1950年代の『VISIONAIRE(ヴィジョネア)』!? 伝説のファッションアート雑誌『Flair(フレア)』とは?

2015.3.31 (火) 16:14

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『The Best of Flair』18,974円(税込)
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1867年創刊のHarper’s BAZAARや 1892年創刊のVOGUEなど、100年以上の歴史を持つ、レジェンドと呼ぶにふさわしいファッション雑誌たち。その一方で、多くのコアファンを獲得しつつも、休刊・廃刊になった雑誌もある。その雑誌はいまや伝説となり、ヴィンテージ市場で高値で取引されている。そんな雑誌のひとつが、『Flair(フレア)』というファッション雑誌だ。知らない人も多いと思うが、それも当然。刊行されたのは1950年の1年間のみ。月刊で12冊しか刊行されなかったのだ。この機会に、ニューヨークの老舗出版社・リッツォーリ(Rizzoli)から刊行されている『The Best of Flair』をぜひ手にとってほしい。『Flair(フレア)』がなぜ伝説となり得たのか、その理由がわかるはずだ。


伝説の雑誌『Flair(フレア)』とは?

「スマートさ、センスのよさ、ものを嗅ぎつける勘、鋭い嗅覚、才能」という意味合いを持つ雑誌『Flair(フレア)』。ジャン・コクトー(Jean Cocteau)、ルシアン・フロイド(Lucian Freud)、テネシー・ウィリアムス(Tennessee Williams)、ソール・スタインバーグ(Saul Steinberg)、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)という寄稿者からも、この雑誌のすごさが伺えるだろう。『Flair』の魅力について、代官山 蔦屋書店のファッション担当アートコンシェルジュ 森田賢一氏はこのように話す。

「『Flair』の魅力はなんといっても、手作り感溢れる凝ったブックデザイン。1950年代のファッション誌は、いまのインターネットのように最新の情報を知る、最先端のものだった。当時、すでに『VOGUE』『Harper’s BAZAAR』『Vanity Fair』などのファッション雑誌がありましたが、その中でも『Flair』は特にアーティスティックなブックデザインをしていました。『The Best of Flair』は、12冊の中から特徴的な部分を抜粋して、ベストとしてまとめています」


雑誌自体をアートに昇華させた雑誌『Flair(フレア)』

『Flair(フレア)』を手がけた編集発行人は、画家、作家、イラストレーターでもあるフルール・コウルズ(Fleur Cowles)。『Flair』はそんな彼女のクリエイティヴィティが詰まっている。

「『The Best of Flair』では、当時の誌面を忠実に再現しているんです。例えば、小冊子やポストカードがインサートされていたり、写真とイラストを表紙に穴が開いていて、次のページの図柄が見えていて、物語性を生み出していたり。普通に製本するのではなく、大きさを変えたり、カットしたり、挟んだり、変わった加工をするのは、当時としてはとても手間だった。自分たちで表現できることを可能な限り実現した、はじめて雑誌自体をアートに昇華させた雑誌だと思うんです。1950年代当時の衝撃は、『VISIONAIRE(ヴィジョネア)』(ニューヨーク発の伝説のビジュアルマガジン)に近いのではないでしょうか。『VISIONAIRE』は、Louis Vuitton、Levis、COMME des GARCONSといったそうそうたるブランドとコラボレーションをしたり、付録がついていたりと1990年代に一大センセーションを巻き起こしましたが、『Flair』は1950年当時のそのようなものだったと思うんです」


  • 右ページのハートの真ん中がめくれるようになっている。左半分のハートをめくると……

  • 記事の続きが読めるようになり、左ページにハートが完成する

  • 小窓が付いているページもある。開くと……

  • 前のページに載っている女性の写真が現れて、あたかも女性の私生活を覗いているような気分になる(笑)

  • ファッションページのおもしろい仕掛け。ページの上下で別々にめくれるようになっており……

  • 下半分をめくると、新しいコーディネートが現れる

  • 上半分をめくると、さらに異なるコーディネートが完成!

今だからこそチェックしておきたい。伝説のファッション雑誌3選

『Flair(フレア)』以外にも、伝説のファッション雑誌はたくさんある。森田氏に、伝説のファッション雑誌を紹介してもらった。

『Egoiste』(Egoiste刊)

「4年ぶりに新刊が発売されたフランスのファッションヴィジュアルマガジン。この雑誌は背景がおもしろい。フランス社交界のカリスマ、ニコル・ヴィズニアック(Nicole Wisniak)という女性が1977年ににひとりではじめた雑誌なんです。創刊時、20代後半だった彼女が、リチャード・アヴェドン(Richard Avedon)に直談判して、メインフォトグラファーになってもらうんです。当時、すでに一流フォトグラファーだったアヴェドンに直談判するなんてすごいですよね。アヴェドンの死後は、パオロ・ロベルシ(Paolo Roversi)がメインで撮っています」


『Vogue The Editor's Eye』(Harry N. Abrams刊)

「ファッション誌と言えば欠かすことのできない『VOGUE』。これは『VOGUE』の名物エディターが、『VOGUE』に掲載された写真の中からベストショットを選んでいます。『VOGUE』ならではのそうそうたる写真家の作品が満載です。どの編集者がどの写真を選んでいるのかを見るのもおもしろいですよね」


『Harper's BAZAAR Greatest Hits』(Harry N. Abrams刊)

「世界初の女性ファッション誌『Harper's BAZAAR』の近年の作品をまとめたグレーテスト・ヒッツ。『VOGUE』の書籍は結構あるのですが、『Harper’s BAZAAR』をまとめた本というのはほとんど出ていない。そういう意味でも貴重な本だと思います」



『Flair(フレア)』には、紙媒体だからこその楽しさや美しさ、そして、真摯なものづくりの姿勢と愛情が詰まっている。それは、雑誌の、そして、ものづくりの真髄といえるだろう。そういった意味でも、『The Best of Flair』はチェックしておくべき一冊だ。

(文:岡崎咲子)

【代官山 蔦屋書店】
美術・写真・ファッションコンシェルジュ 森田賢一 氏

都内大型書店、TSUTAYA TOKYO ROPPONNGIの書店員を経て、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュに。アートフロアのファッションコーナーを担当。外見、内面ともに魅力的な“紳士”を育成する「代官山ジェントルマンクラブ―紳士養成講座―」を定期的に企画している。

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