【松岡美術館】写真撮影や模写もOK!「小さい頃に来ておきたかった」親しみのある美術館―連載第1回

2016.8.2 (火) 17:48

シェア
東京都白金台にある松岡美術館

東京都白金台にある松岡美術館

松岡美術館とは

東京都白金台の「プラチナ通り」から横道に1本入った、閑静な高級住宅街に松岡美術館はある。
この美術館の大きな特徴はなんといっても、初代館長松岡清次郎氏の収集した美術品のみで展示を構成していることだ。
コレクションを貸し出すことはあっても、借り入れは一切しないそうだ。そのような美術館は日本では珍しい。
清次郎氏の審美眼によって選び出された様々なジャンルの美術品のなかには洋画があり、中国の陶磁器があり、現代彫刻やエジプトの木棺までもが含まれる。
そんな、世界各地、様々な時代の美術に触れることのできる松岡美術館。
他にも鑑賞者にとって嬉しい様々な取り組みをされているが、運営の方々はどのような思いで仕事に取り組んでいるのだろうか?


館長の松岡さん、副館長の黒川さん、学芸員の三島さんにお話を伺い、魅力の秘密を解き明かしたい。

左:学芸員の三島純さん、右:副館長の黒川裕子さん

左:学芸員の三島純さん、右:副館長の黒川裕子さん

ーー連載の第一回目は、副館長の黒川さんと学芸員の三島さんにお話を伺います。早速ですが、これは素朴な疑問なのですが、自館のコレクションのみで毎回企画展を構成することは鑑賞者にとって魅力的である反面、学芸員さんにとって難しいことではないのでしょうか?何か工夫をされている事などはありますか?

三島:そうですね。全コレクションの1800点あまりの中でどうやりくりして展示しようかと、毎回悩むところではあるかもしれません。ただ、松岡清次郎が一人で集めたものという共通点は分かるので、彼の審美眼に従いながら、彼だったらどういう風に考えるか、喜んでくれるだろうかと思いながら構成したりします。

ーー素敵ですね。清次郎氏は自分の審美眼に従って様々な美術品を集めていましたが、コレクションの中に、ジャンルでは区切られない共通項を感じたりしますか?

三島:僕の視点ですが、女性の美しさが、すごく好きだった方なんじゃないかなと思います。女性のポートレートが多く、様々な表情を清次郎は集めています。抽象的なものから、髪の毛一本一本まで描き込んだリアルなものまでいろんな画風が分け隔て無くあります。

今回の企画展(~9/24)でも、女性がモチーフとなっている作品を多数観賞することができる。

今回の企画展(~9/24)でも、女性がモチーフとなっている作品を
多数観賞することができる。
(写真は、モイーズ・キスリング作《プロヴァンスの少女》1918年頃)

黒川:「女性美」という展覧会を以前やったことがあるんです。もう本当に全部、館内すべて女性!という展覧会。もちろん1階の常設展はそのままですが、そのなかでも女性のところはいつもと違うポイントを置いたりして。女ばっかりで良かったですよ(笑)。日本人彫刻家のあまり展示に出せてない作品を出すというのが大きな目的でした。

ーー特定の作品を出したいという目的から企画のテーマを決めたりするんですね。

黒川:そういう時が多いです。だいたい「この作品で行きたい」という目的があって。ただ大変なところは、出したい作品が例えば印象派の洋画だとしても、系統立てたコレクションではないので、「印象派」を網羅するというわけにはいかないんです。清次郎が気に入った作品しかありませんから。どんなに有名な作家でも、彼が「好きじゃない」作家の作品はないので(笑)。

ーー三島さんと黒川さんの「松岡美術館のここが一番自慢できる、一番好き」というところはどういったところでしょうか。

三島:やっぱり幅広いジャンルが置いてあるところが僕は一番好きです。僕は当初、分かりやすい西洋画などが好きでした。陶磁器や日本画には、あまり興味がなかったのですが、ここに来てからとても興味を持つようになりましたね。陶磁器などはよく見てみると、すごいきれいな模様だったり、ある意味立体絵画みたいだなと感じるようになりました。
展示の仕方も好きです。展示室3の古代東洋彫刻などはガラスケースがないので、じっくり見れるんですよね。像の裏も見れたり、楽しいと思います。他のところに行くと、すごい厳重なケースに入ってるから正面しか見えなくて、しかも人も多くて、美術品というより人の頭を見に来たみたいになってるときがありますよね(笑)。なので、松岡美術館の細かい部分までじっくり見れるところが好きです。
あと僕は写真を撮るのが好きなので、音を切り、フラッシュをたかなければ写真撮影もOKというのは嬉しいところですね。
ジャンルが限定されていないですし、写真のほかに模写もOKですし、「学ぶ」ということに対してすごく寛容な場所だと思います。

ーーファースト美術館みたいな感じで、はじめての美術鑑賞として皆さん松岡美術館へ来たらいいと思います。鑑賞者に嬉しい決まりが多いですよね。

三島:僕は、自分がもっと小さい頃に松岡美術館へ来ていたらよかったのにって思うことがあります。良い影響があったんじゃないかって。親が美術館好きなので、よく連れていかれたりしたんですけど、小さい頃は、退屈で。展示の内容も難しいし、「早く見終わらないかなー」なんて思って。松岡美術館はジャンルが多いので、1つくらい自分が好きになれるものがあるんじゃないかと思うんですよ。絵や陶磁器に興味がなくても、オリエント美術には心を引きつけられるなとか。そういう意味で、是非来て頂きたいです。美術を好きになるきっかけになればいいなと。

展示物だけではなく、中庭も魅力のひとつ

ーー私は松岡美術館さんを訪れる前、白金台にある、重厚感と威厳のある美術館なのかなと思っていました。でも、入ってみるとフレンドリーな印象を受けますよね。

黒川:以前お客様にも、外からみると格式の高そうな入りづらい感じがあるけど、中にはいると途端にちがう印象を受けると言われました。ほっとすると言われて。入ってきて、まず庭があるっていう。

三島:僕も最初ここに来た時に、都内=ビル群っていうイメージがあったのでびっくりしました。庭の様子は当館の公式ツイッターにアップロードもしています。今日の庭の様子はこんな感じで紫陽花がきれいですよ、という風に。個人的には紅葉の時期がとても好きです。写真より本物はもっときれいなんですよ。葉っぱがゆれてて臨場感があったり、猫が昼寝してたりするんです。ある意味これも、ガラス越しの一枚の絵画という見方ができるんじゃないかと思います。お庭、好きですね、僕。

四季折々で様々な表情を見せる松岡美術館の中庭。

四季折々で様々な表情を見せる松岡美術館の中庭。
桜の時期は解放もしているそうだ。
解放情報も、松岡美術館のツイッターからチェックする事ができる。

黒川:まず目に飛び込んでくるのが庭なので、すごく出迎えられている感じがあるとは言われます。先ほどファースト美術館という話がでましたが、私たちが心がけていることは、分かりやすく親しみやすくということです。解説も、できるだけ大きな文字で、聞きなれた言葉を使うように心がけています。それから、うちはすごくリピーターさんが多いのですが、何度も来たくなるような「おうちに帰ってきた」ような雰囲気は継続できたらと思います。そして、「今日はこれが心に留まった」「ああ、こんなところがあったんだ」という発見をしてくださるといいですよね。そういう楽しみ方をして、度々いらしてくださるといいなと思います。

自分のうちに帰ってきたように、ふるさとに戻ってきたように思っていただけたらいいなと思うんです。

ーー今後の展望や目標などを教えて頂けますか?

三島:僕はもっと子どもが美術に触れる機会を提供していけたらと考えています。今度夏休みに、子ども達が解く用のクイズをつくってまして。そういう企画を、今後は考えていきたいです。美術が、漫画とかテレビを見るような感じで「楽しい」と思えるものに変わっていくといいなと思います。

ーークイズとは、展示作品に関するクイズですか?

三島:そうですね。展示作品のなかから何点かを選び、クイズにしました。それをみなさんに解いてもらいます。例えば「猫の給仕頭」のお皿のうえには、昔何が置いてあったでしょうか?とか。

Tチケット限定特典のトートバッグにもデザインされている「猫の給仕頭」。

Tチケット限定特典のトートバッグにもデザインされている「猫の給仕頭」。
猫がもっているお皿には、制作された当初何が置かれていたのだろうか?

三島:作品の背景を知ると、作家の性格やユーモアも垣間見られるところがありますよね。

ーークイズの答えが気になります!黒川さんは、何か将来についてありますか?

黒川:やっぱり子どもから大人、お年寄りまでいろんな形でお楽しみいただけたらと思いますね。例えばここでゆっくりしていただくっていうのは、私たちにとってもすごく嬉しいことなんです。それは無くしたくないですね。先ほども申し上げたように、自分のうちに帰ってきたように、ふるさとに戻ってきたように思っていただけたらいいなと思うんです。

左:学芸員の三島純さん、中央:副館長の黒川裕子さん、右:聞き手の宮崎

左:学芸員の三島純さん、中央:副館長の黒川裕子さん、右:聞き手の宮﨑

インタビュー第2回に続く

(文:宮﨑玲子 構成:Tチケット事務局)

松岡美術館

住所 東京都港区白金台5丁目12番6号
東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」1番出口から徒歩6分
開館 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)
http://www.matsuoka-museum.jp/


Tチケット取扱詳細

■チケット販売期間
~2016/9/23(金)23:59まで

■チケット料金
トートバッグ(大)セット券(一般のみ) 2,900円(税込)
トートバッグ(小)セット券(一般のみ) 2,700円(税込)
※松岡美術館所蔵のディエゴ・ジャコメッティ作「猫の給仕頭」がデザインされた、トートバッグ専門ブランド「ルートート」とコラボレーションのトートバッグ付。

チケット購入はこちら
http://matsuoka1604.tticket.jp/


関連記事

関連タグ

この記事をシェアしよう。

この記事が気に入ったら、
いいね!しよう。

You might Like

レコメンド

Read More

T-SITE LIFESTYLE TOPへ戻る

Access Ranking

ランキングをもっと見る

「江別 蔦屋書店」が北海道江別市に2018年夏オープン。自然に囲まれた空間でコーヒーと本を楽しむ

  1. No.1 「江別 蔦屋書店」が北海道江別市に2018年夏オープン。自然に囲まれた空間でコーヒーと本を楽しむ
  2. No.2 『美術手帖』最新号は「新しい食」特集。“一汁一菜”を提唱する土井善晴も登場
  3. No.3 【速報】「次にくるマンガ大賞」第3回は『かぐや様は告らせたい』『うらみちお兄さん』に決定
  4. No.4 生クリーム専門店「MILK(ミルク)」原宿・新宿に8月オープン。生クリームが主役の新感覚スイーツ
  5. No.5 『国生体操』発売記念 国生さゆり 握手&サイン会

ランキングをもっと見る

Event

イベントをもっと見る

イベントをもっと見る

Store

SNS/RSS

Facebook

Instagram

tsite_lifestyle
Instagram


T-SITE LIFESTYLE(RSS)