「新海誠展」詳細レポート:東京・国立新美術館で開幕。音声ガイドの神木隆之介との対談、グッズ情報も

2017.11.11 (土) 18:37

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「新海誠展 -『ほしのこえ』から『君の名は。』まで」

アニメーション映画『君の名は。』で一躍有名になった新海誠監督のデビュー15周年を記念した「国立新美術館開館10周年 新海誠展『ほしのこえ』から『君の名は。』まで。」が、11月11日から国立新美術館(六本木)で開催される。デビュー作『ほしのこえ』から最新作『君の名は。』まで全作品を網羅し、新海作品の魅力に迫る展覧会の詳細をレポートする。

2000㎡の空間に展示された作品に圧倒される

新海誠監督の作品は美しく壮大な世界で人と人が出会い、すれちがい、揺れ動く心を描ききるものばかり。登場人物の心の動きを美しい風景とともに描き、日本のみならず海外でも高い評価を得ている。

この展覧会では、貴重な制作資料である絵コンテや作画、設定資料や、美術映像、世界観を体感できる造詣物などを通じて、新海監督のデビューから15年の軌跡を振り返ることができる。

『君の名は。』制作当時の新海監督のデスク再現。

君の名は。』制作当時の新海監督のデスク再現。

新海誠展は2017年6月の大岡信ことば館(静岡)からスタートし、新海監督の出身地である小海町高原美術館(長野)での開催を経て、ここ国立新美術館へと巡回してきた。国立の美術館で現役アニメーション映画監督の展覧会が開かれるのは初めてのこと。さらに東京会場では全国巡回中のほかの会場より広い2000㎡の展示空間に合わせ、初公開を含む1000点を展示。本会場だけの展示になるコンテンツも多数取りそろえており、見ごたえは十分だ。

内覧会に先立ち新海誠監督と神木隆之介さんのトークショー開催

内覧会に先立って、新海誠監督と俳優・神木隆之介さんのトークショーが開催された。『君の名は。』で主人公の1人である男子高校生・立花瀧を演じた神木さんは、新海監督の大ファンであり、本展の音声ガイドのナレーターも務めている。

新海誠監督(左)、神木隆之介さん(右)

新海誠監督(左)、神木隆之介さん(右)

――この美術館は『君の名は。』でデート場所として描かれていますね

新海:ここは東京の象徴としても風景としても圧巻で、高校生のデートとしては少しだけ敷居が高い。高校生の瀧君のキャラを描くためにここを描きました。でも、まさか上映から1年少し後に、ここで『君の名は。』や他の展示をしてもらうことになるとは、想像すらしていなかったし光栄です。

――いち早く会場をご覧になった感想は?

神木:入ってすぐ「わぁっ」となった。新海監督の作品は風景が写真のように美しくて、最初は写真かと思ったほど。でも今日展示を見て、1本1本丁寧に描いていて、それが結果的に写真のように見えるんだと分かった。監督のことも作品のことも知ることができてたまらない場所になっていると思う。

新海:そう言ってもらえると僕も嬉しいしスタッフも喜ぶはず。アニメの絵は1カット4秒くらいしか映画の画面に映らないが、ここではその成り立ちも分かるし、立ち止まってじっくり見られる。200~300人の映画スタッフの戦いの軌跡を感じてほしい。映画をどう展示するのかと思ったが、こういう展覧会は見たことがないから興味深いし、新しい体験ができて嬉しいです。

――音声ガイドのナレーターを務めてみていかがでしたか?

神木:難しかったです。その人その人で心地よいスピードは違うから、早くとか遅いとかモヤッとするリズムにならないようにと思ったし、淡々としても感情が入り過ぎてもいけないし…。でも皆さんの鑑賞のお供になれたら嬉しいです。クイズなどもあるのでお楽しみに!

神木隆之介さんが音声ガイドのナレーターを務める

――展覧会に来場する方へのメッセージをお願いします。

神木:この展覧会には新海監督の全てが詰まっている。僕も一ファンとしてたくさん期待し、カフェなどもあるので楽しんでもらえたら。
新海:今回の展示は映画作りの過程で、観客とどうコミュニケーションを取ろうかという過程でもある。そのコミュニケーションのためのトライアルを見てもらう機会はほとんどない。一緒に会話するようなつもりで、神木君と一緒に見るようなつもりで見てもらえたら幸せです。

新海誠監督と神木隆之介さんの「トークショー」の写真をもっと見る

真っ白な空間に散りばめられた作品世界

内覧会に先立ち、新海監督は「誰もいない白い空間に入っていただき、僕たちがどうコミュニケーションしようとしているか見てもらえば、作品や絵が来場者とコミュニケーションできたことになる。見て感じたことが僕ら制作チームに何らかの形で伝われば、それを受けて新しい作品を作れればと思う」と話していた。

その言葉を思い出しながら、会場に歩を進めた。真っ白い壁、高い天井という広がりのあるのびやかな空間に、絵コンテ、作画資料、美術背景、ロケハン写真、色彩設計、ビデオコンテなど映画製作の過程が惜しげもなく展示されている。

展示は、新海監督の商業デビュー作となった『ほしのこえ』(2002年公開/本編約25分)から始まり、全6作品それぞれにまつわる資料が掲示されている。2作目の『雲の向こう、約束の場所』(2004年公開/本編約91分)、『秒速5センチメートル』(2007年公開/本編約63分)、『星を追う子ども』(2011年公開/本編116分)、『言の葉の庭』(2013年公開/本編約46分)、そして興行収入歴代2位となる250億3000万円という記録を生んだ『君の名は。』(2016年公開/本編約107分)まで、時代の流れに沿って順を追って観賞することができる。

新海監督の初期の作品を知らない人でも、監督がいかにして『君の名は。』の作風に至ったのか、追体験することができるような滋味深い内容だ。最初の作品『ほしのこえ』を生んだ作業環境を再現した展示では、新海監督が使っていたパソコンと同タイプを見ることができる。小さな画面、大きなハードディスクなど、当時を知る人にとっては懐かしく、時代の流れに思いを馳せつつ、この環境でたった1人で25分のフルデジタルアニメーションを作成したことに驚きを禁じ得ない。

「新海誠展」の展示写真をもっと見る

映画から飛び出したリアルな作品に目が釘付けに

第2章の『雲の向こう、約束の場所』では、青い空のパネルを見上げると、小型飛行機・ヴェラシーラの約1/4再現モデルが目に飛び込んでくる。第3章『秒速5センチメートル』では「秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード」という台詞を想起させるように、白い壁に桜の花びらが舞い散る映像が映し出されて幻想的な雰囲気を演出している。また、絵コンテなどの2次元の資料だけでなく、『星を追う子ども』では鉱石ラジオ、『言の葉の庭』ではタカオがデザインした靴、そして『君の名は。』では三葉たちが紡いだ組紐組台の再現モデルなども並ぶ。映画に登場する物たちが2次元(平面)の世界に留まらず3次元の世界に飛び出していることで、作品をよりリアルに体感することができる。

また、トークショーで神木さんが話していたように、紙に鉛筆で1本1本線を引き、登場人物の顔が少しずつ浮かび上がってくる様も見ることができる。ロケハン写真がイラスト化され、そこに人物などが載って映画本編に変化していく様子も見てとれる。セル画を何十層も重ねていくことで画像がどんどん立体的になり色味が変わっていく様子を動画で紹介したものも。どの展示を見ても新海ファンなら垂涎ものばかりで、作品世界にどっぷりと浸ることができる。

また、新海監督の歩みとともにデジタル技術の歴史などを一覧にした年表も掲出されている。新海監督を作った14冊の本、海外で発売された新海作品のパッケージなども興味深い。また、「新海作品を見ると心をキュンとつかまれたような気持になる理由はなぜか」を、東京展のために作られたキュレトリアムチームが分析。“階段”“雨宿りの場所”など作品に登場する印象的な場面の分析から、新海作品が心に響く理由をひもといている。

新海誠展

フォトスポット、ショップ、カフェなど楽しみ方はいろいろ

11月18日、25日、12月2日、9日、10日には『言の葉の庭』など5作品の特別上映も行なわれる。新海監督作品にどっぷり浸った後で映画の世界にもう一度入り込みたい人は、特別上映会セット券を購入しよう。もちろん鑑賞後に展覧会を見ることで、より深く作品を理解することもできる。

会場の最後には、『君の名は。』のデートシーンに登場した美術館のパネル展示が再現されている。パネルの前は写真撮影可能なフォトスポットになっているから、奥寺先輩や瀧君、三葉になりきって写真を撮るのも一興だろう。

フォトスポット

「新海誠展」のグッズをチェックする

会場の外にはおみやげショップがあり、クリアファイル、ブレスレット、ストラップ、設定画のキャラバッジなどが販売されている。手元にグッズを置いて過ごせば、新海監督の作品世界や登場人物たちと心を通わせ、日々の営みに彩りを添えることができそうだ。

また、2階のカフェ「サロン・ド・テ・ロンド」は、『君の名は。』で瀧くんと奥寺先輩のデートシーンに登場する。2人が座った席の予約ができる“カフェ「サロン・ド・テ・ロンド」席予約セット券”(数量限定※完売済)を購入すれば、「あの席」でサンドイッチとドリンクを味わえる。

おみやげショップ

観賞だけでなく、さまざまな楽しみ方ができる「新海誠展」。ディープな新海ファンはもちろんのこと、『君の名は。』からのファンもぜひ足を運んでみてほしい。会場にちりばめられた新海監督の美しく力強い言葉や映画の原画、映像たちが、心に残り、響き、明日からの活力を与えてくれるに違いない。

「新海誠展」を写真でバーチャル体験する

「ほしのこえ」の展示の写真をもっと見る
「雲の向こう、約束の場所」の展示の写真をもっと見る
「秒速5センチメートル」の展示の写真をもっと見る
「星を追う子ども」の展示の写真をもっと見る
「言の葉の庭」の展示の写真をもっと見る
「君の名は。」の展示の写真をもっと見る

(取材・文:加納美紀)

■開催情報

国立新美術館開館10周年
新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで。

会期/2017年11月11日(土)〜12月18日(月)
会場/国立新美術館 企画展示室2E
住所/東京都港区六本木7-22-2
電話/03-5777-8600
開館時間/10:00〜18:00(金土〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日/火曜日
料金(税込)/一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生800円 / 中学生以下無料
※カフェ「サロン・ド・テ・ロンド」席予約セット券は完売済

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