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伝説の雑誌『Olive(オリーブ)』、近田まりこ氏、大森伃佑子氏、『GINZA』中島敏子編集長が制作秘話や思いを明かす

2015.7.2 (木) 11:37

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2015年03月28日(土)、80~90年代の雑誌最盛期に、少女たちのバイブルとして愛されていた伝説の雑誌『Olive(オリーブ)』のトークイベント「『おとなのオリーブ』ができるまで」が湘南 蔦屋書店で開催された。

GINZA』4月号の別冊付録『おとなのオリーブ』として1号限りの復活を果たし、これを記念したもの。「現代に『オリーブ』があったなら」をテーマに作られた144ページは、今も第一線で活躍する当時のスタッフたちが再結集して作り上げた傑作だ。

主要スタッフであるスタイリストの近田まりこ氏、大森伃佑子氏、『GINZA』編集長・中島敏子氏の3名が登壇し、『オリーブ』の思い出話に花を咲かせた。伝説が生まれた制作現場とは、どのようなものだったのか。


当時のスタッフが10数年ぶりに集まって作った『おとなのオリーブ』

当時の『オリーブ』のスタイリストが中心となって制作された『おとなのオリーブ』。特に近田氏は、スタイリストとしてだけではなく、全体的な構成や企画内容にまで関わった。近田氏は、1983年から10年以上『オリーブ』に携わり、特に全盛期である80年代の『オリーブ』を牽引し、大森氏は、1984年からほぼ休刊に至るまで携わってきた、いわば『オリーブ』の生き字引きのような人物だ。そんな二人が特に思い出に残っている特集とは。

まるごと一冊パリで制作された「リセエンヌには、まけないよ!」(1986/11/3号)

祈るようなモデルのポーズが斬新な
「リセエンヌには、まけないよ!」特集号

近田氏。イベント当日は、約2ヶ月の制作期間中かぶり続けてきたというベレー帽を再びかぶり参加

近田まりこ氏(以下、近田):最初から最後まで、パリで制作された一冊です。編集の方2人、私と岡尾美代子さんのスタイリスト2人、カメラマンとヘアメイク、そしてイラストレーターの方とで行きました。

中島敏子氏(以下、中島):トリコロールを基調に撮っていらっしゃいますね。日本でイメージを決めてから行かれたんですか?

近田:決めて行ったと思うんですけど、「偶然」って、私達が仕事をしていく上でものすごく大切というか。「そのときに動くこと」というのが、作っている側としては重要だったりするんです。考えていったことが全部ひっくり返ることもありますし。


中島:この(表紙や誌面のパントマイムの)ポーズがすごく印象的だったんです。これも偶然ですか?

近田:「何かおもしろい動きにしたいね」って言って、全員でそういう動きをしていたら、モデルの子もノッてきて。いろんな動きをし始めて。

大森伃佑子氏(以下、大森):モデルの子が動いて、(カメラマンの)恩田義則さんが撮ったという、本当に、偶然の可愛さだと思います。

「モコモコおしゃれ、かわいく決めて街に出よう! 」(1994/12/3号)と「スタイリストが作った『オリーブ』」(1991/6/18号)

「モコモコおしゃれ、かわいく決めて街に出よう!」特集号

大森氏が担当した誌面「モードに憧れて、夏に少女がみる夢。」

大森氏が担当した誌面「モードに憧れて、夏に少女がみる夢。」

大森氏

大森:「モコモコおしゃれ、かわいく決めて街に出よう!」は、遠山編集長に変わり、時代もあったと思うのですが、路線が少しはじけた感じに変わって。その最初の頃の特集です。全部、竹下通りで撮りました。『オリーブ』のページは、海とか山とかで撮るナチュラル系が多かったんです。でも、「私らしさってなんだろう?」と思った時に、「私は街が好きだな」とか、「街で着る服が好きだな」と、自分の“好き”から始まって。

中島:もう一つ、「夏のおしゃれ提案から私生活まで『オリーブ』のスタイリストが作ったオリーブ」という特集を挙げられていますね。

大森:当時は珍しかったと思います。『オリーブ』はスタイリストをすごく大事にしてくれて。初めて「4ページを好きに使いなさい」って言っていただいた特集だったと思います。近田さんは8ページ、別格で。

雑誌『オリーブ』の作り方

“『オリーブ』学校”に教わりながら成長する

大森:台割に編集者とスタイリスト、アシスタントの名前まで書かれていて、毎回チームでやる感じでした。当時のアシスタントは編集部に所属していたので、誰のアシスタントというわけでもなく、成長して、スタイリストになるっていう。学校だったんです。会社に行くっていうのを「明日学校に行く」って、本気で間違えて。女子ばっかりだったので、女子校でした(笑)。

中島:近田さんは、実はデビューが遅いのですよね。その頃はどうやってスタイリングを学んでいたのですか?

近田:「学ぶ」というより、ぶっつけ本番です。アシスタントにもついたことないのに、やらせてもらって。

中島:近田さんの、かわいいだけじゃないファンクな部分は、聴いていたと音楽とか、男の子たちと遊んでいたとか、その辺りが影響していたりするんですか?

近田:そういう意味では、そこまでの育ち方全部がぶち込まれていたんでしょうね。作っている方も、読む方も、何か大切なものを見つけたい、ということが大きかったような気がして。違う角度なんだけど、同じようなアクセスの仕方をしていたと思います。

自分たちがかわいい!と思うものを載せる

中島:20代後半や30代の大人が、ティーンのための雑誌を作っていましたね。どういう気持ち、思いを込めて作っていたのでしょうか?

大森:「“リセエンヌ”ってそうなんだ!」とか「カフェオレボウルって何? 名前がかわいい!」とか、みんなが感動したことを雑誌に載せたら読者の人も感動して。全員で学んでいきました。

中島:大人が真剣に作っている雑誌、っていうイメージでしたよね。今の雑誌の作り方って、マーケティングで。「このあたりをやると売れるだろうな」とか、「みんな推してるだろうな」っていうことを、汲みながら作る。

近田:その前に、“かわいい”で始まっちゃう。それが、巡り巡って、本当にそれに興味を持つ人と繋がれるということなんじゃないかな。

中島:『オリーブ』を読んでいた子が、大人になって、『オリーブ』を読んでいた人を見つける。「ああ、読んでたね」ってわかる。他の雑誌とは圧倒的に違うから。読者にとって、子供の時に何かを植え付けられたという思いは大きいと思います。

偶然は、自分が引き寄せるもの

『おとなのオリーブ』の巻頭ページ「Forever」は、撮りおろしと、当時の『オリーブ』のページをコラージュして作っているのだという。

近田:昔の『オリーブ』を見ていたら、「今あってもおかしくないね」っていうページがどんどこどんどこ出てくるの。だったら載せようか。でも、ただそのページを載せるのは、ちょっと懐古趣味で良くないな、と。それで、今の撮りおろしと合わせてファッションストーリーにしていくと、おもしろいし、必ずやできる、という確信を持って。

中島:普通、スタイリストは1つの企画に1人つくものなんですが、なんとこの企画は大森さん、飯田珠緒さん、岡尾さん、近田さんの4人のスタイリストで作ったんです。

大森:みんなで集合して、コーディネートするんだけど。こっちでやって、こっちで壊す。完成はどこなの?みたいな。「バンド活動」って、まりこ先生は(言ってましたね)。

近田:いくつかのパターンを作ったんだけど、結局「撮影現場でまたライブするしかないね」って。撮影も、スタジオを借りていたんだけど、結局海に行きました。

撮影風景。カメラマンも一緒に走る

中島:「Forever」のページは、恩田さんが昔撮った写真と今回撮った写真とを、エドツワキさんにコラージュしてもらっています。恩田さん、砂浜で走ってたんですよね。モデルの表情もすごく生き生きしていて。

大森:恩田さん自身が笑っているから、撮られる方も笑うしかなくなっちゃうよね。もう、バイブレーションだけで人を動かしちゃう感じ。

中島:それに、奇跡のように良い風が吹いているんですよね。

近田:偶然は「もらえるもの」というか、「自分が引き寄せるもの」というか。前日は雨だったし、朝からも雨が降っていたんですけど。呼ぶ力っていうのが人に備わっているんだと思う。そこを、私は信じています。

『オリーブ』が伝えるもの、つなげるもの

トークも終盤、話はそれぞれの誌面作りに対する思いへ。

中島氏

左から近田氏、大森氏

中島:日々悩んでいるんですけど、カタログみたいな雑誌を読んで大きくなった子は、大人になってもカタログしか作れないと思っていて。私が小さい頃は、みんな「リセエンヌだって!」なんてキャーキャー言いながら育った。そういうのは、伝えなきゃいけないと思っているんです。すぐには役に立たくても、それをみて「うわーっ!」て思う。その感覚を読者に喚起してほしいと思うし、そういうことを意識しながら、編集者が雑誌を作れるといいなあって思っています。

大森:明日、全身を真似するよりも、一枚、なんか素敵だなって思ったものを壁に貼ったり、表紙にしたり。「いつかなりたい」とか「この部分が好き」っていう、そういう1ページでありたい。というのが、私のページ作りの理想でした。

近田:一つのものから、情報だけじゃないものを、いろんなカタチで受け取ってしまうのが、『オリーブ』だったし、今回の『おとなのオリーブ』だし、やっぱり『GINZA』にも感じるし。おもしろい雑誌、写真、読み物って、情報だけじゃなくて、何か多面体で、いろんなものを、いろんな時間帯で、伝えてくれる感じがします。1週間後なのか、10年後なのかもわからない。捨てて行かれる場合もあるんだけど、何かで繋がり合うものを持っているということは、強いと思います。


カリスマ的な時代の牽引力、感性を『オリーブ』は持っていた。そういったものを雑誌全般が忘れつつある一方で、今なお誰もが憧れ、求めるからこそ“伝説”たらしめているのだろう。『オリーブ』が休刊して10年以上が経つ。しかし意志を受け継いだ雑誌は確かにある。『オリーブ』のメッセージを受け取った今、改めて今時代が必要としているものは何なのか、考えてみるのもいいかもしれない。

◆あわせて読みたい

伝説の雑誌『Olive(オリーブ)』1号限定で復活! 『GINZA』中島敏子編集長、近田まりこ氏、大森伃佑子氏、思わぬ豪華ゲストも登場!?


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