美術館の建築ならこの人! 誰もが見惚れる谷口吉生の「超美人建築」とは?

2015.10.30 (金) 15:30

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豊田市美術館

豊田市美術館

日本を、そして、20世紀を代表する建築家である谷口吉生。美術館の名手とも呼ばれる彼の作品は、処女作である資生堂アートハウス、豊田市美術館、鈴木大拙館などをはじめ、日本国内でも多数見ることができる。休日は日本全国を建築行脚しているという代官山 蔦屋書店の建築デザインコンシェルジュ・三條氏は、先日山形県にある土門拳美術館を訪れ、日本国内にある谷口吉生手掛けた国内の主要建築を制覇したのだとか。

豊田市美術館 彫刻テラス

豊田市美術館 彫刻テラス

「谷口建築はとにかく、ディティール(庇、手摺、窓枠、サッシなど)建築の所作がすばらしくきれいなんですよね。谷口吉生は、建築の全面に水(池)を配することを特徴としているのですが、水の流れる排水口の処理まできれい。館内のエアコンの隠し方とか、いつも注目して見ています。微妙に寸法が合わず隙間を埋め込むという現場合わせが建築だと、どうしても起こり得るんですが、そういうところが絶対にない。完璧なまでに作りこまれているんです。プランをきれいにグリッド分けして設計しているからこういうことができると思うんです。

もう1つの特徴として、全面に配した水を含めた周辺環境と一体となった建築のプロポーションです。これがとにかく美しい。

建築の形態は水平垂直でコンクリート打ち放しの所謂、モダニズム建築なんですけど、古来からある木造の日本建築を見ているかのような気になります。海外の人から見る日本人というと、謙虚で親切で丁寧など言われますが、そういう日本人独特のアイデンティティが建築として立ち上がったかのような、超美人建築と僕は呼んでいます。

そして、谷口建築の中には40年以上前に竣工した建築もあるんですが、年月が経ってもすごくきれいなんですよ。多少の経年劣化はあるにせよ、ほとんどがきれいなのは、単純にその建築が使いやすいからだと思うんです。やはりいい美術館、いい建築というのは、そこにいる人たちが大切に使うし、「きれいに使わないと」みたいな心理的な作用が自然と働く。使い手の振舞いまで操作してしまうのも建築の偉大なところだと思います。


今改めて感じる、20世紀建築の美術館の魅力

鈴木大拙館 思索空間と水鏡の庭

鈴木大拙館「思索空間と水鏡の庭」

20世紀を代表する建築家である谷口吉生。21世紀になり、新たな建築の形も提示されている中で、三條氏が改めて感じる谷口吉生建築のすばらしさとは?

「谷口吉生は20世紀建築のお手本のような人。21世紀型美術館の代表作と言える金沢21世紀美術館は、地域のコミュニティを巻き込んで、誰でも気軽に寄れる美術館、開かれた建築という新たな境地を創り上げました。逆に、谷口吉生の手掛ける美術館というのは、とても美術館らしいというか、ちょっと緊張する。静かにしないといけないとか、走ってはいけないとか、図書館・美術館にあるような固定概念があると思うんですけど、そのイメージのままの美術館です。どちらが良い悪いという訳ではないですが、僕は20世紀型のほうが好きなんです。金沢21世紀美術館みたいに、白のホワイトキューブで展示室に動線がなく、自由で軽やかな建築というのもすばらしいと思うんですが、僕が『美術館というのはこうあってほしい』という理想が、谷口吉生の美術館にはあるんです。建築の立ち居振る舞いの美しさで、人間の行動も制御されるという建築が持っているすごさに背筋が伸びます。中にいる人間の行動や考えまで抑圧してしまうような建築の力が、この人の建築にはあると思うんです」

谷口吉生の代表作である豊田市美術館は2015年10月にリニューアルオープンされた。絶好のアートシーズンである秋に、谷口吉生の建築をめぐる旅というのもいいかもしれない。

(文:岡崎咲子)

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【代官山 蔦屋書店】
建築・デザインコンシェルジュ 三條陽平 氏

TSUTAYA TOKYO ROPPONGIで建築・デザインの担当をした後、2012年から代官山 蔦屋書店のコンシェルジュに。月に一度、建築物を見るために地方へ出かけることをライフワークとしている。今後は海外、特にニューヨークやスイスの建築を見に行くことが目標。

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谷口吉生のミュージアム

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