大宮エリー展覧会「ELLIE EXPO in TSUTAYA(エリスポ)」開幕! 10年の仕事を語る【レポート】

2017.5.9 (火) 18:21

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大宮エリーさん

作家、舞台演出家、CMプランナー、画家など、ジャンルを超えて活躍する大宮エリーさん。創作活動10周年を記念して、全国のTSUTAYA/蔦屋書店を巡回するイベント「ELLIE EXPO in TSUTAYA(略してエリスポ)」JAPANツアーが、2017年4月29日(土)にスタートした。そのはじまりの場所となった「中目黒 蔦屋書店」(東京・中目黒)では、5月1日(月)にオープニングセレモニーを開催。店内に展示された作品の紹介やこれまでの10年間を振り返るトークショーを開催した。

メーデーであるこの日のテーマは、ずばり「働くということ」。仕事や関わる人々への愛にあふれる姿勢が印象的だった、そのトークの一部をお届けする。

笹舟のようにクルクルと。色んな人が助けてくれた10年

「笹舟って小さいからあまり沈まないじゃない、クルッと回転してまた戻る、そんな感じ」と、この10年間を笹舟に例えたエリーさん。「素直に、『わからないです、助けてほしいです』と言うようにして、色んな人に助けられて今がある」と語るこれまでの仕事を、まずは著書と合わせて振り返った。

「いい球が来た時に上手く打つ!」独立後最初の連載『生きるコント』

「トントン拍子に聞こえるかもしれないけど、流れに身を任せつつも、節目節目で合いの手のようにちょっと“やる”ところがある、と思うんです。

会社を辞めてすぐ始まった仕事が『生きるコント』というエッセイ。出版社の方が(スピッツの曲のイメージを元に製作したwebムービー)『海でのはなし。』のようなものを小説にしたらいいんじゃないかと言ってくれて、文藝春秋を紹介してくれたんです。小説でという話だったけれど、私は『エッセイが書きたいから週刊文春がいい』って言ったの。そうしたら、『無理無理、スターしか書けないから』って。でもそこで『紹介だけしてもらえませんか?』って粘った。

それで(週刊文春の)編集長にお会いして、『現代の落語みたいなことがやりたいんです』とやりたいことを明確に伝えたのね。そうしたら、『じゃあ書いてきて。それで判断するわ』と言われて、そこから5つくらい書いて送ったんですね。その結果、『読めるね、いいね』と言ってもらえた。

なんかこう、“いい球が来た時に上手く打つ”ってことをしてきたのかもしれない。それが何故できたかと言うと、恥も外聞もなく、何回もラケットを振っていたんですよね。空振りを100回くらいしてるんだけど、1回くらいは『お、打てる!』みたいな時があった、そういうことかなと思ってます」

「神様プランに一生懸命食らいつくのが人生」。終わったことで始まった『なんとか生きてますッ』

「新しい担当の方の読みたいものと私の書くものが違ったみたいで、『生きるコント』の連載が突如終わってしまったんです。こういう仕事を通じて、神様っているんじゃないか、神様が作ったシナリオ的なものがあって、そこに一生懸命くらいついていくのが人生なのかな、って思うようになったのね。

なので、神様プランによると『生きるコント』を一度ここで終わらせた方がいいんだな、何か意味があるんだろうって思った。そしたら今度は週刊誌『サンデー毎日』からお仕事がきて、『生きるコント』からバージョンアップして見開き2ページ(『なんとか生きてますッ』)を書くことになったの。

そう言えば、『ハングアウト』ってラジオも2年間で終わったんです。あれも続けたかったけど、続けているとできない仕事が次に来るんだな、と思って。たぶんそれって、今回のこのエリスポなんじゃないかな。全国ツアーをやっていたら、毎週水曜日戻ってられないからね(笑)」

人に言われたことを素直に実行した『猫のマルモ』

水嶋ヒロくんが『雑誌を創刊するから寄稿して欲しい』って言ってくれたの。その条件が、働く人が泣けて癒やされて元気になる、というもので、『そんなんないよー?』って言ったんだけどさ、結局考えて。登場人物を全部動物にして、現代の働く人の童話みたいなのが描けたらいいなと思った。そしたらそれが好評で、知り合いのテレビのプロデューサーの人から電話がかかってきて『エリーさん、風呂場で男泣きしました、絶対本にしてください!』って言われたの。何人かにそういうことを言われて、ああそうか、本にしたらいんだって思ったんですよ。

その時に小学館の人から、何か本を一緒に作りたいんですけどって話をいただいて、『ちょうど猫のマルモっていうがありまして……』と話したら、『いいんですけど、でもこれだけだと本にならないので、あと10個書けますか』って。『10個…重いなー』って思ったんだけど、10個の動物が出て来る話を書いて本になりました」

人との繋がりが増殖した10年。荒井良二さんと作った絵本『グミとさちこさん』

亀田誠治さんにフェスをやるから手伝ってと言われて、イベント名の『亀の恩返し』とかも一緒に考えたんですけど。その時に、映像を作らなくちゃいけなかったので、私が好きだった絵本作家の荒井良二さんに頼んで。私が文章を書いて、荒井さんに絵を描いてもらったんです。

その仕事がきっかけで、荒井さんと交流ができた。10年間、そういう意味では、仕事を依頼してもらってできる出会いもあるけど、そこからまた私が頼んだりすることで、新しい人と出会ったりして、増殖してきちゃったんだね」

仕事は「感謝でしかない」

著書で流れを振り返った後、エリーさんは「感謝でしかない」という言葉で締めくくる。

「仕事って、もちろん生活の糧でもあるんですけど、存在意義でもあって。なんで仕事をしてるんですか? って聞かれると、やっぱ“感謝でしかない”っていうか。来た球を、感謝を込めて打ち返してきた10年だった。

自分の能力って自分ではあまりわからないんだけど、人から頼まれるということは、その人は私にそういうところを見出して頼んでくれているわけじゃないですか。それに乗っかって努力することで、自分がブラッシュアップされるんじゃないかなって、思うんです」

聖地で感じたパワーを込めるアート活動

近年のエリーさんの仕事のひとつに絵画制作がある。トークは、期間中に店内に展示されている作品の解説へ。創作のインスピレーションの源は、実は“聖地”に行くことにあると言うエリーさん。大きな個展の前には、どこかへ行ってエネルギーをチャージすることも多いそうだ。

マグマの赤は、愛の色。ハワイでの経験から生れた絵

大宮エリーさんの作品

「これは、ハワイ島で感じたエネルギーで描いたものです。やだよね、エネルギーで描いたとか(笑)。ジャングルの中に住んでいる人のところに泊めてもらいに行ったんです。そこの首長さんのような女の人に会わせてもらったら、『お前は女神ペレに呼ばれてここに来た。女神ペレに挨拶に行け』って言うわけよ。え、こわいなって思ったんですけど、星を頼りに、道なき道を3時間くらいかけて行ったんです。

マグマの赤を見た時に、うわーって涙が出てきてね。びっくりしました。怖い、とかじゃなくて、なんか、地球とか宇宙に愛されているんだ、この赤は愛の色なんだって、涙が出てきて。初めて歓喜の涙を経験したんですよ。私はこれを観るためにここに来たのかな、観てそれを伝えるっていうお役目なのかなって思ったの。それで、帰ってからこの赤い女の子の絵を描いたんです。私が見た愛のエネルギーを絵から受け取ってもらえたらいいなと思って描きました」

「自分だけでは描けなかった」ライブペインティングでの作品

大宮エリーさんの作品

クラムボン原田郁子さんと一緒にライブペインティングをした時の絵です。『誰かを想う海』って音楽を聞いた時に、海をまず描いて。“誰かを想う”ということは、不安が伴いますよね。そうすると、空は明るくないよなと思って、グレーにしたんです。そして、ふと参加者を見たら不安そうな顔になっていて、『あ! やりすぎちゃった!』と思って。

でも待ってて大丈夫だから! って、最後に虹をかけた。それと、エメラルドグリーンの雨も。奇跡の雨って、何かで読んだことあったんです。そしたら、泣いてる人もいて。ライブペインティングっていうのは、みんなで作っていくものなんだなと思って、すごく面白かったです。自分だけではこの絵は描けなかったと思います」

「中目黒 蔦屋書店」の店内に展示された作品を写真でもっと見る


途中、詩の朗読などもはさみ、来場者からの働くことに関する悩みには、「感謝、愛情を持つことが大切」であると真剣にアドバイスをしたエリーさん。最後は著書『見えないものが教えてくれたこと』へのサイン会を行ってオープニングセレモニーは終了。何度も爆笑が起こり、また彼女の優しさとサービス精神に満ちたトークで会場は終始明るい雰囲気に包まれていた。

エリスポの開催期間中は、他にもライブペンディングや朗読会、「Salon de Ellie(サロン・ド・エリー)」など様々なイベントを企画している。本人と直接話しもできるかもしれないこのチャンスに、ぜひ一度足を運んでみては。

(文:岩間淳美)

【5月10日(水)開催】エリスポ:大宮エリーライブペインティング with ticomoon 詳細・申込方法はコチラから

全国のTSUTAYA/蔦屋書店を巡回する「エリスポ」の最新情報はコチラをチェック

大宮エリー(おおみや・えりー)

1975年大阪生まれ、東京大学薬学部卒業。広告代理店勤務を経て、日常を綴ったエッセイ集を出版。脚本家、映画監督としても活躍し、ラジオのパーソナリティや、テレビ番組の司会などもこなす。

2012年に行ったらライブペインティング「お祝いの調べ:直島」をきっかけとして絵画制作を本格的には始める。2016年には美術館で初めての個展「シンシアリーユアーズ -親愛なるあなたの大宮エリーより」を開催。

また、2017年6月11日(日)まで「金津創作の森」(福井県・宮谷)で、北陸初となる個展「This is forest speaking~もしもし、こちら森です」を開催中。

大宮エリーオフィシャルサイト


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