マルシェのような八百屋さんで教わる「あなたの知らない」野菜の魅力

2015.4.12 (日) 01:31

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2015 年3月30日にオープンした「坂ノ途中 soil ヨヨギ garage」(渋谷区代々木)。オーナーの小野邦彦氏は、京都を拠点に、店舗や農家とのつながりを通じて環境にやさしい農業を提案している

野菜を買うとき、何を見て選ぶだろうか。値段、鮮度、産地……選ぶポイントは数あるが、数年前から注目されているのが「生産者」だ。

どこで、どのように育てられたか。人の顔が見える「安心・安全な野菜」が求められている。しかし、そのような野菜は総じて値段が高く、どうやって食べたらいいか分からない変わった種類が多いように感じるのも事実……。少し躊躇してしまう人もいることだろう。

そんな価値観を覆してくれる興味深い八百屋がオープンしたと聞き、さっそく行ってきた。

八百屋「坂ノ途中 soil ヨヨギ garage」とは?

廃材を利用した看板が目印。野菜、雑貨をあわせて250種類の商品がそろう

京都を拠点に、店舗や農家とのつながりを通じて環境にやさしい農業を提案している

目指す先は、2015 年3月30日にオープンした「坂ノ途中 soil ヨヨギ garage」(渋谷区代々木)。量産型の農業ではなく、少量でも「農薬・化学肥料に頼らない、環境負荷の小さい農業」を実践する農家を応援するだけでなく、自ら実践もしているお店だ。

種類豊富な野菜をはじめ、丁寧につくられた調味料やお菓子、コーヒー・お茶、生活雑貨をそろえている。キーワードは「やさい⇔暮らし」とのことだが、一体どういうことなのか?


「旬」や「農業」のことを、たのしく、おいしく考えている

閑静な住宅街の路地裏を歩いていると、廃材をコラージュした民族的な看板が突如現れる。中をのぞくと、色とりどりの野菜が並んでいる。スタンダードな野菜もあるが、中には見たことも聞いたこともないようなものも。当然のことながら、どれを選ぶべきなのか、どうやって食べるものなのかさっぱり分からない……。

スタッフさんに、野菜のことやお店のことを聞いてみる。対応してくれたのは、オーナーの小野邦彦(写真)さん。


京野菜を中心に、年間200種類がお目見え

お店の主役となる野菜は、京都を中心とした西日本のものが多くそろう。常に顔ぶれを変えながら、年間200種類がお目見えするという。この日は野菜は約30種類が出そろった。旬を大切にしているので、ラインアップは1、2週間単位でどんどん変わっていく。

小野さんのオススメは、この日に旬の真っ盛りを迎えていた2種類だ。

  

「アレッタ」(三重県伊賀市産・100g350円)

「ケールとブロッコリーの間の子です。味の濃いブロッコリーのように感じると思います。多めの油で、『いきすぎかな』っていうくらい炒めてください。焦げるかな……くらいでも大丈夫。葉がしっかりしているので、そこまで炒めても味も食感も消えない。うま味、甘みが増しておいしいですよ。蒸すのもいいですね」


  

「冬の野菜の菜の花」(京都府京都市産・100g340円)

「畑菜という京都の伝統野菜の花です。

本来、アブラナ科の野菜は、冬の間ずっと寒さを耐え、春を望むもの。よく見る『菜の花』っていうのは、冬場に咲くように品種改良されているものです。グラムが乗るように、茎が太く、やたら花が咲くようにされている。

でも、もともとの菜の花の方がやっぱりおいしいんですよ。柔らかいし、味がしっかりしているし。火の通りが早いので、さっとゆがいておひたしにするのがいいですね。ゆで汁においしい出汁が出るので、おしょうゆ等をかける時にゆで汁を合わせると、レベルが高い味になりますよ。

これだけ新鮮なので生でも食べられます。一瞬しか出会えない味わいですね」


ほかにも、シイタケほどの大きさもある、香り高いシメジの原種「大黒本シメジ」(京都府京丹波産)、渋みがなく、生でも食べられる「赤軸ホウレンソウ」(京都府宇陀市産)など、気になる野菜がいっぱい。

ちなみに、5月はスナップエンドウと新タマネギが「めちゃうまです!」とのこと。6月はズッキーニ等の夏野菜……と、店内では常に「正しい季節」が巡っている。

野菜の楽しみがもっと広がる、調味料や雑貨たち

調味料類も豊富

調味料類も豊富。西日本で作られている出汁や調味料など、都内ではなかなかお目にかかれないものも

野菜ライフを支えるのは、野菜だけではない。野菜をおいしくする調味料や雑貨も扱っており、その数は約200種類。

体にやさしいこだわりの食材で丁寧に作られた調味料や、京都の職人が手仕事で作った干し野菜を作るカゴ、湯豆腐掬いに便利な杓子、器類なども充実しており、野菜をどう調理したらおいしくなるかという創造力を掻き立てる。

また、このお店を運営する株式会社坂ノ途中はウガンダでも有機農業の普及活動をしており、ウガンダの農産物をつかった加工品や、その他東アフリカの工芸品も並ぶ。

毎日違う旬に出会えるだけでなく、国内外にあるそれぞれの土地でしか味わえない味が生まれる農業の不思議、その作物をおいしく食べる土地ごとの工夫を目の当たりにできるのが興味深い。


野菜に創造力をもらう。選び、作ることにワクワク!

野菜を買うという体験が、こんなに刺激的なものだとは。

小野さんに案内してもらっていると、気づけば八百屋であることをすっかり忘れ、「野菜のテーマパーク」にいるような気持ちになっている。

一緒に行ったT-SITE編集部Aも、「スーパーじゃ出会えないものがたくさんあるし、食のことや環境のことについても考えさせられました! こうやって休日に来て買い物ができたら、もっと自分の生活がよくなるかも……」と関心しきり。

野菜には一家言あるというAはすっかりインスピレーションを刺激され、何かを作ることにした模様。この日、主に購入したのは以下の4つ。

「冬の野菜の菜の花」(京都府京都市産・100g340円税込
この日の小野さんイチオシ野菜

「新じゃがいも(西豊)」(鹿児島県屋久島町・100g56円税込
小野さんいわく、「ホクホクとする品種。皮が柔らかいので、剥かずにそのまま食べるのもおいしいですよ」

「炒りゴマ」(216円税込
風味豊かなウガンダ産のゴマ

「松田のバルサミコとうにゅう酢」(702円税込)
豆乳をベースに使った、植物性のヘルシーなバルサミコ風味ソース。マヨネーズの風味もしっかりする!

今しか作れない、特製サンドイッチ!

パンと少しの食材を購入し、Aが作ったのは……今流行りのキャベツたっぷり「沼サンド」ならぬ、菜の花たっぷり「Aサンド」!

菜の花は普段、生で食べることはないが、茎が細く柔らかな、新鮮な畑菜の菜の花だからこそ生でいただける。まさに今の時期だけの、限られた方法で育てられた野菜がコラボレーションする、奇跡のサンドイッチだ。

せっかくの新鮮な体験を楽しむべく、菜の花を大胆に主役に据える。

1、食パンを2枚用意する。1枚にはチーズとハムを乗せて、もう1枚には「松田のバルサミコとうにゅう酢」を薄く塗る

2、皮付きのままマッシュした新ジャガに、風味豊かなゴマをたっぷりと混ぜる。野菜の味自体がとても濃いので、味付けはお好みで大丈夫

3、マッシュポテトを片方のパンに載せる。そして、主役の菜の花をたっぷり載せる。茎の部分は生で食べるには硬いので、葉と蕾の部分を使う。あふれるくらい豪快に乗せる

4、少しぎゅっとプレスして、一気に真ん中から切る。完成!

   

気になるお味は? 「菜の花のシャキシャキした生の歯ごたえが楽しいです。苦味と甘味の両方を感じられますね。ジャガイモの甘さと絶妙にマッチしています」とAも満足の出来栄え。記者もおすそ分けをいただいてみる。菜の花の想像以上の柔らかさと甘み、滋味あふれる苦味に驚く。ジャガイモも味が濃いが、混ぜたゴマの風味がしっかり感じられる。野菜、スゴイ!

噛むほどに味わいが増すのが心地よく、あっという間にたいらげてしまった。


何かを作るのに必要だから野菜を買いに行くというよりも、出会った野菜を「どうやっておいしく食べようか」と考えたくなる。

「環境にやさしい」「旬」「無農薬」というと、どうも“義務感”や“押し付け”がついて回りがちなイメージだ。しかし、このような野菜は、「おいしい」というのも真実。毎日口にするものを選ぶ上で、これに勝ることはない。

「やさい⇔暮らし」とはこういうことか、と納得させられた。あたたかい人とのつながりを感じながら、野菜をたのしく、おいしく選ぶ。それを自然と受け入れられるのだ。

◆店舗情報
坂ノ途中 soil ヨヨギ garage

東京都渋谷区代々木5-39-5
080-3842-1831
10:00~18:00
月曜・第二火曜(祝日営業、翌日休)
小田急線代々木八幡駅・地下鉄代々木公園から徒歩約5分

公式HP


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