話題の「タイニーハウス」最前線! アメリカ西海岸の小さくて豊かな暮らしぶりを拝見

2015.5.25 (月) 22:02

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タイニーハウスと呼ばれる、小屋のように小さなサイズながらも自分らしくて心地よい家を自作して暮らすムーブメントが広がっている。アメリカ西海岸から始まった、大量生産・大量消費に対するカウンターカルチャーで、魅力ある次世代の住まいかたとして2013年頃から全米でブームとなっている。また昨年頃から、日本でもタイニーハウスに住む人が増加中だという。

発祥の地、アメリカ西海岸でタイニーハウスに暮らすの家々を訪れ、彼らのライフスタイルを紹介する映画を製作中だというTree Heads & Co.代表の竹内友一氏に話を伺った。

Tree Heads & Co.代表の竹内友一 氏

竹内氏のタイニーハウスとの出会いは、アメリカのタイニーハウス・ムーブメントのパイオニアの1人であるDee Williams(ディー・ウィリアムス)氏がTEDx Talksで行った講演動画『Dream big, live small』を観たことだったという。ウィリアムス氏は心臓に病気が見つかったことをきっかけに家を売り払って身の回りのものを処分し、友人宅の庭にタイニーハウスを建て、仲間と自然とつながったシンプルな暮らしを実践する女性だ。

彼女の哲学に感銘を受けた竹内氏は、渡米しウィリアムス氏主催のワークショップを受講。その後、日本でのタイニーハウスの情報発信やワークショップを展開するなど、日本のタイニーハウス・ムーブメントの第一人者の一人として活躍中だ。

竹内氏はこの4月にキャンピングカーで西海岸のタイニーハウスを取材して周ったばかりで、来年4月公開予定のロードムービーを制作中だ。「それぞれが、自分のニーズにあった心地よい暮らしをしていました。個人の性格、考え方が、家という見えやすい形に現れていました」と竹内氏が語る3つの事例を見てみよう。


タイニーハウスのパイオニア、ディー・ウィリアムス氏の家

ポートランドの友人宅の裏庭に建てられた、ディー・ウィリアムス氏の家

ディー・ウィリアムス氏の家は、一般的な2軒の住宅の裏庭に建てられている。このタイニーハウスに住み始めて11年。電気はオフグリッドでコンポストトイレ、ベッドルームと小さなキッチン作業用の折りたたみの机があるだけのミニマムな空間に、愛犬オリーと一緒に暮らしている。

シャワーは友人宅やジムで、食事も近所の友人たちと一緒にすることが多い。彼女とパートナーの2人で、タイニーハウスの製作方法や暮らし方のアドバイスや、多くの人たちが気持ち良く生活することができるように応援するウェブサイト「Portland Alternative Dwellings」を運営し、定期的にワークショップを開催している。

「プライベートな空間は狭くても車や風呂など多くのものを上手に共有する暮らしをしていました。全部自分の家に収めないで、外にアウトソーシングする生き方と言うのでしょうか。 今の日本のマンションのように、全室200部屋に風呂があって、全部配管がつながっている必要が本当にあるんだろうか、と思い始めました。1日にのうちに30分しか使わないような空間をシェアするのは、合理的ですよね。それに、何かを借りたお礼に、庭で採れた野菜をあげたりしていて、つながりを楽しんでいました」


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自然に囲まれた家族の大切な暮らし

アンドリューさんとガブリエラさんの家。シンプルで経済的な家に住むことで、浮いたお金と時間を、家族のために費やす

大工のAndrew Morrison(アンドリュー・モリソン)さんと妻のガブリエラさんは、アメリカでは一般的な大きな家に住んでいたが、その大量消費型の暮らしに疑問を感じて持ち物を10分の1にダウンシフト。11才の娘と一緒にメキシコでテント生活を実践し、「どんなものが自分たちにとって必要な家なのか」を再考した。アメリカに帰国後、環境の豊かな土地5エーカーを購入し、このタイニーハウスをセルフビルド。井戸水を飲水に利用し、太陽光発電とプロパンガスでオフグリッドのシステムを構築した。

2人の子どもには独立したツリーハウスを、洗濯や倉庫の機能を持つ小屋が敷地内にある。暮らしを小さくしたことで得られた時間とお金を家族で過ごす時間に費やしている。また、ウェブサイト「Build A Tiny House」で、その暮らしぶりを発信している。

「ものを持っていると、ものと交換する、ものを維持するためのお金を稼ぐために仕事をしなければいけなくなります。そのために時間も使います。でもタイニーハウスでの暮らしなら、もっとパートナーや家族と過ごす時間や、自分の好きなことのために費やすお金が確保できると思います」(竹内氏)


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ノマドなジャーナリスト夫婦の移動式タイニーハウス

ジャーナリストのカップル、Guillaume Dutilh(ギヨーム)さんとJenna Spesard(ジェナ)さんの家。トレイラー付きのタイニーハウスに住むことで全米を移動しながら、オルタナティブな暮らし方をしている人たちを訪ねてウェブサイト「TINY HOUSE giant journey」にて発信している。

1年間かけてタイニーハウスを自作し、旅を始めて既に1年が経過。現在は西海岸を北上中だ。もともとはオフィスワーカーだったが、ジェナがライター、ギヨームがフォトグラファーに転職した。自分たちの好きな仕事で興味ある人たちを取材することが何よりも幸せだという。

水や電気は、道中の応援者やRVパークで補充、行った先々で、家を一般公開する「オープンハウス」を開催し、多くの人にタイニーハウスの楽しさを伝えている。

「タイニーハウスは小さな空間で決して無理をして暮らすのではなくて、それぞれが理想のライフスタイルを考えた末に無駄なものをそぎ落としていって、心地良い空間を手探りしたらこうなった、という結果なのです」(竹内氏)


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暮らしがアートで表現

それぞれの家に、その人それぞれの個性と生き方が見て取れる。

「自分の暮らし自体がアートというか、表現なんですよね。変に構えていないので心地よくて、その人らしさがズバリが出ています」(竹内氏)

なお、竹内氏によればアメリカでは土地代などを除いたタイニーハウス一軒にかかる材木代はスタンダードな大きさでは約60万円。それに窓やシンク、風呂などのインフラ整備に同じくらい、シャーシが30~50万程度。完成品だと400万~600万が多いとのこと。「ハーフビルド」と呼ばれる、自分で組み立てる200万ほどのキットも存在する。しかし竹内氏は、手足を動かしてセルフビルド(自作)することにこそ、タイニーハウスの醍醐味があると語る。

「タイニーハウス・ムーブメントの大切な、そして一番おもしろい部分は、小屋の大きさやそのデザインではなく、作ってみることで自分の暮らしを見直す行為だと感じています。制作中のロードムービーはタイニーハウスに興味があるけれども、まだ踏み込む勇気がない、そんな方々に未来の暮らしのイメージをしてもらえるのではないかと期待しています」

現在、竹内氏はロードムービー『シンプライフ・小さな家と大きな暮らし』制作プロジェクトの制作・公開のためのサポーターをクラウドファンディングにて募集している。また、今年7月からはトレイラー映像をWEB上で公開し、取材したタイニーハウスに住む人々の映像を毎月一人ずつ公開予定だ。

USAツアーのダイジェスト映像
simplife USA tour digest

竹内氏が感銘を受けたというディー・ウィリアムスの公演動画
TEDxConcordiaUPortland - Dee Williams - Dream big, live small

(文:山岸早瀬 、photo : Gabriel Craft(gabrielcraft.me))

【プロフィール】竹内友一 氏

1974年生まれ、東京在住。タイニーハウスビルダー。 20歳で渡欧、イギリスやオランダのクリエイターの下で働く。8年後帰国、環境学習などソフトウェアのデザイン、人と自然をつなぐ体験プログラムの制作を行う。2010年、株式会社Tree Heads & Co.設立。全国でツリーハウスの制作やタイニーハウスのワークショップ開催、発信活動などを行っている。

Facebook「Simplife」 『シンプライフ・小さな家と大きな暮らし』制作プロジェクト支援募集

◆あわせて読みたい

>話題の「タイニーハウス」って? 本場アメリカ西海岸の暮らしが日本でもブームに


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