ポートランドの“DIY”カルチャーは古材にあり? 地元民の御用達スポットを尋ねる【「リクレイムドワークス」インタビュー】

2017.3.9 (木) 11:54

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近年、インテリア業界でトレンドキーワードのひとつになっている「古材(=リクレイムドウッド)」。“全米で住みたい街“No.1、食文化や“DIY”精神あふれるライフスタイルが注目を集めているアメリカ・オレゴン州ポートランドは、実は古材と共存する街としても知られている。

一体、ポートランドの人々は、どのように古材をインテリアや家屋に活かして生活しているのだろう。

今回は、アメリカ西海岸の古材をインテリアとして「Reclamation(再生)」させるプロジェクトを行っているインテリアブランド「リクレイムドワークス(Reclaimed Works)」のディレクターで、ポートランドへの買い付けの旅から帰ったばかりの岩西剛さんに、ポートランドの古材事情について話を聞いた。

古材を大切にし、“DIY”文化が根付くポートランド

「リクレイムドワークス」ディレクター・岩西剛さん。

「リクレイムドワークス」ディレクター・岩西剛さん。

ーーポートランドの印象はいかがでしたか?

ポートランドは「世界一住みやすい街」とも言われているのですが、実は驚くほど雨が多いんです。僕が訪れた2016年10月中旬〜11月の平均降雨日数は15日ほど。雨がたくさん降るので部屋の中で過ごすことが多く、内向的でこだわりのある人が多い印象ですね。

街には1800年代の建物も多くて、そういった家では古材を使ったインテリアを使っていることも少なくないんです。気に入った家を、少しずつ自分の手でリメイクしながら住んでいる人も多いようですね。

岩西さんが訪れた、ポートランドのサウスイーストにある約100年前に建てられたお家。

岩西さんが訪れた、ポートランドのサウスイーストにある約100年前に建てられたお家。

ーー古材を大切にする文化が根付いているのですね。そもそも、なぜ古材が良いとされているのでしょうか?

古材は古い建物を丁寧に解体したところから出てくる素材です。これはとても労力とコストが掛かるもので、日本の解体現場のようにショベルカーでごそっと解体してしまった方がよっぽど楽なのですが、アメリカはリサイクル文化が発展しているので、そのような事は行われません。

再利用することで燃やすことなく、また現存する木材を伐採しなくて済む。古材は味わい深いインテリア素材でありながら環境保全の一翼を担うエコな素材でもあるのです。

また、第二次世界大戦前の建物から出てくるものは、年輪がつまっていて木材の質としても良いものが多いんです。最近は、その見た目の良さとエコな素材という点でセレブに好まれたり、多くの店舗やオフィスで使われたりしていますね。人気が高まったことで古材の価格が高騰して数量の確保も難しくなってきています。

DIY好きは絶対に訪れたい、古材スポット

ーーポートランドの人々は、インテリアや小物などをDIYで作ってしまうことで知られていますが、どういったところを御用達にしているのですか?

そうですね、今回僕も現地の人もよく行っている場所を訪れたので、そこをご紹介します。

メンテナンスのパーツがそろう「REBUILDING CENTER(リビルディングセンター)」

「REBUILDING CENTER」。

不要になった古材・廃材をここに寄付すると、所得控除が受けられる仕組みとなっている。

釘やネジといったパーツも集まってくる。

ここは、「Our United Villages」というNPOの団体が運営する、古材・廃材を集めて、再利用のために販売しているお店です。まさに、自分の家は自分でメンテナンスすることが当たり前のアメリカならではですよね。

豊富な品ぞろえで、古い釘や小さなパーツから、こんな物まであるのか!と驚くようなアイテムも販売されていて、ちょっとした家の修理をするならここで材料をそろえるのがポートランドでは当たり前になっていますね。

素材からインテリアまで。古材の家具ショップ「SALVAGE WORKS(サルベージワークス)」

「SALVAGE WORKS(サルベージワークス)」。(Reclaimed Works 公式インスタグラムより)

「SALVAGE WORKS(サルベージワークス)」。(Reclaimed Works 公式インスタグラムより)

SALVAGE WORKS(サルベージワークス:SALVAGE=救助)」は、古材そのものはもちろん、古材を使った家具、古道具を販売するおしゃれな工房を兼ねたショップです。古材屋がやるべきことが全てある。感激しましたね。広い敷地内にヤード(ストック場所)、製材所、工房、展示・販売場所があり、古材の全てを見ることができます。

ここに来ると、アメリカにはDIYをする人が多く、そして古材を生活に取り入れる文化が根付いていることを実感します。

古材のサンプルディスプレイ。実際に壁に並べて比べることで、好みの色合いが見つけやすくなっている。

古材のサンプルディスプレイ。実際に壁に並べて比べることで、好みの色合いが見つけやすそうだ。

このショップで家具を購入する際は、その古材がどこで取れたものなのか、どのような工程を経て生まれ変わったのかといったストーリーを感じることができて、愛着のわき方が違います。ここに並んだ長年の古材文化に裏打ちされた高いデザイン性の家具は、ため息が出るほど美しい。

そしてオーナーがとてもいい人なんです! オーナーのファンにもなってしまいました。

古材のインテリアにあふれたカフェやレストラン

コーヒーショップの店内。素材を活かした使い方がされていたのが印象的だったそう。

種類豊富なビールがそろうお店。いたるところに自然に古材が使われている。

ポートランドでは、カフェやレストランの店内にも古材が使われているお店が多いんです。

特に感度の高いお店は、古材をこぞって使っている印象がありました。古材をおしゃれに使うには、洗ったり、磨いたり、釘を抜いて使えない部分を廃棄したりと意外と手間がかかってコストが高くなって大変なんですけどね。その手間の分、とっても雰囲気が良いんですよ。

知ればもっと古材の魅力に驚く。広大なヤードへ、いざ

ーー買い付けにはどのような場所に行かれたんですか?

ポートランドの街の周辺にヤード(資材のストック場所)があって訪問を許されたプロしか入ることができないんです。長く古材の輸入に関わり、いくつものヤードを見てきましたが、今回訪れたヤードは、今まで見たことがないくらい大きな規模でしたね。

岩西さんも驚いた広大なヤード。

岩西さんも驚いた広大なヤード。

もともとポートランドは西海岸最古の製材所があったとされ、昔から木材に関するビジネスが盛んだったんです。切り出した木材を川から太平洋を伝ってカリフォルニアまで運べたため、需要も高かったんですね。

ポートランドのヤードで扱われているのは、「ダクラスファー(米松)」と呼ばれる北米の太平洋岸に生息するパインが中心です。真っ直ぐ大きく成長する樹木のため長材が取りやすく、大きな建物にも多く使われていたので、驚くほど大きなサイズの古材がそろっているんです。


  • 1950年代の建築で車のディーラーに使われていた直径90センチを超える巨大な古材。

  • 人と比べるとその巨大さは歴然だ。

  • 天井まで積み上げらているのはチェリーを砂糖漬けする時に使われていた樽。よく見ると古材の表面に砂糖が浮いていたそう。

  • 日本古来のマテリアル「焼杉」が「Shou Sugi Ban(焼杉板)」と名付けられ、アメリカのインテリア業界でも有名になってきている。(Reclaimed Works 公式インスタグラムより)

ーー買い付けをされた古材を使った新商品の発売は予定されているんですか?

質の良い古材は、その良さについて話さなくても説得力があり、妙に親近感を覚えるものです。そんなダクラスファーの古材を使って、まずは風合いを活かしたテーブルの制作を考えています。ウェブショップに並ぶのは少し先になりますが。楽しみにしていてください。

(取材・文:宮坂雅都)

■店舗情報

「リクレイムドワークス ショールーム」

受付時間/月~金11:00~21:00、土・日曜10:00~18:00
場所/東西線神楽坂駅より徒歩5分(予約後詳しい住所をお知らせ)
電話/03-5227-6055
メール/info@reclaimed-works.com

Reclaimed Works

リクレイムドワークスディレクター
岩西剛(いわにし・ごう)

アメリカ留学から帰国し、古材を扱うインテリアショップで約10年勤務する。バイイング業務を通じてリクレイムド(再生)ウッドの魅力に夢中になり、2013年、アメリカ西海岸のリクレイムドウッドを専門に取り扱う会社「リクレイムドワークス」を設立。2016年2月に完全予約制のショールームをオープン。


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