世界中で愛されるピーターラビット、3つの魅力

2014.12.22 (月) 20:00

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世代を超えてギフトに選ばれる絵本といえば、「ピーターラビット」ではないだろうか。筆者も子どもの頃、クリスマスに「ピーターラビット」シリーズ全巻セットのギフトボックスをもらった。さらには誕生日プレゼントにグッズ、結婚式の引き出物に食器…といった具合に、だ。

ピーターラビットは、なぜ世界中の人を惹きつけるのだろうか。代官山 蔦屋書店の児童書コンシェルジュ山脇陽子氏に伺うと、3つの魅力があるという。

「ピーターラビット」シリーズの魅力とは?

観察力が鋭く光る24の物語

まず、その物語のおもしろさ。

「全24巻、どれをとっても一冊ずつがおもしろく、作者ビアトリクス・ポターの優れた観察力が光っています。例えば『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』に出てくるカエルは、お腹の突き出た社交界のおじさんを皮肉っています。かわいらしいようで、大人が読んでも、なるほどと思えます」

ピーターラビットは20世紀初頭の英国生まれだが、日本でも100年以上前から既に日本語訳で読まれているほど、長く愛されてきた。現在、福音館書店刊『ピーターラビットのおはなし』における石井桃子氏による翻訳が、名訳として広く浸透している。

贈り物にぴったりなピーターラビットの絵本

『新版・ピーターラビットの絵本 全24冊』

(訳:石井桃子、福音館書店 刊)

出版100周年を機に最新の製版、印刷技術で新版として生まれ変わったシリーズ。

物語と挿し絵の見事な調和

次に特徴的なのが、物語と調和し、かつ単体でも楽しめるほどに完成度の高い挿し絵だ。

「自然を真摯に観察する英国水彩画の伝統を受け継ぎ、リアリズムと想像力の両方を兼ね備えています。作者はお一人で物語と挿し絵の両方を手がけているので、両者がぴったり調和しています。これは珍しいことです」

作者ポターの一貫した生き方

ビアトリクス・ポターの暮らした家『ヒルトップ農場』

ヒルトップ付近に広がる風景

極めつけは、作者ビアトリクス・ポターという女性の魅力的な生き様だ。

クリス・ヌーナン監督による映画『ミス・ポター』(2006年)にも描かれたように、ビアトリクス・ポターは英国の上流階級生まれの箱入り娘だった。結婚をすることが女の幸せだと考えられた封建的な時代に、動物や自然を愛すること、絵本出版への情熱を貫いた人生だった。

「自然や動物を描くこと、絵本を出版すること。全ては自然を愛し、保護したい、後世に残したいという信念に基づく行動力に驚かされます」

ポターは人生の後半では、自然が美しい湖水地方で農業や環境保全活動に精を出したことでも知られる。遺言に従って、ポターが所有したすべての土地や農場は、英国の自然環境を守りありのままに残す団体「ナショナルトラスト」に寄付された。そのため湖水地方には、100年以上経った今でも、物語に描かれた当時のままの世界が広がっている。

山脇氏に、ピーターラビットを深めるための本を紹介してもらった。


ピーターラビットをもっと知るための本

ポターの人生をなぞる

『ビアトリクス・ポター―描き、語り、田園をいつくしんだ人 』

(文:ジュディ テイラー、訳:吉田 新一、福音館書店 刊)

ピーターラビットの生みの親・ポターの伝記。日記や手紙、写真、未発表のイラストなどの資料をカラーで豊富に掲載し、ポターという類まれな一人の女性の生涯を追う。

ピーターラビットの舞台を訪ねる

『ピーターラビットと歩くイギリス湖水地方―ワーズワース&ラスキンを訪ねて』

(文:伝農浩子・辻丸純一、JTBパブリッシング 刊)

湖水地方を訪れ、ピーターラビットのおはなしの挿絵とそのモデルとなった土地を巡るエッセイ的ガイド。


ピーターラビットは銀行、高級食器、一流ブランドのキャラクターとしても使用されている。一流の物語と挿し絵、そして作者ポターの生き方それぞれの魅力が重なり、愛らしいだけで終わらない洗練された魅力が備わっているからだろう。贈り物として信頼のおける絵本。それがピーターラビットの絵本シリーズなのだ。

(文:山岸早瀬)

【代官山 蔦屋書店】
児童書コンシェルジュ 山脇陽子 氏

2011年オープン当初から同店のコンシェルジュへ。大学・大学院時代は日本語日本文学の古典文学を専攻し、高校の国語教師の免許を取得。育児が文学としての児童書を見直すきっかけに。ファミリーで楽しめる世代を越えて読み継がれる名作やライフスタイル提案を行っている。

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