日本初の本格的な「春画展」が9月19日開幕! 知られざる「春画」の真実とは?

2015.9.19 (土) 12:02

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春画展

喜多川歌麿「歌満くら」浦上満氏蔵

秋といえばアートの季節。各地でたくさんの展覧会・アートイベントが開催されるが、この秋注目の展覧会のひとつといえば、「永青文庫」(東京・目白台)で2015年9月19日(土)~12月23日(水・祝)開催される「春画展」だろう。

2013年から2014年にかけてイギリス・大英博物館にて開催された「春画 日本美術の性と楽しみ」は約9万人をも動員するなど、ユーモラスで芸術性の高い春画は世界で高く評価されている。ただ、春画が生まれた日本ではいままで本格的な展覧会は開催されたことがなかったのだが、今秋、待望の春画の展覧会が開催される。

春画とは?

春画とは、江戸時代に描かれた性描写を描いた挿絵、肉筆画、版画などのこと。菱川師宣喜多川歌麿葛飾北斎歌川国芳など、多くの絵師が春画を描き、その芸術性が世界中で高く評価されている。春画について、代官山 蔦屋書店アートコンシェルジュ・秀熊麻衣氏はこのように話す。

「春画専門の絵師というのはいなかったので、浮世絵師が春画を描いていたそうなんです。絵師によって大胆さだったり精緻さだったりいろいろな作風があるのがとても面白い。″春画“といってもこんなに豊かな表現あふれているのかと、その多様さに驚かされます。抑圧されていた時代だった分イマジネーションの発露もすごいと思います。春画で絵師の腕や魅力が発揮されていたんですね」

春画展

歌川国芳「華古与見」国際日本文化研究センター蔵

春画展

鈴木春信「綿摘女」

春画展

葛飾北斎「喜能会之故真通」浦上満氏蔵

春画展

菱川師宣「枕絵組物」

春画が嫁入り道具?

春画の魅力といえばその芸術性はもちろん、ユーモラスであることも忘れてはいけない。

「日本人はどちらかというと、性に対して恥じらいがあると捉えられている中で、ユーモラスに性を描写する芸術があるといことに海外の方たちは感嘆されるそうです。

そしてなんと江戸時代には、嫁入り道具として春画を持たされたとも聞きます。そして、男女一緒に笑いながら春画を見ていたことから『笑い絵』とも呼ばれていたとも。きっと最初は結構激しく生々しくみえる描写にびっくりするかもしれないけど、人物の背景や小物などをみて、「これはどんな場所だ」「これはきっとこの季節だ」など、“絵をよむ”という楽しさも発見する。そういう見方を知れば、春画がポルノではなく品とユーモアを交えた芸術であると納得できてくると思うので、性的なポイント以外も意識して見てもらえたらいいなと思います。 浮世絵は浮世を描くものだから、市井の生活こそが題材で、一般の人々のちょっとした夢想を拾い上げて、それを誇張して見せることによって共感を得ていたと思うんです。あくまでも市井の人たちと切り離された崇高な芸術とかではなかったというところが、一番の魅力なのかなと思いますね」

春画に込められた、絵師たちのメッセージ

秀熊氏は下記のように続ける。

「春画は『笑い絵』と呼ばれていたことからもみんなで楽しめるものだったけれど、潜ませたメッセージにはいろいろなメタファーが入っている。単純な性の発露ではないところに、文化の底の厚さがあると感じます。春画の背景にその時代への強い反逆のメッセージを感じると、『日本にこんなにエッジが効いていて、アツくて、反発とウィットといろいろなものが交じり合った壮大な文化があったのか!』とショックを受けるのではないでしょうか。“画狂人”という言葉もあるように、絵でもって時代や己の画業と懸命に戦っていて、一枚の絵を描くために尽力するという意気込みが宿っている。最高の絵師たちが描いたものだからこそ、春画は品位とユーモアと性の豊かさがちゃんと兼ね備えられている美しい国の宝になると思うんです」


春画展にちなんで、各出版社からも関連書籍の刊行が相次ぐという。代官山 蔦屋書店でもフェアの開催やトークショーを予定しているのだとか。ぜひ足を運んで、絵師たちの想いに思考を巡らせたい。

(文:岡崎咲子)

■開催情報

開催日時/2015年9月19日(土)~12月23日(水・祝)9:30~20:00(入館は19:30まで)
※日曜は9:30~18:00(入館は17:30まで)
休館日/月曜(祝日の場合は開館)、展示替期間、年末年始
会場/永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1)

春画展 公式サイト

【代官山 蔦屋書店】
アートコンシェルジュ 秀熊麻衣 氏

都内ギャラリーでのサポートをした後、2011年に同店のコンシェルジュに。自身も現代アート作家として、現在も制作を続けている。アート界の最先端をチェックすべく、美術館だけでなくギャラリーをチェックすることをライフワークにしている。好きな日本人作家は大竹伸朗。今注目している作家はリー・キット。

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