プラントハンター西畠清順×名和晃平が率いるSANDWICH×Daisy Balloon。代官山 蔦屋書店で「世界のクリスマス」を植物で表現【インタビュー】

2016.11.29 (火) 17:49

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「代官山T-SITE Green CHRISTMAS」

「代官山T-SITE Green CHRISTMAS」

代官山 蔦屋書店もすっかりクリスマスムード。オープンから5周年を迎える今年は、これから過去最大の規模&盛り上がりになるという。

施設内の庭がヨーロッパからオセアニアの5大陸をイメージした森に分かれ、それぞれの原産の植物で彩られた「生きる植物図鑑」に変貌する。

そんな今回の「代官山 T-SITE Green CHRISTMAS」は、プラントハンター西畠清順さん(植栽)の世界にSANDWICH(サンドイッチ)とDaisy Balloon(デイジーバルーン)が加わり、空間を演出。世界中から植物を集める西畠さんと、様々なジャンルのクリエイターと共同するSANDWICHのディレクター、名和晃平さん――今回、書店を舞台にどんな新しいクリスマスを見せてくれるのか。

クリエーションをつなぐのは、グローバルな言語

――お二人は六本木アートナイトでタッグを組まれましたが、今回はいかがでしたか。

名和晃平さん(以下、名和):西畠さんとは、今年の9月にオープンした神勝寺(広島)の境内に建つアートパビリオン「洸庭」も一緒にやりました。僕達が設計をして、西畠さんには庭の植栽をお願いしました。その後、六本木アートナイトで街の中に3箇所の森のインスタレーションを作りました。コラボレーションは今回で3回目ですね。

――お互いにどのような印象を持たれていますか?

名和:西畠さんには、1年ほど前に元テート・モダンのディレクターと、長谷川祐子さん(キュレーター、美術評論家)と一緒に京都で食事をした時に、初めてお会いしました。

彼が世界中から植物を集めているという話を聞いて、その集まっている場所に行ってみたいな、と思って……一度、農場に行かせてもらって、彼の活動やビジョンにすごく共感しました。僕のスタジオ「SANDWICH(サンドイッチ)」と一緒にできることがたくさんあるね、という話になって。そこからどんどん発展した形です。

――コラボが1年で3回目というのは、けっこうなペースですね。

名和:最近は建物の設計や空間のプロデュースも「SANDWICH」のプロジェクトとして増えているのですが、植栽や庭について、相談できる方が少なかったんです。だから、良きパートナーとして、今後もいろいろなことができそうだなと思いました。

六本木アートナイト

六本木アートナイト
installation view, "Roppongi Art Night", 2016
courtesy of SCAI THE BATHHOUSE and Roppongi Art Night Executive Committee
Photo: Nobutada OMOTE | SANDWICH

西畠清順さん

西畠清順さん(以下、西畠):最初は名和さんの頭の中を知りたいなって思ったんですね。で、ほどなくして名和さんが農場に来たんです。名和さんは、歩き方やリアクションが、面白かったんですよ。

うちの農場って、一緒にプロジェクトをやっている人やプロの業者さんにしか開放してないんですけど、農場や温室の歩き方を見ていれば、その人がどういう人かっていうのは、すごく分かるんですよ。

普段クールなのに、子どものように「おもしろい!」って声をあげる時もあれば、ずーっと観ていたりね。なんというか、他の人の歩き方とちょっと違ったんですよ。俺も何人か現代美術家と言われる人とセッションしたことはあるんですけれど。

そうしてはじめての神勝寺のプロジェクトで、俺が選んだ植物と、名和さんの作品が科学反応を起こすという仕事に取り組んだんです。

俺の作業は、コンセプトや名和さんの考え、クライアントの状況を聞いて、できるだけそれらを樹種に落としていくっていうこと。名和さんの思っていることを通訳して、植物をキャスティングして。それを繰り返して現場に落としていくんです。

その時に、このアーティストの庭は、たぶん、普通の庭師じゃ付いて行かれへんな、うちの持っている、たくさんの花材、植物で、俺やったら役に立てるな、と思うたんですよ。

名和:西畠さんは、あくまで日本は立ち寄る場所のひとつであって、ずっと世界中をぐるぐる動きまわって、世界中の植物と常に繋がっているような状態。僕も世界中で今どんなアーティストがどんなものを作っているのかということを常に肌で感じている状態でアートシーンを眺めている感覚があります。フィールドは違っても、同じグローバルな感覚があるから、会話がしやすいんです。

――今回の作品は、代官山 蔦屋書店オープン当初のテーマ「森の中の図書館」を表現されているのですよね。

西畠:俺がたまたま蔦屋さんに「ちょっとクリスマスやってみないか」と言われて、せっかくの5周年、面白くしたいやんって思って。

もともとの店舗のコンセプトが「森の図書館」で、場所も緑とすごく相性の近いところにある。ただ世界中の植物を置いたところで、クリスマスにはならない。それをどうマトリックスさせるかというところで、名和さんだったらそういうのは得意だし、とお誘いしました。

そら植物園は自社だけでは単独でイベントをやらないんですよ。アーティストではないので、必ずどこかの作品に協力する、もしくは、一緒にやるっていうスタンス。

だから今回は、もう絶対、SANDWICHしかいないと思って。そうしたらやっぱり、話をしている間にもどんどんアイディアが生まれてくるんですね。

いかに世界の植物が各地で発生したのか、(どのように植物で演出すれば)クリスマスらしくなるのかって。何が起きるのかって、SANDWICHやDaisy Balloonとのクリエーションが毎回楽しみなんですよ。

西畠清順さんが手がけた「神戸国際会館」。

西畠さんが手がけた「神戸国際会館」。

西畠さんが手掛けた「加賀屋別館 松乃碧」。

西畠さんが手掛けた「加賀屋別館 松乃碧」。

グローバルな「情報の森」本屋を、世界の植物の「森」でつなぐ

――「SANDWICH」のスタジオには巨大な斜め本棚がありますよね。ほかにも作品として本棚を手がける機会がおありですし、本のある空間というもののクリエーションについて考える機会が多いと思いますが、書店という空間についてはどのように考えておられますか?

名和:このお店ができた時、これは新しい場所だなぁと感じました。本が豊富に、新陳代謝するようにキュレーションされて集まってくるのが魅力的で。ラウンジのAnjinも、家のリビングの延長のように使えますよね。

東京の若者のアパートはコンパクトな所が多いので、ゆったりしたリビングで飲んだり食べたり、知識を得たりする時間を、この場所で担保しているんじゃないかと思ったんですね。つまり、東京のライフスタイルに対するひとつの提案というか、回答になっている。

ここで本と出会うというのは、いわゆる昔の本屋さん等とは少し違って、本がもっと、動的にこちらにやってくるというか、迫ってくるような印象。国内に限らず、今、世界で起こっているクリエイティブなことと常に繋がっている場だと感じました。「本」というものとの関わり方が変わる場所なのかなぁ、と。

僕のスタジオの本棚は、斜めにして「DIRECTION(ダイレクション)」という、ペインティングと同じ角度にしています。自分達が毎日、情報のシャワーを浴びているような生き方をしているから。

「本」は古くても新しくても、持ち運びができて、保管ができて、人から人へ知識や智恵を伝える媒体ですよね。世界中で増え続けて、動的に流れてくるようなイメージ。書店はそこから良いものを呼び込んで、流れを見せてくれる場所。毎日ふらりと立ち寄りたくなるのはそういうことなんじゃないかな。

インターネットで小さな画面で得られる情報とは違って、もっと物理的に情報量が豊富で空間が豊かに感じる。それこそが、知的な刺激だと思うんですよね。

5周年の企画で、世界中の植物がここに集まるというのは、すべての季節がここにあるようなもの。クリスマスは雪景色だけではなくて、夏の国だってありますよね。

西畠:赤道直下や南半球の国々はクリスマスが真夏なんでね。オーストラリアなんか、サンタさんがサーフボード乗ってくるわけじゃないですか。で、椰子があるのがイメージなんですよ。だから、そういうのもクリスマスと言える。

名和:そう。ホワイトクリスマスっていうイメージは、ある特定の地域だけなんですよね。

だから「グリーンクリスマス」っていうのは面白いコンセプトで、グローバルな意味で「今のクリスマス」を考えたら、「地球のクリスマス」とも言える。世界中の植物と同時にクリスマスを体験するのは、特別な価値があると思います。

西畠:だから面白いんですよ。グローバルな感覚っていうのは、そういうところかもしれないですね。

――違う国の植物が隣り合って暮らしている場に身を置くという体験は、「そら植物園」のショールームがある代々木ヴィレッジでもできますね。今回、ここではどんな違った光景が見られますか?

「代々木ヴィレッジ」

「代々木ヴィレッジ」

西畠:実際、代々木ヴィレッジと今回のコンセプトはちょっと似ていて。代々木ヴィレッジのテーマは「現代の明治神宮の森」なんです。

明治神宮の森というのは、つくった当初に100年後を見越して、当時手に入る有用な木や、後世に残りそうな木を集めて作ったもの。

あれから100年経った日本では、手に入らない植物はないんですよ。植物どころか、食べ物、雑貨、なんでもかんでも、世界中のものが手に入るわけじゃないですか。だから、それを逆手に取って、代々木ヴィレッジは「共存」をテーマに、世界中の植物が仲良く暮らしているっていう世界観をひとつの庭で作っているんです。日本は、いろんな世界の文化や有形無形のものが集まって、俺たちはその中で暮らしているんだよ、でもそれが当然なんだから、仲良く共存していこうって。8年間限定のインスタレーション、プレゼンテーションなんです。

この代官山 蔦屋書店でのクリスマスは、六本木アートナイトの流れで、世界の植物でインスタレーションを作った。それをここでも持ってくるというのは、面白いメッセージになったんちゃうかな。

「代官山T-SITE Green CHRISTMAS」

次のコラボレーションは、アート✕植物の原点・ガウディ作品?

――今後のコラボレーションのご予定は?

名和:世田谷区の個人邸や立川市のイタリアンバル、済州島(韓国)でのレストランとアートのコンプレックスの案件もお願いする予定。あとは船やホテルのプロジェクトが今後決まれば一緒に出来たら良いですね。

西畠:あとこれは、俺がジャブを打っているんですけどね。スペインでガウディの初の建築作品といわれる「エル・カプリチョ」。あまり知られていないから、面白いなと思って。オーナーさんがわざわざ日本に来て、ものすごい熱心に口説かれているんですよ。SANDWICHと一緒だったらもっと面白くなるかなって。

――ガウディもランドスケープと自然、アートに精通した芸術家ですし、今後のコラボレーションが楽しみです。

西畠:今でこそたくさんの有名建築家と仕事をしているけど、ガウディはほんとに好き。残している格言とか。そんな話を名和さんにしていたら、名和さんはガウディを研究してたって。

名和:大学院の時に。たまたま僕の大学のラグビー部の先輩が外尾悦郎さん(現在サグラダ・ファミリアの主任彫刻家)なんです。建築に興味を持ったのも、ガウディは大きかったです。彫刻と建築が融合したようなものだったし。あれこそ、植物を参考に作っているものですしね。

西畠:植物そのまんまを使う建築家は、あんまいないんですよ。エル・カプリチョなんて、ひまわりの形を全部頼りにしていますからね。そんなひまわりも、昔プラントハンターがひまわりの種をスペインに持っていってなかったら、生まれていないわけですよ。ゴッホの『ひまわり』でも言えるんですけどね。だから、プラントハンターと芸術っていうのも、すごく密接な関係がある。植物モチーフにした作品いっぱいあるでしょ。絵画でも、音楽でも。絶対裏にプラントハンターがいてて。

芸術とプラントハンターっていうのは、本当に深い仲なんですよ。


インタビュー中も、お互いへのリスペクトや共通点が常に表れていた。今後、世界を舞台にした活躍のニュースが飛び込んでくるかもしれない。まずはその萌芽を、代官山 蔦屋書店の「Green CHRISTMAS」で感じてみたい。

(撮影:MASA(PHOEBE))

西畠清順(にしはた・せいじゅん)

幕末より150 年続く花と植木の卸問屋、花宇の五代目。日本全国、世界数十カ国を旅し、収集している植物は数千種類。日々集める植物素材で、国内はもとより海外からの依頼も含め年間2,000 件を超える案件に応えている。2012 年、ひとの心に植物を植える活動「そら植物園」をスタートさせ、植物を用いたさまざまなプロジェクトを多数の企業・団体などと各地で展開、反響を呼んでいる。

そら植物園 |

SANDWICHディレクター
名和晃平(なわ・こうへい)

1975 年大阪生まれ。彫刻家。2003 年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。博士号取得。2009 年、京都に創作のためプラットフォームSANDWICHを立ち上げる。2011 年、東京都現代美術館で個展「名和晃平 - シンセシス」を開催。ビーズ、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を広げている。近年は建築の設計にも取り組み、空間とアートを同時に生み出すプロジェクトを進めている。京都造形芸術大学院芸術研究科教授。

名和晃平|SANDWICH

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■関連イベント

「代官山T-SITE Green CHRISTMAS」

代官山T-SITE全体が“5大陸”植物図鑑に。世界中の植物たちが構成する、ヨーロッパからオセアニアの5大陸に分けて展開。また、代官山 蔦屋書店には55mにわたる“白樺のみち”が登場し、コーヒーを片手に読書散歩が楽しめるように。そのほか、ライトアップ、クリスマスマーケットも行われる。

【開催データ】

「クリスマスマーケット」

日時/2016年12月9日(金)~11日(日)、16日(金)~18日(日)
12:00~21:00(金曜のみ16:00~)
場所/代官山T-SITE(東京都渋谷区猿楽町17-5)
Tel/03-3770-2525

「代官山T-SITE Green CHRISTMAS」「クリスマスマーケット」の詳細はコチラ

代官山 T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設


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