【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち:9月はグリーンを飾ってお客さんをもてなす

2017.9.1 (金) 07:00

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2003年、代々木八幡商店街にレストラン「LIFE」はオープンした。訪れた人を心地よく包み込むような空間とほっとさせる料理だけでなく、カルチャーやライフスタイルの発信地としても多くのお客さんから愛されている。

そんな「LIFE」の生みの親であるオーナーシェフ・相場正一郎さんは、自他ともに認める“道具好き”。食はさることながら、山登り、サーフィン、インテリア、カメラなど、さまざまなことに造形が深い相場さんは、一体どんな道具たちと寄り添いながら一年を暮らしているのか。その月ごとの欠かせない愛用の道具をひとつずつピックアップして、相場さんと道具たちのストーリーを紡いでいく。

第6回目となる9月は、LIFE各店舗を演出する植物について。湘南にある「LIFE Sea」にて、食と植物は相性抜群だという相場さんならではの植物との付き合い方を伺った。

食と植物は、よい相互関係

――相場さんはいつ頃から植物に興味を持たれたのでしょうか?

昔から好きだったのですが、本格的に気にしだしたのは店を出してからでしょうか。お店にグリーンを置くと雰囲気がよくなるんです。自分が感じが良いと思う店には大抵グリーンがありますね。

  

――――店舗ごとにコンセプトなどは変えているのでしょうか?

どちらかというと花が目立たない植物を中心に置くなど、ベースとなるイメージは共通認識としてあるのですが、基本的には各店舗に任せています。僕は、“植物のことくらい気にかけられないと人には気にかけられない”……とまでは思わないのですが、お客さんを迎えるうえでは植物も元気なほうがいい。新潟のLIFEではりんごの木を植えたり、蔦を生やしたりと、それぞれがよりよい形を試行錯誤しているようです。

――面白いですね。「LIFE Sea」のテラスにはたくさんの植物が置いてあって気持ち良いです。ハーブ類などもありますが、こちらはお料理にも使われるのでしょうか?

ローズマリーなどは夏場に使うこともあります。「LIFE Sea」のベースは造園屋『フルヤプランツ』さんにお願いしました。

――店内には生花や木の実、ドライフラワーなど様々なグリーンが飾られていますね。

ドライフラワーは生花が自然とドライになったものを飾ったりもしています。イタリアのレストランに入ると、気候が良くて植物にも良い環境なので、隅々まで植物が置いてあることも少なくなかったんです。その影響もあるかもしれません。また世田谷の生花市場に買いに行くこともあります。ハロウィンに合わせて大きなパンプキンを仕入れたり……面白いですよ。

年に一度植物を入れ替える。定期的にメンテナンスも

――食事のメニューだけでなく植物も変化があると、店を訪れるのがよりいっそう楽しみになりますね!

はい。普段の管理はスタッフが行っているのですが、たまに鹿児島の『Araheam』さんにメンテナンスしてもらっています。年に一度は、がらりと植物を入れ替えたりもしています。

――――定期的にメンテナンスすることで、植物に無理をさせないようにされているのですね。

冷暖房をかける店内は植物にとって厳しい状況ですし、飲食店ということもあって、虫などが出ると非常に厄介。また元気な植物が置いてあると、店に入ったときのエネルギーが違う。なので、弱ってしまった植物を見つけたら自宅に持ち帰って療養させたりもしますね。スタッフも植物が好きな子が多いので、僕が海外に行っているときは代わりに水をあげにきてくれたりします。

相場さんのご自宅にも、たくさんのグリーンが

――お店の植物が生き生きしているのは、携わるスタッフも植物が好きだからなのですね。

うちは個人店なので、植物だけでなく人生の価値観など足並みがそろっていないと前に進められないところもあります。自分がいない状態でも切り盛りしてくれるスタッフが育ってくれていることは、本当に嬉しいことですね。

数年先を見据えて、新たな出会いも

――LIFE sonで毎月行われているSunday morning marketでは、植物の販売もされていて目をひきます。

LIFE sonのポップアップショップの中でも植物がダントツ人気ですね。僕は食と植物はコンビネーション的にマッチしていると思っているので、嬉しい結果です。

――植物のお店を常設する計画はないのでしょうか?

もともとLIFE sonをはじめるとき、店先になにかショップがあったらいいな、と思っていて。候補としてお花屋さんとパン屋さんがあったのですが、パン屋
さん(タルイベーカリー)がOKをしてくれたので、パン屋さんが入ることになったんです。いつかお花屋さんも出来たらとは思うのですが、そのためには専門で語れる人がひとりはいないと……これは扱う側の責任だと思うので。

――ポップアップショップ含めLIFE周辺には植物を魅力的に扱う人たちがたくさんいらっしゃいますね。

仕入れ先は北海道から鹿児島まで、様々な方にお願いしています。基本的に紹介が多いですね。地元でしっかりしている方が東京にいらした際にお会いしたり、展示会やイベントで知り合って、相手先に出向くこともあります。

――新たな出会いも積極的に求めてらっしゃるのですね。

食でもなんでも、自分がよいと思うものを売るのが基本だと思っています。実際に会って、自分がよいと思わないと店を訪れた人には伝わらない。それに理想を目指すには自ら動いていくしかない。自分は店の中では一つの駒にすぎないので、1年後、3年後、その先を見据えて、どんどん楽しくなるようにしていきたいですね。

(インタビュー・文:山本加奈子、撮影:MASA(PHOEBE))

「LIFE」オーナーシェフ
相場 正一郎

イタリアのトスカーナ地方で料理修行をした後、2003年に代々木公園にカジュアルイタリアン「LIFE」をオープン。現在、「LIFE son」「LIFE Sea」など全国に5店舗を運営する。店舗では、イベントの開催、オリジナルプロダクトの制作、地元の情報を集積したフリーペーパー『PARK LIFE』の発行など、カルチャーの発信地としても多くのファンを持つ。最近、渋谷の東急本店に抜ける長い一本道「奥渋谷」に話題の店が続々と増えているが、その走りとなったパイオニア的な店が「LIFE」と言える。

著書は『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』(筑摩書房)『LIFEのかんたんイタリアン』(マイナビ)『LIFE OF THE MIND』(ネコ・パブリッシング)など。

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