“老い”は楽しい!?  いまアツいシニア向け雑誌・書籍2選

2014.12.5 (金) 12:47

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『つるとはな』創刊号

来るべき高齢化社会に向けて、シニア層をターゲットとした商品開発や各種サービスの開発などが行われている昨今。その流れは雑誌・書籍にもきている。そして、シニア向け雑誌・書籍の従来のイメージとは異なる、新しいシニアの形が提唱されているのが興味深い。代官山 蔦屋書店の雑誌コンシェルジュ・谷口貴美代氏に、いま注目のシニア向け雑誌・書籍を紹介してもらった。

いくつになってもおもしろい! シニア向け雑誌・書籍

等身大で“居心地”がいい
『つるとはな』(つるとはな刊)

2014年10月に創刊された『つるとはな』。かつてマガジンハウスで雑誌『Olive』『ku:nel』などを手掛けた岡戸絹枝氏が編集長を務める本書は、各所で大きな話題となっている。

「今までの若年層とシニア層の雑誌の違いは『お金を持っていること』。シニア向けは華美な印象があったのですが、『つるとはな』は等身大なのがいいですよね」

『つるとはな』が話題になっている要因のひとつとして、谷口氏は「このようなタイプの雑誌・書籍がなかった」と語る。

「雑誌カルチャーで育ったシニア世代の人たちが読むようなシニア向け雑誌・書籍ってなかったと思うんです。コンセプト自体が新しくておもしろいと思います」

また、雑誌・書籍の傾向として、『つるとはな』のような “居心地のよさ”を求める傾向があるという。

「震災以降、そういう方向に行く雑誌は多いですよね。もはや終身雇用や出世という働き方の価値観自体が変わってきているから、扱う記事の内容自体が変化していると思います」

年をとることへの概念をも変える!?
『孫の力』(木楽舎刊)

2011年に創刊された、雑誌『BRUTUS』などの編集を担当していた小黒一三氏が編集長を務めるシニア向け雑誌が『孫の力』。2013年のリニューアルより、アートディレクターに寄藤文平氏が就任。「寄藤さんのテイストが一層雑誌をおもしろくさせている」と谷口氏は評する。

「雑誌はアートディレクターの力がすごく重要。アートディレクターの意向を汲んだ雑誌はすごくおもしろくなると思うんです。寄藤文平さんがアートディレクションだけではなくプロデュースも手掛けているから、寄藤さんテイストが全面にでてきてよりおもしろくなっていると思います」

本書は、「ねこを抱いて死にたい」「今から恋愛に生きる」など、表紙に踊る特集名も特徴的だ。

「私が最初に一番衝撃を受けたのは、特集名に“死”という文字が入っていること。シニア向けの雑誌で表紙に“死”という文字が入っていることってなかなかないですよね」

『孫の力』はシニア向け雑誌だが、いわゆるサブカル的な要素もあるのがおもしろいと谷口氏は語る。

「シニア層に入ったからといって、感覚が急激に変化するわけではないですよね。そういうスタンスを持ちつつ、孫と話があうように『孫のトリセツ』という連載もあったりと、シニア層ならではの欲求もきちんと抑えています」

斬新なアートディレクション、ひと味違う内容から、シニア向け雑誌にも関わらず若い読者層も掴んでいる。

「今まで若い年齢層がシニア層の雑誌を読んでも、『こうなりたい!』とは思えるものは少なかったけれど、これだったら『年をとるのがおもしろそう!』と感じる。若い人たちにとって『孫の力』はリアルなんでしょうね」

話題のシニア向け雑誌・書籍を手掛けているのは、雑誌全盛期の時代にカルチャーを築きあげてきた世代。だからこそ、その世代が作るもののおもしろさやかっこよさに気づき、興味を持つ若年層も多いのだろう。シニア向け雑誌・書籍には、本来の「雑誌のおもしろさ」が詰まっているのかもしれない。

(文:岡崎咲子)

【代官山 蔦屋書店】
雑誌コンシェルジュ 谷口貴美代 氏

六本木ヒルズのTSUTAYA TOKYO ROPPONGIのオープンに携わり、その後、代官山 蔦屋書店の企画段階から関わる。現在は同店のチーフコンシェルジュ兼雑誌コンシェルジュ。国内外の雑誌2,300タイトルが55mに及び並ぶマガジンストリートを統括している。

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