テセウス・チャン×アンリアレイジ×奥山由之! 新雑誌『W__K W__K』が話題

2015.4.5 (日) 22:12

シェア

雑誌『W__K W__K』10,000円(税抜)

シンガポールのインディペンデントマガジン『WERK(ヴェルク)』をご存知だろうか。2000年の創刊以降、毎号ひとつの人やモノにフィーチャー。独創的で凝ったブックデザインは、800〜1000部という小部数の刊行ながら、雜誌ラヴァー、ブックコレクター、アート・ファッション関係者などを中心に多くのファンを獲得している。その『WERK』を手がけるのが、シンガポールのクリエイティブディレクター/アートディレクターであるテセウス・チャン(Theseus Chan)。日本好きであるという彼が新創刊した雜誌『W__K W__K』(通称ワクワク)が、いま熱い注目を集めている。


テセウス・チャンの新雑誌『W__K W__K』とは?

テセウス・チャンの会社「WORK」と彼が発行するインディペンデントマガジン『WERK』をあわせた名前を持つ『W__K W__K』は、PARCOが運営するインキュベート・クラウドファンディングサイト「BOOSTER(ブースター)」上で立ち上がったプロジェクトだ。目標金額の112%の支持を獲得し、2015年2月に発刊となった。本書について、代官山 蔦屋書店アートコンシェルジュの秀熊麻衣氏はこのように話す。

「日本に特化した内容で、3〜5冊の刊行を予定しているそうですが、その第一号が本書。内容は、昨年のANREALAGE(アンリアレイジ)のパリコレクションデビューを追ったもの。パリコレでのフォトシューティングがメインですが、それより前のコレクションの写真も少し入っていて、アンリアレイジの歴史を包括するような内容になっています」

3つの才能が生み出す“匿名性”

本書がこれほどまでに注目を集めるのは、何と言ってもそのコラボレーションにある。シンガポールの鬼才、テセウス・チャンと世界的に注目を浴びるデザイナー・森永邦彦によるファッションブランド、ANREALAGE(アンリアレイジ)。そして、弱冠24歳の気鋭の写真家・奥山由之、という3つの才能が集結した。

「本書の鍵となるのが、写真家・奥山由之さんというが撮り下ろしていることと、テセウス・チャン、アンリアレイジ・森永さん、奥山さんの三者の名前で作っているところ。森永さんは、テセウスと奥山さんを非常にリスペクトしていて、『本書は僕の作品と言うよりもふたりの作品だ』とおっしゃっています。奥山さんも撮った写真のデータをテセウスにすべて預け、テセウスが編集したそう。写真の構成や仕上がりは作家の見せ方にすごく関わってくるのに、そこを他者に委ねるというのは、お互いにリスペクトと興味を持っていて、これを委ねたらどうなるんだろうという好奇心があるからこそ成立すること。『W__K W__K』は強い個性が3つも集結して作られているのに匿名性もあるような不思議な印象を持っています。それぞれのクリエイションを全面に出すのではなく、プロジェクト自体を唯一無二のものにしようとしたからこそ、この匿名性が出たのかなと思います」

“不完全さの美”が凝縮された装丁

そして、『WERK』の世界観を引き継ぐような、テセウス・チャンのクリエイティヴマインドが凝縮された装丁がすばらしい。

「7冊のブックレットがランダムに構成されているという装丁なので、それぞれ表紙は違うように見えます。背は特殊な糊(グルー)を使って製本されていて、そこに秋葉原で売っているような電子部品が埋め込まれています。このグルーはテセウスが昔から気になっていて、いつか使いたいと思っていた素材。本自体をゴツゴツしたかさばる感じに仕上げたいと、今回実現に至ったようです。通常版とは別に、本だけれどオブジェ的にしたいというテセウスの意図もあり、冊子全面にグルーを使ったアートピースとしての本を4冊制作しています。本だけれど、グルーを全面に施していているので、中を見ることはできないのがおもしろい。このアートピースのベースとなっているのが『WERK』19号、コムデギャルソン特集。この号は本がパッキングされていて、お客さんが封を切るという行為を加えることによって、買い手の方それぞれによって切り口が異なる唯一無二のものにしたいという意図がデザインに込められています。先にいる人とのつながりを想像して物事に取り組んでいるからこそ、こういうクリエイションになっていくんだと思います」

本書のテーマのひとつは“不完全さの美”であるという。完成されていない美は、未来を想起させる。次号以降、テセウス・チャンは『W__K W__K』どのようなクリエイションを見せてくれるのか。今から楽しみで仕方がない。

(文:岡崎咲子)

【代官山 蔦屋書店】
アートコンシェルジュ 秀熊麻衣 氏

都内ギャラリーでのサポートをした後、2011年に同店のコンシェルジュに。自身も現代アート作家として、現在も制作を続けている。アート界の最先端をチェックすべく、美術館だけでなくギャラリーをチェックすることをライフワークにしている。好きな日本人作家は大竹伸朗。今注目している作家はリー・キット。

このコンシェルジュの他の記事を読む  他の代官山 蔦屋書店コンシェルジュの記事を読む  コンシェルジュブログ


関連記事

関連タグ

この記事をシェアしよう。

この記事が気に入ったら、
いいね!しよう。

You might Like

レコメンド

Read More

T-SITE LIFESTYLE TOPへ戻る

Access Ranking

ランキングをもっと見る

日本最大級ビアガーデン「ヒビヤガーデン2018」日比谷公園で5月18日から開催

  1. No.1 日本最大級ビアガーデン「ヒビヤガーデン2018」日比谷公園で5月18日から開催
  2. No.2 花火×音楽のエンタメショー「STAR ISLAND 2018」、お台場で5月26日開催
  3. No.3 ミニチュアアーティスト田中智の個展、銀座で4月27日から。指先サイズの世界にときめく
  4. No.4 漫画『スラムダンク』新装再編版が6月1日より刊行開始! 井上雄彦がカバーイラスト描き下ろし
  5. No.5 東京駅の新土産「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)」。行列必至の工房をレポート

ランキングをもっと見る

  • TSUTAYAマンガ通スタッフおすすめ

Event

イベントをもっと見る

イベントをもっと見る

Store

SNS/RSS

Facebook

Instagram

tsite_lifestyle
Instagram


T-SITE LIFESTYLE(RSS)