ミステリー小説『宮辻薬東宮』6月20日発売。宮部みゆき、辻村深月らがリレーする!

2017.6.5 (月) 18:58

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宮部みゆきの書き下ろし短編を辻村深月が読み、短編を書き下ろす。その辻村深月の短編を薬丸岳が読み、書き下ろし……今をときめく超人気作家5名が2年の歳月をかけてつなぎ完成した書籍『宮辻薬東宮』が、2017年6月20日(火)に発売される。

これぞエンタメ! 全編書き下ろしのリレーミステリーアンソロジー

参加した作家は、ミステリーをはじめ、時代小説、ファンタジー、絵本など著作は多岐に亘る宮部みゆき、『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞後も活躍を続ける辻村深月、『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』などの夏目シリーズを生みだした薬丸岳、『流』で直木賞を『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞した東山彰良『彼女がエスパーだったころ』で吉川英治文学新人賞を受賞した宮内悠介の5名。

前の作家の作品を読み、短編を書き下ろすリレースタイルで創られた本書は、タイトル『宮辻薬東宮』の順通りに、宮部みゆき、辻村深月、薬丸岳、東山彰良、宮内悠介の作品が登場。各作家の作品が次の作家へどのような影響を与えているのかも見どころだ。

各短編集の冒頭をちょっぴり紹介

左前から/宮部みゆき、辻村深月、後方左から/宮内悠介、東山彰良、薬丸岳

左前から/宮部みゆき、辻村深月、後方左から/宮内悠介、東山彰良、薬丸岳

それぞれの作家が手掛けた5作品の内容を、6月8日(木)に開催された会見のコメントとともに紹介する。

宮部みゆき 著『人・で・なし』

給料日後の最初の金曜日、サラリーマンの僕は先輩とふたり、居酒屋で呑んでいた。話題は同じ部署の後輩で3年目の若手社員。“人でなし”――ふたりのその男に対する評価が一致したとき、僕はかつて経験した「あの話」を語りたくなった。

宮部みゆき

「私は普段からホラーを書いていますから、気楽に書いたものがまさかこんな展開をするとは驚きました。得意技の違う作家がリレーしていくおもしろさは、ひとりではこうはいかないということが起こるところです。私が書いた家庭小説から、宮内さんの業界物、しかも最先端のビジネスの知見がはいっているものになるという。

リレーしたみなさんと2巡目をやりますかという話で盛り上がったんですけれど(笑)。どこが起点で、何番目が一番面白いんだろうという話にもなりました。私は今回は気楽なスタートでしたから、大変なところがきても引き受けなければと思っています」

辻村深月 著『ママ・はは』

女友達のスミちゃんから頼まれた引っ越しの手伝いで、ふと目に付いたアルバムに挟まれていた着物を着た彼女とお母さんらしき人が写る成人式の写真。「私、この着物、実は着てないんだよね」。スミちゃんが母親と写真のことを話し始める。

辻村深月

辻村深月

「私自身が年季の入った宮部ファンなんです。高校生のときに宮部さんの名前を見てアンソロジーを買った経験もたくさんあります。そんな宮部さんからのバトンで、ときめかないはずがありません。

今回の宮部さんの作品は、家族小説でもあり、ホラーでもあり、聞き手と語り手側が見事に着地する宮部マジックが効いた1本。これを踏襲しながら、ネガとポジのようなことをしようと思って書きました」

薬丸岳 著『わたし・わたし』

私が喫茶室に入ると、奥の席に座って煙草を吸う彼がこちらに顔を向けた。左目のまわりがあざになっていて、口もとも腫れ上がっている。彼は「50万なくした、おれの金じゃない」と切り出し、「君に嘘をついていた」と謝ってくる。

薬丸岳

「はじめに宮部さんの作品は、得体の知れないモンスターのような感じですと聞いていまして。人間の心の闇のようなものをイメージしていましたが、お二人の作品を読んでみたら違っていたんですけれどね。

私はホラーテイストのものを書いたことがなかったのですが、初のチャレンジをここでやらないと後悔する!という気持ちで書きました」

東山彰良 著『スマホが・ほ・し・い』

「殺されたこの女の人、昔裏に住んでいた日本人の留学生なんじゃないのかい?」テレビのまえで祖母が素っ頓狂な声をあげたとき、春陽はスマホを買ってもらうために、一歩も退かない構えで母親に食らいついていた。

東山彰良

「僕はホラーを書いたことがなくて、作風を広げるために引き受けたんです。

小さい頃から怖い話は好きでした。出身が台湾なのですが、聊齋志異(りょうさいしい)という中国の古典の怖い話を集めた作品集をベースに、自分に何が書けるのかを考えました。僕が育った広州街というところを舞台にしています」

宮内悠介 著『夢・を・殺す』

ゲーム開発を志して立ち上げたソフトハウスは起業時から6倍に人が増えたものの、一作だけ出したオリジナルタイトルのセールスは振るわず、今は下請け業務がすべて。作業量と残業は増え続けるが、“幽霊バグ” が一向に消えず残っている。

宮内悠介

「お話をいただいたとき、私はちょうど海外取材でカラカルパクスタン自治共和国のヌクスという街にいました。そのときはまさかアンカーだとは思いもよらなくて(笑)。

東山さんがスマホというキーワードを出していたので、私は得意なITについて書きました。“IT零細企業系ホラーテイスト”な短編ができたわけです。私は資料を読むことが多くて、フィクションを読むことは少ないんですけれど、リレーならではの新鮮な体験が出来ました」


ちょっぴり怖い、だからおもしろい。人気作家が繋ぎ、創り上げたミステリーは、是非読んでおきたい。

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■書籍情報

『宮辻薬東宮』(みやつじやくとうぐう)
発売日/2017年6月20日(火)
値段/1,500円(税抜)

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