女の子が憧れる女の子を描く。永遠のファッションイラストレーター、森本美由紀の魅力とは?

2015.8.9 (日) 11:51

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森本美由紀『ヴォーグ・ニッポン』2004年12月号掲載の原画

『ヴォーグ・ニッポン』2004年12月号掲載の原画
©Miyuki Morimoto/森本美由紀 作品保存会

コケティッシュでクール。だけどとってもチャーミング……。女の子が憧れる女の子を描いてきた、ファッションイラストレーター・森本美由紀。80年代から90年代にかけて、雑誌、CDジャケット、広告など彼女の絵は街にあふれ、2013年の逝去後もその人気は衰えることがない。

そんな彼女の仕事を総括した回顧展「ファッション・イラストレーター 森本美由紀展」が2015年9月27日(日)まで東京・弥生美術館にて開催されている。

売れている中で画風を変更

「ファッション・イラストレーター 森本美由紀展」は、展示期間中多数の作品の入れ替えを行うなど、総出品数約500点から森本作品の軌跡を追うことができる展覧会。彼女の作品について、代官山 蔦屋書店のファッション担当アートコンシェルジュ 森田賢一氏はこのように語る。

「オープニングパーティーで山田五郎さんのトークがあったのですが、山田五郎さんは雑誌『ホットドック・プレス』編集部時代に森本美由紀さんと一緒に仕事をしていて。それまで森本美由紀さんが細いペンで繊細なイラストを描く人だったのが、急に画風を変えるということで、墨で描くようになった過渡期に一緒に仕事をしていたそうなんです。山田五郎さんも、『今の画風で売れていて地位もあるのに、作風を変えて大丈夫なのか』と心配をしたんだけど、それでも自分のスタイルを確立した森本さんをすごく評価をしていたという話をしていたんです」


「ひとりでも楽しい休日を過ごそう!」『アミ・ジュール』掲載の原画(1988年6月号)

「ひとりでも楽しい休日を過ごそう!」『アミ・ジュール』掲載の原画(1988年6月号)
©Miyuki Morimoto/森本美由紀 作品保存会

自転車キンクリーツカンパニー公演「ダイアルMを廻せ!」パンフレット原画 (1994年)

自転車キンクリーツカンパニー公演「ダイアルMを廻せ!」パンフレット原画 (1994年)
©Miyuki Morimoto/森本美由紀 作品保存会

ツイッギー(2000年代の作品)

ツイッギー(2000年代の作品)
©Miyuki Morimoto/森本美由紀 作品保存会

カルチャーとイラストレーションの蜜月

ピチカートファイヴCDジャケットの原画(1997年)
©Miyuki Morimoto/森本美由紀 作品保存会

墨と筆で描かれた女性のイラストレーションは、PIZZICATO FIVEのCDジャケットや『groovie book review』の装画などでますます注目を集めていく。

「森本美由紀さんは、90年代カルチャーにかなり絡んでいますよね。例えば、PIZZICATO FIVEのCDジャケットや、『groovie book review』などは、当時すごく注目されましたよね。墨絵になってからは、イラストレーターというよりは画家的なスタンスをとっていたんです。本来イラストレーターは写真資料などからイラストを起こすんですけど、森本さんはモデルをデッサンして描く。そうすることで、動きのあるイラストになっているというのが特徴だと思うんです。

あとは、もしイラストを依頼されたら、普通のファッションイラストレーターだと色もトリミングも指定したりするのでしょうけれど、森本さんは、墨絵になってからは絵の素材は描くけれど、あとはデザイナーにトリミングなども含めてすべて任せたりしていたそうなんです。好きにやっていいよ、と。森本さんの絵がモノクロームなので、いろいろなデザインの手法が試せると思うんですね。アートディレクターとイラストレーターが組んで新しい形をつくるというスタイルを作ったのがすごく革新的だなと思いますね」


森本美由紀が影響を受けたイラストレーター、ルネ・グリュオ

『Gruau: Portraits of Men』(Editions Assouline刊)

『Gruau: Portraits of Men』(Editions Assouline刊)

そんな森本氏が影響を受けたとされているのが、1940〜60年代にクリスチャン・ディオール(Christian Dior)のポスターを手がけたことなどでも知られるファッションイラストレーション界の巨匠、ルネ・グリュオ(RENE GRUAU)である。

「森本美由紀さんが墨画になるときにかなり影響を受けたのではないかというイラストレーターが、ルネ・グリュオなんですよ。ルネ・グリュオは女性イラストのイメージがすごく強いんですけど、女性イラストをまとめた書籍が絶版になってしまっていて。いま手に入るのが、男性のファッションイラストを集めた『Gruau: Portraits of Men』(Editions Assouline刊)くらいしかなくて(※後日、フランス語版の『Gruau』(Herscher刊)も入荷しました)。ただ、これを見てもらうと、サインの入れ方が似ていたりなど、森本さんが影響を受けたんだろうというのがなんとなくわかるんですよね。森本さんの作品が好きな人はルネ・グリュオの作品も好きだと思うので、ぜひ見てもらいたいと思います」


代官山 蔦屋書店では8月17日(火)に、彼女の古くからの友人であるサエキけんぞう氏と、13年にわたって彼女のクロッキーモデルを務めたニッキー氏によるトークショーを開催。展覧会とあわせてぜひチェックしたい。

(文:岡崎咲子)

弥生美術館・竹久夢二美術館 ウェブサイト
女の子の憧れを描いたファッションイラストレーター 森本美由紀 【新刊2冊同時発売記念】 サエキけんぞうさん×ニッキーさんトークイベント 「友人 森本美由紀を語る」


【代官山 蔦屋書店】
美術・写真・ファッションコンシェルジュ 森田賢一 氏

都内大型書店、TSUTAYA TOKYO ROPPONNGIの書店員を経て、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュに。アートフロアのファッションコーナーを担当。外見、内面ともに魅力的な“紳士”を育成する「代官山ジェントルマンクラブ―紳士養成講座―」を定期的に企画している。

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