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写真の背景に涙する。この夏、絶対に見ておくべき、写真家のドキュメンタリー映画3本

2015.8.18 (火) 13:06

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『未来をなぞる  写真家・畠山直哉』

『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』

夏といえば、フェス、海、旅行など、レジャーで心躍らせる季節である。あと、ひとつ忘れてはいけないのが、映画のシーズンでもあるということ。夏休みシーズンにあわせ、たくさんの映画が公開されるが、夏休みを中心に、写真家の映画が多く公開されているという。この夏に公開される、写真家の映画について、代官山 蔦屋書店のアートコンシェルジュ・番場文章氏はこのように話す。

「写真家とドキュメンタリーという相性がすごくいいと思ったんです。実際に写真家が撮影している光景や行動、考えていることなど、一つの写真集から読み取りにくい作品の裏側の部分を伝える手段として映画はものすごく効果的なのだと感じました。どの作品も「写真家」という人がどのような人間なのかを知る上でもとても面白かったです」

番場氏に、この夏公開される写真家のドキュメンタリー映画を紹介してもらった。

この夏、写真に魅せられる。写真家の映画3選

映画『未来をなぞる 写真家・畠山直哉』

第22回木村伊兵衛賞受賞、2001年世界最大の国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」日本代表として選出されるなど、自然と人間の関係を切り取った作品で世界的にも有名な写真家・畠山直哉。東日本大震災で、岩手県陸前高田市にある彼の実家が流され、母が亡くなった。震災直後から頻繁に地元を訪れている彼を追い、写真家がどう震災と向き合ってきたかを追ったドキュメンタリー。

「陸前高田は畠山さんの故郷なんですよね。震災直後から写真を撮り始めて、4年経ってもずっと撮影をしていて。震災があった後に、被災地を撮りにいく写真家はたくさんいましたけど、継続という意味では、畠山さんは幾つかの作品集にしたり国内外の展覧会に参加したりして、自分の故郷という背景がありながらも震災の影響を自分のプロジェクトとしてずっと伝えているんです」

震災直後から3年半撮りためた写真を収めたのが『陸前高田 2011-2014』である。

「3年半撮った写真とエッセイが載っています。2012年に刊行された『気仙川』という本は、震災の前に撮っていた地元の写真と、震災直後の写真が一緒になっています。畠山さんの作品でこのようなスナップ写真はなかなか見られなかったと思います」

◆あわせて読みたい

『陸前高田 2011-2014』

『陸前高田 2011-2014』

『In the Wake 震災以後:日本の写真家がとらえた3.11』


映画『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』

神の眼を持つと言われている伝説的な写真家、セバスチャン・サルガドのドキュメンタリーは、巨匠、ヴィム・ヴェンダースがメガホンを取り注目を集めている。2015年アカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされたことでも話題になった。

「どういういきさつで写真をはじめたかからはじまって、なぜこの『GENESIS』という作品に行き着いたかというのを大きく丁寧にまとめあげていた映画でした。 サルガドは、もともとマグナムにも所属していた写真家。戦地や貧困層が働く場所、鉱山の出稼ぎ労働者などと一緒に生活などをしながら密着しながら撮影してきたのですが、すごく壮絶な場面に何度も遭遇したり、すごい経験をひとりでされていたみたいなんですよね。そういった経験の最後に行き着いた先にあったのが自然。邦題に『地球へのラブレター』というタイトルがついていますが、サルガドも地球に対しての愛や感謝の気持ちを改めてまとめようと、2004年からガラパゴス、アラスカ、サハラ砂漠などを撮影して『GENESIS』という写真集にまとめたんですね。最近は自分の故郷に木を植えて植林をして、自分の故郷を森林公園にしてしまうくらい神話的な写真家。だからこの映画も、サルガド自体がずっと神の存在のように神話化されています。畠山さんの映画はひとりの写真家として丁寧に密着していたので、その描き方の対比もおもしろかったですね」

◆あわせて読みたい

Genesis Collectors Edition』セバスチャン・サルガド

『Genesis Collectors Edition』セバスチャン・サルガド

『Written in the West, Revisited』Wim Wenders


映画『フリーダ・カーロの遺品―石内都、織るように』

2004年、フリーダ・カーロの死後50年を経て、封印が解かれた遺品。2012年、写真家・石内都がメキシコシティに渡り、彼女の遺品を撮影した。その3週間にわたる撮影過程に密着したドキュメンタリー。石内都が抜擢された背景には、アートディレクター・町口覚が推薦があったとか。

「石内さんは『Mother's』という作品では自身のお母さんの遺品を撮影していますが、メキシコの出版社やキュレーターとつながりがあった町口さんが、関係者に石内さんを紹介したらすごく気に入って実現したそうです。そしてこの写真集はメキシコの出版RM(アールエム)から刊行されているんですが、町口さんがデザインされているんですよ。フリーダ・カーロは芯が強く面白い人間関係の中で生きていましたが、石内さんも同じ女性として非常に強い人だと思うから、ふたりの映画と捉えると興味深いですよね」

◆あわせて読みたい

『Frida Kahlo: Her Photos』James Oles

『Ishiuchi Miyako Hasselblad Award 2014』

『Ishiuchi Miyako Hasselblad Award 2014』


普段見る機会のない写真家の制作風景を映し出すドキュメンタリー映画から、写真に込められた想いをじっくりと読み解きたい。

(文:岡崎咲子)

◆その他の「写真家映画」公開スケジュール

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』
『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』


【代官山 蔦屋書店】
アートコンシェルジュ 番場文章 氏

都内の写真ギャラリーで書籍担当をする傍ら、“店舗を持たない本屋”「BAMBA BOOKS」としてアートブックを出版。2011年より同店のコンシェルジュに。アートのなかでも特に写真分野に詳しい。注目している作家は、1940年代後半からカラー写真に取り組んでいたアメリカ人写真家、ソール・ライター。

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陸前高田 2011-2014

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