マクラーレンのデザイナーが語る、「スーパースポーツカーのデザイン」に必要な意外なものとは?

2015.8.30 (日) 02:21

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スーパースポーツカーをデザインするには…マクラーレンのデザイナーが来日

マクラーレンというイギリスのスーパースポーツカーメーカーをご存じだろうか。もともとは天才ドライバーであり、エンジニアだったブルース・マクラーレンが1963年に作ったメーカーで、現在はホンダとタッグを組んでフォーミュラ1でも戦っている、あのメーカーだ。

そのロードカーをデザインしているロバート・メルヴィル氏が来日。この機会にカーデザイナーになるきっかけや、マクラーレンのデザイナーとして必要なことなどを聞いてみた。

メルヴィル氏は現在37歳で、3児のパパだ。ジャガー・ランドローバー社やゼネラルモーターズ社で働き、2009年からマクラーレンのシニアデザイナーとして同社のスーパースポーツカーを手掛けている。

動くものの仕組みに興味があった幼少時代

ロバート・メルヴィル氏

ロバート・メルヴィル氏

「子供のころからものが動く仕組みに興味があったんです」とメルヴィル氏はいう。「小さい頃、小川のほとりに座って、川の流れをじっと眺めていたり、そこから何か動物が出てこないかなと思っていました」と笑顔で語る。どうやら、なぜ上流から川は流れているのか、また、どういう抵抗があると波紋が出来るのかを観察していたようだ。これは自然界だけに限らず、クルマや飛行機、ボートなど速く動く乗り物がどう動くかなどにも興味を持っていたという。

同時に、父や兄たちがクルマ好きで、当然そこからも影響を受け、デザインや設計にも興味を持った。小さい頃の好奇心と父や兄の影響を受けてクルマのデザイナーを志したのだ。

父親のクルマ好きは筋金入りで、一時は家にアウディクワトロが4台もあったという。「走行距離1万マイルの赤、それから白が2台、青があり、そのクルマをチューンナップしたりしていました。父親の自動車専門紙もよく読んでいて、最初に好きになったのはランチアストラトスです」とエンスージアストの一面を見せた。


マクラーレンには以前勤めていた会社の推薦者からの紹介で入社した。その時のエピソードを次のように話してくれた。「ちょうど金曜日の夜8時ごろでした。あるクルマのエアロパーツをデザインしている最中で、床に寝そべってどう取り付けるかをチェックしていたのです。そこに電話がかかってきたのですが、床に寝そべって作業をしているので、出るのが億劫でしばらく放置していたんです。でも、ずっと鳴っているので慌てて取りに行くと、その誘いの電話だったのです」。まさに運命の電話だったのだ。因みにマクラーレンも6カ月ほど前からデザイナーを探して、多くの人達と面接を行っていたが、採用にまでは至らなかった。そこにメルヴィル氏が推薦されたのだ。彼は、「夢の仕事に就くことが出来てとても嬉しく思っています」とその気持ちを素直に表現していた。

マクラーレンのデザイナーに必要なのは、クルマに関するすべての知識

さて、マクラーレンのデザイナーにとって必要なことは何だろう。メルヴィル氏は開口一番「マクラーレンの場合は、まずデザインありきです」という。このデザインとは、単にデザイナーが好き勝手にデザインすることではない。「機能性と美の両方を兼ね備えるという考えに基づいたものです」と定義。そのうえでデザイナーは、「クルマがどのように動くかという基礎知識のほかに、エアロダイナミクスや人間工学の知識、そして、クルマの原材料に関する知識などが求められます」と説明。そこにプラスして、クルマを美しく見せるためのデザインセンスが求められる。そうすることで、マクラーレンのダイナミックな製品が生まれてくるというのだ。

マクラーレン-540C
マクラーレン-540C
マクラーレン-540C

マクラーレン-540C

リラックスしながらもSF映画でアイディアを模索

アウディ-クワトロ

アウディクワトロ (提供:アウディAG)

自動車技術の進化は日進月歩。特にスーパースポーツカーへの技術の集約は半端ではない。その技術を習得しながら、美しいデザインを実現しているメルヴィル氏。その普段の生活はどうなのだろう。「趣味はボクシング。あとは、3人の子供たちと一緒に犬の散歩をしてリラックスした時間を楽しんでいます」と話す。そして、もうひとつの趣味は映画だ。「特にSFが好きで、ターミネーターやインターステラ―、グラディエーターなどが好きですね。そうそう、アニメーションのアキラも気に入っています」と教えてくれた。

しかし、生粋のデザイナーなのだろう。リラックスして映画を見ていても、デザインから頭が離れないようだ。「SF映画を見ながらでもアイディアのインスピレーションを求めています。因みに会社のデスクにもSF映画の本などが置いてあるくらいです」と少し照れながらコメントしていた。


最後にメルヴィル氏は、「デザイナーとして大切なのは、常に好奇心を持つことです。子供のころは何にでも興味がありましたが、大人になると当たり前になってしまってなかなか心がフレッシュではない。なので、子供のころの気持ちを忘れないようにしたいと思っています。常に、何で何で? と思い、学びを続けたいと思っています」と語っていた。


マクラーレンのデザインのキーワードに“シュリンクラップ”という言葉がある。人間の骨格は筋肉とその上の皮膚でおおわれており、この皮膚は、その機能に応じて最適に“デザイン”されている。これをクルマに置き変えると、骨格やエンジニアリングの上に、皮膚にあたるボディが覆っていることになる。マクラーレンは、これをシュリンクラップと称し、クルマのボディも機能を踏まえた無駄のないデザインであることを求め、そのうえで美しさを追求しているのだ。それを行うためにメルヴィル氏をはじめとしたマクラーレンのデザイナーは、クルマに関する全てを知り、それを踏まえたデザインを日々トライしている。だから、マクラーレンはクールで美しい。

(文・写真:内田俊一)

マクラーレン・オートモーティブ公式サイト

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