”泊まれる本屋”で至福の読書体験を。11月5日オープンの「BOOK AND BED TOKYO」インタビュー

2015.11.5 (木) 04:22

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池袋駅から最短1分という好ロケーション。 Photo : Kastuhiro AOKI ©RSTORE 2015

池袋駅から最短1分という好ロケーション。 Photo : Kastuhiro AOKI ©RSTORE 2015

本棚の間にベッドが! ちょっとした秘密基地のよう。

本棚の間にベッドが! ちょっとした秘密基地のよう。©RSTORE 2015

2015年11月5日(木)、東京・池袋に”泊まれる本屋"をコンセプトとしたホステル「BOOK AND BED TOKYO(ブック・アンド・ベッド・トウキョウ)」がオープンした。本棚の奥にベッドが設置されたユニークな宿泊施設で、デザイナーズ・リノベーションを手がけるR-STOREによるプロデュース。

宿泊者は、本棚の蔵書1700冊から自由に手に取り、各自のベッドや共有のロビースペースのソファーで読むことができる。最上級のマットレスや低反発の枕、羽毛布団はない。代わりに、「本を読みながら寝落ちする」ーーそんな、幸福な読書体験が提供される。

前代未聞のホステルはどのようにして生まれたのか。そしてその楽しみ方は?

構想から創設に携わった、R-STORE・ハンサム社長浅井氏こと代表取締役の浅井佳氏と同社広報の力丸聡氏に、話を聞いた。


“寝る瞬間”へのアプローチ

「BOOK AND BED TOKYO」運営メンバー。左から、スタッフ 深田直也氏、広報 力丸聡氏、スタッフ立石氏(上)、代表取締役 浅井佳氏(下)、スタッフ堀氏。

「BOOK AND BED TOKYO」運営メンバー。左から、スタッフ 深田直也氏、広報 力丸聡氏、スタッフ 立石氏(上)、代表取締役 浅井佳氏(下)、スタッフ 堀氏。

――なぜ、こうした形態のホステルを作ろうと思われたのですか。

浅井佳氏(以下、浅井):もともと、ホテルをやりたいとは思っていたんですよ。今まで不動産業をやってきましたが、東京オリンピックに向けて訪日外国人が増えていることもあって、今までと違うアプローチで業界にアクションをして、おもしろいことができたらいいなと。

そこで、ホテルというものをブレイクダウンしていくと、大切なのはやはり、「寝るところ」だということなんじゃないかと。「寝る」といえば、僕は寝つきが悪いほうで、眠りにつくまでに結構、苦労するんですよね。だから、インテリアや寝具にこだわるというよりも、「布団に入ってから寝るまでの体験」に、何かアプローチできないかなと。

力丸聡氏(以下、力丸):その頃ちょうど、僕は世界的に知られた高級ホテルに泊まる機会がありました。噂の通り、寝具の質が良くて、ふかふかだったんですよ。たぶん、(「ドラえもん」の)のび太だったら2、3秒で寝られるくらい(笑)。でも僕は、ホテルに良いバーがあったので、そこでいろんな人と話すのが楽しくて。「もうこのままバーで、今すぐ寝たい。僕は、そっちの方が幸せだな」と思って。その体験も、そうした”寝る瞬間”へのアプローチというコンセプトづくりのきっかけになりました。

浅井:さらに、旅先で泊まるホテルには、本はすごく相性がいいんじゃないかと思いました。僕の場合も、どこか出張に行くときは、本を買って飛行機の中や、ホテルに早めに着いて時間を持て余しちゃったときに読みます。

力丸:ここは単純に「ホテル+本」と見られがちですが、従来のホテルは寝た後や寝ている最中の快適さを求めているのに対して、僕らはその前段階を大切にしているんです。好きな本に囲まれて、読みながら眠れる、という、寝る瞬間へのアプローチです。


漫画から文学作品まで。ごちゃ混ぜのセレクション

池袋のカレー屋やラーメン屋などの、ローカルな本もそろえる。「次の日の昼ごはんを考えながら寝るのもおすすめです」(力丸氏)。

池袋のカレー屋やラーメン屋などの、ローカルな本もそろえる。「次の日の昼ごはんを考えながら寝るのもおすすめです」(力丸氏)。

--本はどのようにセレクトしましたか。

浅井:ホステルに本を置くと決めてから、ブックカフェや有名な書店を、何十軒も回りました。でも、おしゃれな本がインテリアのように飾られているのも、専門書や古書がきれいに並んでいるのも、ちょっと息苦しくて違うな、と。もっと、リラックスできる空間にしたかったんですね。

力丸:そう。「本+ホテル」ではなくて、あくまで「寝落ち」の方が軸。本は、その幸せのためのツールだから。

浅井:すると、漫画があってもいいし、知識欲求がそそられる本があってもいいし、文豪の作品があってもいい。ジャンルがミックスされているほうが、リラックスできるんじゃないかな、と。そこでビビッときたのが、渋谷の神山町にある書店「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)」さんでした。

力丸:SPBSさんの本のセレクションは、まさにそういう感じでした。(ホステルに置く本の選書を)お願いに行ったときに、鈴木店長がこう言ったんですよ。「表には出していないんですけど、わたしたちは『入口の本屋』をテーマにしています」って。「仕事帰りに疲れたときにふらっと眺めてもらって、本のある空間を感じてほしい」って。僕らの感覚としても、ちょうど良くて、もうここしかないな、と。

浅井:そのあとの本のセレクトのプロセスも、おもしろくて。まず、僕らスタッフ5人くらいでSPBSさんに伺ったら、「BOOK AND BED TOKYOで読みたい本を、一人5冊ずつ選んできてください」って、鈴木店長に言われてね。僕は、名前は聞いたことがあるけど、まだ読んでいない夏目漱石太宰治の本などをピックアップしました。でも力丸は、全く違うのを選んでいて。

力丸:ごはん系とかね。寝る前にごはんの本を読んで、腹が減りながら寝るのって、地獄だけど天国というか(笑)。それぞれが5冊を選んだ理由をプレゼンさせられて、あとはその種を、鈴木店長が枝葉を伸ばすように1700冊に広げてくれました。最後にセレクションが並んだときは、「さすがです」としか、言わなかったです。

イベントも企画予定。新しくて懐かしい読書体験を

幅がゆったりとしたソファは、座ってもいいし、寝そべったっていい。特に窓際は池袋のま街を見下ろせる特等席だ。

幅がゆったりとしたソファは、座ってもいいし、寝そべったっていい。特に窓際は池袋の街を見下ろせる特等席だ。Photo : Kastuhiro AOKI ©RSTORE 2015

--ベッドでもロビースペースでも読んでいいという、自由な雰囲気がいいですね。

浅井:ここではリラックスして、本をガサッと抱えて、好きなところに持っていって読む。そういう宿泊者のアクティビティが、ちゃんと行われてほしいと思っています。だから空間デザインは、尊敬するデザイナーの谷尻誠さんたちとともに、身近な感じに仕上げました。

力丸: 高校生のときとか、雑誌を机に開いて写真を見ながら「この子かわいい!」とか、これも読書のひとつのスタイルだと思うんですが、一人じゃなくて仲間と読みましたよね。ここのロビースペースでは、そういう読書体験もしてもらえたら、と。一人で静かに読みたい人には、耳栓を用意しています。

浅井:実は、本棚には全部で3000冊は入るんですけど、スペースに余裕を持たせてあります。

力丸:これから募金ならぬ、本を寄付してもらう「募本」をしてもらったらおもしろいかな、と。

浅井:例えば、いま本棚にある日本の歴史の本は、「娘が小さい頃に買ったけど、もう読まないから」と、知人に譲り受けたものです。これから、旅人にも置いていってもらったりすることで、セレクションが広がっていたら、おもしろいかな、と。

力丸:イベント企画なんかも、どんどん持ち込んでほしいです。

浅井:泊まれるイベントスペースって、あまりないですからね。例えば、「著者や声優さんに、本を読んでもらいながら寝る」とか。読み聞かせって、読書の原体験じゃないですか。それをまた、大人になってやってもらうとかね。

力丸:旅行者だけじゃなくて、この辺に住んでいる人にも、言葉は古いですがサードプレイス的に使ってほしいですね。

(取材・文:山岸早瀬)

ビルの7階に到着すると、街の喧騒とは打って変わり、異空間が登場する。フロントでチェックイン。©RSTORE 2015

シャンプー、リンス、ボディーソープ、歯ブラシに……一人の時間を過ごしたい人は耳栓もお忘れなく。アメニティも充実している。

本の世界に迷い込んだかのよう。©RSTORE 2015

照明も本をモチーフにした特注品。

ハシゴを登って使用する上の段のベッドは、屋根裏部屋のような雰囲気も。冒険心をくすぐられる。

夜景を独り占めできる特等席は競争率が高くなりそう。

トースター、ポットなどを完備。旅人にも優しい仕様だ。また、ホステルがあるビルには飲食店も入っているので、居酒屋や焼き肉店で食事をしてから来ても良し、イタリア料理店でピザをテイクアウトしてホステル内で食べても良し、だ。

宿泊料金は部屋の大きさによって異なり、コンパクトは3500円、スタンダードは4500円(いずれも税別、土日祝前日などは変動あり)。ベッドは本棚の中にあるBOOK SHELFタイプと、ベッドが並んだBUNKタイプがあり、全30床。スタッフさんいわく「人気はBOOK SHELFだけど、BUNKの方が静かでスタッフには人気ですね」。©RSTORE 2015

シャワー、トイレ、洗面所は共同。チェックインは夕方の午後4時、チェックアウトは午前11時と、ゆっくり過ごせる。©RSTORE 2015

■ホステル概要

「BOOK AND BED TOKYO」
住所/東京都豊島区西池袋1177 ルミエールビル7階
チェックイン・アウト/チェックイン 16:00 チェックアウト 11:00
宿泊料金/平日3,500~4,500円(税抜)、金土祝前日4,500~5,500円(税抜)

【デイタイム利用について】
時間/13:00~19:00
料金/1,500円(税抜)
席数/8席 (予約不可)
利用空き状況確認Twitter

公式サイト
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