいな、なんて考えています。

ー最後に、これからの展開を教えてください。

僕らは鎌倉の鎌倉山に自宅兼アトリエの拠点を置いているのですが、「KAMAKULAND(カマクランド)」という名前で、鎌倉山にガーデンスタジオをつくっています。実際に僕らの世界観を見てもらう場所は欲しいので、準備を進めているところです。

鎌倉山はリスが多く、タヌキもいて、ウグイスの鳴き声も聞こえてくる自然豊かな場所。将来的には、魅力ある全ての植物を年中見ることの出来る環境をKAMAKULANDに作っていけたらと考えています。


The Landscapersの強みは、グリーンありきではなく、空間ありきで最適なグリーンを考えられるバランス感覚にあるのだろう。それは彼らのハイセンスなグリーンやオリジナル商品を見れば一目瞭然だ。しかしその一方で、「目の届く範囲でやっていきたい」と塙氏が語るように、グリーンを単なるインテリアとして捉えるだけでない、真摯な態度も印象的だった。

インテリア性と育成の両面を大切にする彼らのクリエーションは、インテリアを求める人も、グリーンマニアも、双方を納得させる次元の高さだ。今後の活躍の広がりやKAMAKULANDのオープンに伴い、そのレベルはさらに高まりを続けていくことだろう。The Landscapersが提案するグリーンの“今”、ぜひその目で感じ取ってもらいたい。

(文:玉田光史郎)

◆あわせて読みたい

あるモノの隣に置くのがコツ? エアプランツの育て方をThe Landscapersに聞く

【プロフィール】塙正樹(はなわ・まさき)

The Landscapers/クリエイティブディレクター。広告代理店企画制作関係、インテリア関係、アパレルメーカーに勤務後、植栽関係の仕事をしていた妻と2014年、The Landscapersを設立。現在は株式会社ビヨンクールのクリエイティブディレクターを本業に、同ブランドのプランニングやディレクションも担当している。

The Landscapers official site


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