【連載】LIFE相場正一郎さんと12カ月の道具たち:4月はイタリア時代からの相棒・カメラと旅立つ

2017.4.1 (土) 07:00

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2003年、代々木八幡商店街にレストラン「LIFE」はオープンした。訪れた人を心地よく包み込むような空間とほっとさせる料理だけでなく、カルチャーやライフスタイルの発信地としても多くのお客さんから愛されている。

そんな「LIFE」の生みの親であるオーナーシェフ・相場正一郎さんは、自他ともに認める“道具好き”。食はさることながら、山登り、サーフィン、インテリア、カメラなど、さまざまなことに造形が深い相場さんは、一体どんな道具たちと寄り添いながら一年を暮らしているのか。その月ごとの欠かせない愛用の道具をひとつずつピックアップして、相場さんと道具たちのストーリーを紡いでいく。

第1回目となる4月は、相場さんのモノ好きの原点とも言えるカメラのお話。代々木公園近く、春の暖かな光と緑に囲まれた相場さん邸にて、話を伺った。

相場さん邸では、18年ほど使っているというチェストなどの味わい深い調度品を採用。壁には自身で撮影した写真を額装して飾っている。

道具を通して自分自身を探求

――相場さんは料理に関わるものだけでなく、インテリア、アウトドアなどの、さまざまな道具がお好きと耳にしました。好きになったきっかけは、どのようなものだったのでしょう?

イタリアの留学時代に蚤の市によく通っていて、料理の道具を中心にいろいろ買いはじめたのがきっかけかもしれないです。そのころは時間があったから、ふらふら見るだけでも楽しかったですね。

――イタリア時代に培われたものへの視点が、相場さんの原点でもあるのでしょうか。

うーん、どうでしょう? ただ、道具に関して自分はものすごい審美眼を持っているとは、まったく思っていないんです。それよりも自分が何が好きか、どんなものを持っているとしっくりくるかについて、よく考えるようにしています。

――自分の好みを追求することで、相場さんのスタイルが形成されたのですね。多彩なご趣味も、それに伴って?

もともとちょっとせっかちで、時間があれば何かしていたいタイプなんですよ。留学時代にひとりの時間をつぶすために写真をはじめとするいろいろなことに興味を持ち始めて、それが今も続いている感じです。それに、趣味を共有できる仲間がいるのも大きいかもしれないですね。

留学時代、ひとりの時間を使って撮りはじめた

――数ある道具のなかでも、やはりカメラには思い入れが?

イタリア留学の際に持って行った父親のカメラ、OLYMPUSの「OM10」。今も現役で使用しているそう。

ええ。18歳でイタリアに留学した際、父親のカメラを持って行ったことがはじまりですね。

その頃自分は留学することに対して積極的な気持ちはなく、どちらかというと父親にお尻をたたかれて行った形なのですが、料理以外に楽しみがなく、最初はホームシックにかかってしまった。平日は学校やアルバイト、レストランでの仕事があったけれど、休日はやることがなくて、もて余したひとりの時間を潰すために撮りはじめたのがきっかけ。

日本にいた頃は操作くらいは知っていたのですが、ほとんどカメラを使うことはなかったですね。イタリアは世界遺産の素晴らしい建築物も多かったから、休みの日はほとんど写真を撮りに行っていました。

イタリア留学時代に撮影した写真の数々。

――現像もご自身でされていたのですか。

イタリアは日本よりも現像の環境がよいので、最初は写真屋さんに頼んでいたのですが、自分で現像するとモノクロのコントラストを強くつけられるのがよいなと。日本に帰ってからも友人からいらなくなった現像機を譲ってもらって、自分で暗室を作って現像したりもしていました。

――イタリアで撮影された写真はほとんどがモノクロですね。

イタリアはとくに光が強くてコントラストがある。それにモノクロで撮ると絵になるし、なんだか雰囲気が出て上手風に見えるでしょう(笑)?

――白と黒のコントラストがドラマチックでかっこいいです。ちなみに写真は「撮りにいく」ことがお好きなのでしょうか?

どちらかというと撮る作業よりも、現像したものを家に飾る作業が好きですね。特に家の中には他の人が撮った写真よりも自分で撮影したものを飾りたくて……。ここの場所にこんな写真があったらいいな、なんて思いながら撮影することもあります。お店に関しては内装をする過程で(自分の写真を)見せた流れで多少飾ってはいるのですが、ちょっと照れくさいですね。

鎌倉を散歩していた際にふと見つけて購入したという、パタゴニアの防水ケースにカメラを保管。

――写真は表現としてよりも記録としての役割が大きいのでしょうか。

作品を撮ることも嫌いではないのですが、僕の場合は思い出ありきですね。今は子供の写真や、旅に行った時に撮ることが多いです。

ニュージーランドでは波ばかりを撮っていた。サーファーならではの視点

――今でもお休みの日を中心にカメラを持って出かけられるそうですが、最近写真を撮って面白かった場所はありますか?

2月にニュージーランドを周っているとき、海の写真を撮影したのですが、波の動きがすごく面白く、サーフスポットの波ばかり撮っていたんです。サーフィンが好きだから水中でサーファーの写真なども撮りたいし、波の影の形も最もよい場面でシャッターを切れる自信はあるけれど、そうすると自分がサーフィンをできなくなるから困ってしまうんですよね(笑)。

ニュージーランド、ラグランビーチ 20170205撮影

ニュージーランドで相場さんが撮影した写真。ニュージーランド、ラグランビーチ 2017年2月5日撮影

ニュージーランド、ラグランリーフ20170206撮影

ニュージーランド、ラグランリーフ2017年2月6日撮影

最新型デジカメとアンティークカメラを使い分けている

――現在ご愛用中のカメラが数種類ありますが、こちらはどのように使い分けされているのでしょうか?

カメラごとに特徴が変わるので、被写体に合わせて使い分けています。それぞれ光の入り方が違うし、中央にだけピントが合うものなど、個性があって面白いんです。

――カメラは今でもフィルムを使われることが多いのでしょうか?

いや、最近はもっぱらデジタルですね。デジタルに関しては最新型の機能がよいものを買って、壊れたらその時の最新型に買い替える感じです。一度買ったら10年くらいは使い続けますね。普段はiPhoneを使うこともあります。InstagramなんかはiPhoneと、無線でデータを送れるデジカメを中心に使っています。

――なるほど。こちらのフィルムカメラはいろいろカスタマイズされていますが、こういったアイテムはどちらで購入されるのでしょうか?

蚤の市が中心ですね。ふらっと眺めて、よいものを見つけるとちょっと買いたくなる(笑)。新宿のカメラ市場とかも面白い。海外の友人を連れて行ったら喜ばれるんです。

――今後、写真でチャレンジしたいと思っているものはありますか?

ドローンは、ちょっと興味があります。でも、撮影場所の規制が多すぎることとかあってまだ難しいかな。手を出せないでいますね。

(インタビュー・文:山本加奈子、撮影:MASA(PHOEBE))

「LIFE」オーナーシェフ
相場 正一郎

イタリアのトスカーナ地方で料理修行をした後、2003年に代々木公園にカジュアルイタリアン「 LIFE」をオープン。現在、「LIFE son」「LIFE Sea」など全国に5店舗を運営する。店舗では、イベントの開催、オリジナルプロダクトの制作、地元の情報を集積したフリーペーパー『PARK LIFE』の発行など、カルチャーの発信地としても多くのファンを持つ。最近、渋谷の東急本店に抜ける長い一本道「奥渋谷」に話題の店が続々と増えているが、その走りとなったパイオニア的な店が「LIFE」と言える。

著書は『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』(筑摩書房)『LIFEのかんたんイタリアン』(マイナビ)『LIFE OF THE MIND』(ネコ・パブリッシング)など。

2017年4月12日(水)には、「LIFE」(代々木八幡)にて「TALK LIFE」トークショーを開催。第1回目のゲストは、F/styleの五十嵐恵美さんと星野若菜さん。

公式サイト


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世界でいちばん居心地のいい店のつくり方

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カフェブームのなかで育った僕が考えたいい店のあり方と暮らし10年分。“カフェ”より親しみやすく気持ちのいい店とは?!メニューやインテリア、そして働き方にも、楽しく暮らすリズムとセンスが活かされる。

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