自転車とコーヒーで地域をつなぐ。サードウェーブの先にある、新しいコーヒーのあり方とは?

2015.5.27 (水) 20:57

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京成金町駅から線路沿いを歩いて行くと、おいしそうなコーヒーの香りがふわっと漂ってくる。

コーヒー豆の産地を重視し、それらの美味しさを最大限に引き出す入れ方で提供されるサードウェーブコーヒー。この流行にともない、都内でも一杯一杯を丁寧に淹れたこだわりのコーヒーを飲めるショップが増えてきている。多くのお店が話題になるなかで、「自転車で豆を運ぶ」という配送方法でコーヒー豆を販売しているお店を発見した。

今回はそんな一風変わった販売方法をとっている『BICYCLE COFFEE(バイシクルコーヒー)』を取材してきた。

フェアトレードでコーヒー豆を販売する

毎週火曜日、焙煎日のみ店舗を解放している『BICYCLE COFFEE』(※)は東京・葛飾区金町にある。

「焙煎日に豆を購入しにきてくれた人には、淹れたてコーヒーを一杯サービスしているんです。豆を挽く香りにつられて近所の人も多く買いにきてくれるのは、嬉しいですね」とスタッフの成田裕作さんは話す。そして、その翌日の水曜日に自転車での配達が行われている。

※2015.6.2更新:6月9日(火)より設備メンテナンスのためしばらく休業。直営店「ARC’TERYX TOKYO GINZA」(東京都・銀座)では営業を行っている。詳細は記事末にて

お店の目の前には線路が走る。15分に一回ほど走ってくる電車を見ながら飲む一杯は格別

ピンク色の外壁が目印の『BICYCLE COFFEE』。この壁の向こう側は焙煎場。成田さんはいつもこのスタイルで配達へと向かう

「『BICYCLE COFFEE』はもともと、米サフランシスコで三兄弟とその従兄弟によって創業されたお店です。パナマにツリーハウスを建て、そこに移住しようと考えていた長男と次男。しかし、二人がそこで目の当たりにしたのは、貧しいコーヒー農園の姿でした。丹精込めて栽培したコーヒー豆が販路を持たないばかりに、安く買いたたかれている実情。そこで彼らが出した結論が、自分たちにできる貢献を仕事にするということでした。その結果生まれたのが『BICYCLE COFFEE』です。有機栽培されたコーヒー豆をフェアトレードで購入することで、コーヒー農家が経済に大きく左右されずに安定する。そしてその豆を自分たちで焙煎し、自転車を使って得意先に届ける。コーヒーをツールにして自分たちもそのサイクルに加わり、コミュニケーションを育んでいくことをモットーにしています」

『BICYCLE COFFEE』が日本に参入するまで

焙煎を担当している内山哲孝さんと焙煎機

コーヒーを入れる際に使う陶器のドリップコーンもオリジナル。オークランド在中の夫婦で活躍するアーティスト『ATELIER DION』のもの

そんな『BICYCLE COFFEE』が日本に参入したのが昨年。2013年から準備が始まり、成田さんは秋には本国の拠点となるオークランドへ渡り、焙煎のトレーニングを行ってきた。

「『BICYCLE COFFEE』を日本でも始めることになったのは、もともと僕が携わっていた『MISSION WORKSHOP』という、バイシクルカルチャーを軸とするブランドからの紹介でした。本国ではこの2つのブランドは兄弟会社で、日本でポップアップショップをやったときに『BICYCLE COFFEE』の一人がコーヒーを淹れに来日してくれたんです。それが僕の出会いのきっかけでしたね。そこから本格的に準備を始め、昨年やっとオープンにまでたどり着きました。本国で彼らが行っているように自分たちで焙煎をし、配達は『MISSION WORKSHOP』のリュックにつめて自転車で行う。焙煎はやっぱり難しくて、まだまだ勉強しなくてはいけないのですが、少しずつでも多くの方にこの存在を知っていってほしいと思っています」

サードウェーブコーヒーとの違い

サードウェーブコーヒーと言えば最近よく聞くワードだが、一見すると『BICYCLE COFFEE』も同じような立ち位置だと思われる。しかし、彼らには、もっと伝えていかなくてはならないことがあるという。

「サードウェーブコーヒーというカテゴリの中で、『BICYCLE COFFEE』を知ってもらうのは嬉しいことだと思っています。けれど、いわゆるサードウェーブコーヒーのお店と一括りにされてしまうと、そこは少し違うかなという気もしています。僕たちが最も大切にしているのが、お客様とのコミュニケーションです。配送業者などを使わず、自分たちで得意先まで届けているというのもその一つ。有機栽培されたコーヒー豆を使い、それぞれに合った焙煎方法で豆を挽いて提供している、という点では他店と同じです。けれど、僕たちが伝えていきたいのは、その背景にある、創業者たちが目の当たりにしたようなコーヒー農家の現実の話。自分の脚を使って、それを知ってもらったうえで飲んでいただく一杯は、また違ったものになるのではないかな、と思っています」

『BICYCLE COFFEE』が伝えていくべきこと

コーヒー豆(Fair Trade, Organic)各1袋(200g)1500円。
MEDIUM ROAST, DARK ROAST, BLEND, DECAF ROAST から選べる

配達するときに欠かせないのが、『MISSION WORKSHOP』のリュックサック。水出しコーヒーを入れるタンク(10L)も入るという

本国では2009年から『BICYCLE COFFEE』の取り組みが行われている。成田さんは実際に現地へ赴いて、その仕事を見てどう感じたのか。またそれによって東京で実現したいこととはどのようなことなのか。

「『BICYCLE COFFEE』の取り組みを最初に聞いたときに、かっこいいな〜と思ったんです(笑)。オーガニックの豆をフェアトレードで仕入れて、自分たちで焙煎し配達する。実際に現地に行ってみても、やはりその考えは変わらなかったし、何度行っても同じようにかっこいいな〜と思います。けれど現実はかっこいいだけのものではありませんでした。自分たちでできる限りのことをやろうと思うと、それだけ労力はかかる。だから本国にトレーニングに行った際、一日手伝っただけで服は真っ黒。毎日ヘトヘトになるほど体力を使いました。

けれど、彼らのその丁寧な仕事ぶりは、東京に帰ってからも続けていきたいと思ったことの一つです。僕たちは配達をするときに、既にお取り扱いをしてくださっているお店に行っても1回1回説明をするようにしています。できる限り時間を割いて、なるべく丁寧に説明をしていくこと。だからこそ、自転車で運べる範囲でしか、取引を行っていないんです。『BICYCLE COFFEE』の根底にあるのが、地域に基づいたコミュニティ作り。それこそが、僕たちがやっていくべき仕事なのではないかと思っていますね」

(文:戸塚真琴)

Bicycle Coffee Tokyo HQ

住所:東京都葛飾区金町2-27-12
TEL:03-5648-3658
店頭でのコーヒー豆販売日:火曜

※2015.6.2更新:6月9日(火)より設備メンテナンスのためしばらく休業。直営店「ARC’TERYX TOKYO GINZA」(東京都・銀座)では、「Bicycle Coffee Tokyo HQ」同様、コーヒー・コーヒー豆・グッズの販売を行っている。

「ARC’TERYX TOKYO GINZA」
住所:東京都中央区銀座3-11-14
12:00~20:00(火休)

BICYCLE COFFEE ウェブサイト


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