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【編集長インタビュー第3回】雑誌『TRUNK』の里見編集長が語る「ワクワクを形にする方法」

2015.1.30 (金) 22:00

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『TRUNK(トランク)』(ネコ・パブリッシング 刊)
編集長 里見有美さん(さとみ・ゆみ)/ 東京音楽大学大学 音楽学部 音楽教育学科卒業。大学時代にYMOプロデューサー桑原茂一氏が手掛けていたフリーペーパー『dictionary』が編集者を志すきっかけに。講談社で女性誌『VoCE』編集部に在籍した後、フリーライターに転身。2013年にネコ・パブリッシング入社し、『TRUNK』編集長に就任。

雑誌とは世間や時代を映すものであり、その雑誌自身と言えるのが編集長という存在。編集長が変われば雑誌のメッセージやカラーもガラリと変わる。編集長を知ることは、雑誌の楽しみを知ることとイコールと言えるだろう。

そんな主張のもと、今注目すべき雑誌の裏側を紹介したいと思う。今回インタビューするのは、旅&アクションエールマガジン『TRUNK(トランク)』(ネコ・パブリッシング)の里見有美編集長だ。

「ワクワクすること、笑えること、ユーモア、そういうものを『TRUNK』には詰め込みたかった」

『TRUNK』はジャンル的には“旅雑誌”だが、いわゆる女性向けの“かわいい、ほっこりした”旅テイストではなく、アクティブな女性が主人公の旅雑誌。目指すのは、男性でも女性でも手に取ってくれるような一冊。「仲間のなかに一人はいる、元気でおもしろいアノ友達」が『TRUNK』の読者像だ。

「こんな週末を送ってみたい、こんな女性に憧れる、こんな体験をしてみたい、こんな暮らしをしてみたい…。そんな20・30代のアクティブな女性たちの『憧れ』を満たしてあげる、きっかけマガジンでありたい」

里見編集長は目を輝かせながら、笑顔で答える。

『TRUNK』を編集するのは、里見編集長と編集部員2人の計3人。少人数だからこそ、「おもしろがって作っているかどうか」の熱量が、誌面にダイレクトに出るという。

「とにかく私達3人がアンテナを張って、“ワクワクする”景色や物、場所を紹介することが大前提です。基本的にはすべて自分たちで取材に行って、体験して、それをユーモアをもってお届けする。それを読んだ読者自身が、それぞれの好きなものやおもしろいものを探すきっかけになればと思っています。定番スポットをおさえる旅情報は、本家本元の老舗旅雑誌さんたちにお任せして(笑)」

2014年2月から発刊したのは4冊。まだまだ走りだしたばかりだが、開運温泉などを紹介した「日帰りで愉しむニッポンの湯」特集、京都の鯖とパンなどを紹介した「週末の弾丸旅」特集と、ラインアップも実にユニークだ。

「『TRUNK』を一番欲しがっているのは、私」

『TRUNK』の表紙は、イメージやカラーが付いているタレントではなく、“アクティブにいろんなことをやっている元気な人”をイメージさせる女性を起用。

里見編集長は現在38歳。大学時代から出版社でアルバイトをし、女性誌の編集、ライターとして20年近く活躍してきた。しかしある時、「何かが違う」と感じ始めたという。

「雑誌は、おもちゃ箱のようなもの。旅だけじゃなくて、食べ物、ファッション、建物、歴史、インタビュー…いろんなものが詰まっている、覗くだけでもワクワクしてくるおもちゃ箱。私は、ずっと女性誌畑でお仕事させて頂いてきましたが、ファッションや流行というラベリングがされたおもちゃ箱に、徐々に心が躍らなくなってきていたのかもしれません」

そんな時、趣味関連の雑誌・書籍を多く手掛けている出版社ネコ・パブリッシングで女性誌を出す一大プロジェクトが発足。もともとネコ・パブリッシングはバイクやクルマ、鉄道といった男性向けの趣味の本を多く手がけていたため、女性誌は初の試み。プレゼンと会議を重ねた結果、採用されたのが里見編集長の『TRUNK』案だった。

「私自身、その時ちょうどワクワクに猛烈に飢えていたんですね。だからこそ、ちょっとでもおもしろそうなことがあると飛びついてしまう。その飛びつきたくなる着火剤的な一冊が欲しかった」

“ワクワク”、これが『TRUNK』が一番大切にしているマインドであり編集指針だ。さらにお話を伺ってみると、一番は里見編集長自身の原体験が大きく関わっているように感じた。


「大学時代の旅は、ワクワクしていました。今思い出しても本当に楽しい」

毎号記事やイラストで「ワクワクすること」を紹介する、『TRUNK』らしいライフスタイルを送っている読者「トランカー」60名も大事な作り手だ。

大学時代は「青春18切符」を使い、よく電車の旅をしていたという。

「午前0時を超えたところから使えるから、ギリギリ超えたところから乗って。寝て時間を潰すのにも限界があるから、電車の中で手作りオセロをやり続けるとか、その辺の人としゃべりはじめたり。そういう無駄な時間の使い方が上達していく。最近はスマホがあるからいいですけど、当時はありませんでしたからね」

特にねぶた祭りの時期は、秋田から青森を経由して仙台へ、がお決まりのコース。車窓からは川が流れる風景や、普段なら目を向けないような何気ない植物にまで目が向く。

「高速バスでの観光客が観光ポイントだけを見て行くのを横目に、『もったいないなぁ、こっちのほうが100倍楽しいのに!』と思っていました。きれいな景色や土の香り、旅先で出会う一期一会の人たちなど、いろいろ感じられるのに、って」

ねぶた祭りの会場での出会いや経験もかけがえのないものになった。

「焼きそばを買ったつもりが、いつの間にか売り子を任されて、そのラーメン屋のおじちゃんと仲良くなって。そしたら店のおじちゃんがお金のない私たちに『バイト代だ』って、ごはんをごちそうしてくれて、特別に町内会のグループで一緒に跳ねさせてもらったりもしました。最後は仙台で七夕祭りを見て、ずんだ餅を食べて帰るんです。毎年の恒例でしたね」

ライター時代から、国内外問わずいろんな人と出会ってきた里見編集長。

大学卒業後、編集者になってからも「著名人はもちろん、誰かの話やエピソードを取材し、読者に伝えるインタビューの仕事が一番好きだった」というのも、こんな旅を経た彼女らしい。『TRUNK』でも、旅先で出会った人々との会話を大切にしている。先日行ったばかりの群馬の宿の主人、佐賀県で出会った古民家の蕎麦屋をしていたお母さん、旅館のご夫婦、富山の職人さん…etc.「今は旅の取材をしているというより、日本各地の人たちをインタビューしてまわっている感じですね」。

大学時代のこの経験が、今思い出しても本当に楽しい、と目を細める。

「社会に出て仕事を始めると、どんな人も学生時代のような自由な時間の使い方はできなくなる。でも諦めちゃ勿体ない。毎日のルーティンをこなすだけの人生なんて、送りたくないじゃない。その時の感じられるワクワクって、人生の宝物だと思うから、挑戦も失敗も経験したほうがいいと思う。いろんなヒントを詰め込んだ『TRUNK』が、そのきっかけになれば」


里見編集長は『TRUNK』が目指す読者像を、そのまま体現したような女性だ。雑誌を作る側の押し付けではなく、あくまで読者にアクションを喚起する。「一番がっかりなのは、ワクワクすることを忘れてしまったり、諦めてしまうこと」。里見編集長がたどり着いた “ワクワク”を読者に届けるため、彼女は『TRUNK』という新たな箱に魅力的なおもちゃをいっぱいに詰め込んでいる最中なのだ。

(文:高橋七重)

雑誌『TRUNK』

「TRUNKを持って出かけよう! 旅&アクションエールマガジン」をキャッチフレーズに、2014年2月に創刊された雑誌。発行は不定期。最新号『TRUNK vol.4』「日帰りで愉しむニッポンの湯」特集は全国書店・コンビニにて発売中。次号は鎌倉でしたい〇〇なコト特集をGW直前に発売予定。“ゴールデンな休日”の楽しみ方を提案する。
ネコ・パブリッシング 刊

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