自動車にもカラートレンドがあるって知ってた? 次のキーが「ブルー」の理由

2015.8.13 (木) 11:03

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街中を走っているクルマを眺めてみよう。ほとんどは白、黒、シルバー系のクルマが多いことに気付くかもしれない。実は全体の7割がこれらカラーだといわれている。しかし、時にはこれら以外のカラーのクルマが走って来て、思わず目で追ってしまったり、魅力を感じることもあるだろう。色味に詳しい方なら、何らかの傾向を見つけるかもしれない。

BASFコーティングス事業部カラーデザインセンター アジア・パシフィックチーフデザイナーの松原千春氏

BASFコーティングス事業部カラーデザインセンター アジア・パシフィックチーフデザイナーの松原千春氏

実は、ファッションなどと同様に、自動車のカラートレンドも存在するのだ。ドイツの総合化学メーカー大手、BASFは毎年、2~3年先の自動車のカラートレンド予測を自動車メーカーに向けて発表している。これは全世界共通トレンドとともに、アジア太平洋、北米、欧州それぞれの地域の特性に合わせたカラーが提案されている。

では、今年発表された、即ち2017年からそれ以降数年くらいのカラートレンドはどうなのか。BASFコーティングス事業部カラーデザインセンター アジア・パシフィックチーフデザイナーの松原千春さんに聞いてみよう。


自分の足元を見つめてみると、そこにカラーの原点がある。

今年のテーマ“RAW~あるがままに~”

今年のテーマ“RAW~あるがままに~”
(BASFジャパン提供)

今回発表されたカラートレンドのテーマは“RAW~あるがままに~”だ。人間の感情を理解し学ぶロボットが現れるほど、先進技術が発達している現代。人々は先進技術を享受し、健康や日常生活を支えるために欠かせないものとなっている。一方で、SNSをはじめデジタルツールの進化により、人との繋がりは絶え間なく、情報は溢れている。

今回のテーマは、そこから一歩引いて、本当に自分にとって大切なものは何かを考えようというもの。「過去に我々が描いた未来がいま、まさに現実のものになろうとしていますが、この時代だからこそ、原点に立ち返り、真に我々に必要なものは何か、それを考えていく時だと思っています」と松原さん。これが今回、BASFが予測するカラートレンドのベースとなる考えだ。


ブルーがキーとなる3つのテーマとアジアの傾向

BASICALLY~感覚に従う~

グローバル共通テーマ:BASICALLY~感覚に従う~
(BASFジャパン提供)

このテーマは、「人間の基本的な要求の睡眠ですら、忙しい世の中では十分に取れていないのが現実です。この人間の基本欲求に立ち戻り、我々が本来持っている感覚をフルに活用して、豊かな生活を送りたい。そして本来の自分自身を取り戻して、生活の資質を高めて行きたいという流れを踏まえています」と松原さん。

そこでカラーは、「人間が持っている繊細な感覚、例えば五感を象徴するようなエフェクト(光の当たり方などで微妙に変化する)のカラーが特徴です」と述べる。「情報が溢れる中で、一歩下がって冷静に落ち着いてモノを見極める知性や、落ち着きそのものを表現するブルーとして、アジアパシフィックは深いネイビー、欧州ではホワイトに近いグレーに、青い緩衝効果がみられるカラーが出て来ています。北米からも懐かしさを感じるネイビーが提案されています」とした。

また、アジアパシフィックは“単純に色を楽しみたい”という傾向もある。「新興国では、個性を表現し始め、自分で色を選ぶ楽しさ、自己表現の楽しさを体感しているときです。そういった陽気なムードを表現する鮮やかなレッドやイエローが表れて来るでしょう」とコメントした。

アメリカから出たネイビー

微妙に質感のあるイエロー

JUST TIED ? ~技術と生命の融合~

グローバル共通テーマ:JUST TIED ? ~技術と生命の融合~
(BASFジャパン提供)

人型ロボットや、自動運転のクルマも登場し、先進技術がより身近になった昨今、「先進技術を表現するカラーは、これまでのシルバーや凄くシャープなガンメタだけではなく、より色味を増してくるでしょう」と松原さんはいう。

また、最近の先進技術のトレンドは、バクテリアなどの自然の機能を模倣することで、質を上げて来ている。そこでカラーも、「自然を模倣しながらも、あえて人工的な複雑な質感を表現させたものが、これからの先進技術を表すカラーとして重要です」とし、オリーブグリーンやブラウン、ブルー系の色が多くなるという。

NEVER STOP~過剰なものへの反動~

グローバル共通テーマ:NEVER STOP~過剰なものへの反動~
(BASFジャパン提供)

デジタルツールが普及するに従って、人とのコミュニケーションは24時間ひっきりなしに続くようになった。これは重要ではあるものの、内容は表面的なこともある。また、インターネット等から溢れる情報に、振り回されてしまうこともあるだろう。松原さんは、「そういった環境では、リラックスし、ゆっくりした時間を過ごして、自分に戻る。そういったことをテーマにしています」と話す。

カラーは、「過度な世の中の動きを、魅惑的に色変化で表現する個性的なブラックや、重量感のあるダークブラウン、ソリッド調の強いオレンジなど。その環境に対する反動として、スローダウンして、原点に立ち戻る、シンプルで知性を感じるカラーとして、控えめでありながら洗練されたグレーやオフグレーの2方向があるでしょう」

こってりしたオレンジ

LIVE FOR TODAY~今日を生きる~

地域別テーマ アジア太平洋:LIVE FOR TODAY~今日を生きる~
(BASFジャパン提供)

これは、アジアパシフィックのカラーテーマだ。アジアパシフィックは、近年新興国のイメージが強い。そこで、「経済的にちょっとスローダウンしてきていますので、新興国の人々も将来を見据えたときに、何もかもが薔薇色とはいかないと感じています。従って、先を見て悩むのではなく、今日を精いっぱい生きる。今日を大切に、自分をブラッシュアップして、自己実現していく。そういった意味を込めたテーマです」と説明。

もうひとつ重要なことは、「日本をはじめ、アジアの新興国からも、世界に通用するクオリティのデザインが生まれてきています。そこから自分たちのアイデンティティと伝統、カルチャーが、自信となってグローバルのレベルに達してきているのです。そういった勢いもポジティブにカラーに反映するでしょう」と松原さん。

そこで、「今日をポジティブに生き、クオリティを大切にするカラーは、繊細な色変化のあるニュートラカラーや、控えめながらも印象的なグリーンやローズメタリックで表現。また、ポジティブさとしては強いブルーやオレンジに反映されています」とした。

ポジティブで活動的なムードのカラー


全体を通して、ブルーが軸になっていることがお分かりいただけただろう。ブルーは人の気持ちを落ち着かせ、また、清涼感をも与えるカラーだ。一度自分を見つめなおして、立ち位置を把握し、改めて第1歩を踏み出すような時代が2から3年先までに来るとしたら、ブルーは確かに自動車のカラートレンドとして相応しく感じた。

(文・写真:内田俊一)


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