イタリアの田舎料理のおいしさの秘密とは? 思わずお腹が鳴る!『トスカーナ 美味の教え』出版記念トークイベント

2015.7.24 (金) 12:17

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『トスカーナ 美味の教え  イタリアのおいしい料理54』

ソムリエで料理人のご主人・古澤一記氏とともに、鎌倉でエノガストロノミア「オルトレヴィーノ」を営む古澤千恵氏が、トスカーナの田舎で暮らした経験をもとに作り上げた新著『トスカーナ 美味の教え  イタリアのおいしい料理54』を筑摩書房より出版。2015年6月15日(月)、これを記念して、古澤氏とスタイリスト・高橋みどり氏を招いてのトークイベントが代官山 蔦屋書店にて開催された。

イベントでは、2000年から始まるトスカーナでの10年間の生活を、古澤氏が自身の手による写真と共に紹介。人々とのふれあいの中から学んだトスカーナ料理や、現地での暮らしぶり、料理を彩る器についてまで、さまざまな話を披露してくれた。

ぶどう畑に囲まれた、トスカーナの築200年の自宅

トスカーナの築200年の自宅

古澤千恵氏(以下、古澤):そんなに古く見えないかも知れませんが、築200年の家なんです。イタリアには、築4、500年という家がまだまだあるので、その中では「若い家」と言われるくらい。1階、2階とあって、1階に私たちが、2階に大家さんが住んでいます。隣はワイナリーで、その隣もワイナリー(笑)。庭の周りもオリーブに囲まれていて、ぶどう畑とオリーブ畑のなかにぽつんとあるような感じです。この家に住むことになってから、色々とイタリアに対しての考え方や捉え方が変わりました。その結果、今の私がここにいるという、とても思い出深い場所です。


近所でトリュフ狩り。田舎での暮らしぶりは?

ぶどう畑

古澤:こんな感じのぶどう畑の中に、石造りの家がぽつぽつと建っています。こういう所に野性のアスパラだったり、トリュフやキノコを採りに行ったり。特別なことではなくて、季節を通してそういうのを楽しめる環境があるというのは、トスカーナの豊かなところですよね。トスカーナで「サンジョベーゼ」という赤ワイン用のぶどうが作られるのですが、元々私と夫はこれを使ったワインが好きで、そのワインを知りたい、ぶどうを見てみたいという所でトスカーナに赴きました。

伝統料理より、“家の料理”を伝えたい

ワイナリーの食卓での食事風景

古澤:今回、私にとっての2冊目の本は、トスカーナのお料理について書かせていただきました。紹介させていただいているのは、伝統料理と言うよりも、私が向こうで暮らして友人になった地元の人たちのレシピ。そういうレシピが、シンプルだけど驚くくらいおいしいということが多くて。例えば、ワイナリーに行くたびに「じゃあ、お昼食べて行きなよ」「夕飯食べて行きなよ」と、普通にファミリーの中に入れていただいてご飯を食べるんですが、それが本当においしくて、シンプルなんですけど、記憶に残る味というか、“家の料理”だなとしみじみと感じました。イタリアで、星付きレストランなんかにも行きましたが、全部見て戻った時に、おいしいイタリアのお料理って何だろうと思うと、やっぱり家の料理なんだなって。そういうものが少しずつレシピに入っています。

古澤:こちらは、トスカーナのワイナリーで働いている人たちの為の食卓です。お宅もすごく素敵。古いものが好きなオーナーなので、お宅の中を色々と歩き回りたいくらい。

高橋みどり氏(以下、高橋):素敵ですね。床材は石ですか?

古澤:そうです、石です。お昼になると、近所のおばさんがそこのワイナリーで働いている人のお昼をつくるんですね。その料理が本当においしいんです。

おいしいものが安く手に入る、市場について

古澤:こちらは市場の様子ですね。どんな街や村にも、週に一度こういう市場があって本当にうらやましく思います。こういう桃だと、1ユーロで5、6個は手に入ります。安くておいしくて、というので、みんな山盛り買って行きますね。

高橋:トスカーナでは、ナチュラルだとか無農薬などに対する意識はいかがですか?

古澤:そういう側面もあります。やっぱりこだわっている生産者もいらっしゃって、そういう人たちがグループになって市場を開催する場合もありますね。

暮らしと共にあるトスカーナの料理たち

古澤:トスカーナはやはりオリーブオイルがとてもおいしいので、市場で売っているのはもちろん、自分の庭にあるオリーブの木からオリーブオイルを絞るという方もいます。11月ぐらいから収穫を始めて、一ヶ月くらい少しずつ絞って。11〜12月に採れたフレッシュなものを一年間かけて使うという感じです。

古澤:茹でたてスパゲティーに、ドボドボとオリーブオイルをかけて、塩こしょうをして食べます。風邪をひいたときはとりあえずこれ。素うどんではないですけど、そのようなイメージ(笑)。熱っぽいと言うと、お母さんはこれを作ってくれます。イタリア人にとってはお粥がわり。

トスカーナでおなじみのおやつ

こちらは、トスカーナ人のおやつですね。子供たちが家に帰って来るとこれを食べます。焼いたパンにオリーブオイルをかけたものです。

高橋:焼いたパンにかけるのがおいしいんですよね。

古澤:そうですね、ちょっと香ばしさが出て。イタリアのパンって素朴なものが多いので、それをちょっと香ばしくしてオイルをかけるからこそおいしいんですね。

アーティチョーク

古澤:これは、アーティチョーク(カルチョーフィ)。イタリア版タケノコかな。長い間イタリアにいる時に、タケノコご飯の替わりにこれを使ったりして。

高橋:見た目にも綺麗ですね!

古澤:本当に。市場では、花束のようにして束になって売っているんです。

インゲンの田舎煮

今回の表紙になっている、インゲンの田舎煮です。最初の写真でトスカーナの家を紹介しましたが、2階に住んでいる大家さんの子供たちが小さい頃、「ちょっと子供たちを見ていてくれる?」という日がありまして、「お昼は、冷蔵庫にこれが入っているから食べて」と言われて入っていたのがこれ。食べたら本当にびっくり、もう鍋ひとつ分食べれられるくらいのおいしさ(笑)。イタリアでは、2kg近く入ったインゲンが袋に入って売っていて、それもすごく安いので皆家でこういう料理を食べているんじゃないかなと思います。

これもイタリア人のマンマに教えてもらったんですけど、タマネギ、人参、セロリのほかに、本当にたくさんのフレッシュなハーブを入れて炒めるんです。鍋の中身が緑になるくらいハーブを入れて炒めて、それをトマトソースで和えるんですけど、本当にクセになる味! ぜひ試して欲しいですね。

トスカーナといえば山のイメージがあるかも知れませんが、実は海もありまして、海に行くとこういったトマトとタコの白ワイン煮なんかが味わえるんです。タコの下処理が必要なのですが、パスタ棒なんかで叩いてタコの繊維を壊して煮込むだけでもうホロホロになるよ、という。

トマトとタコの白ワイン煮

トマトソース

これはトマトソースですね。家庭の数だけトマトソースの数があると言われていて、時期になるとトマトがスーパーでも箱で売られます。夏には、採れたトマトを自分の家でソースにして瓶詰めにするという作業があります。

高橋:基本的に、どこの家庭でもトマトソースはホームメイドなんですか?

古澤:おいしいもの好きの家庭は結局作っていますね。そのトマトソースをベースに。

高橋:器も良いですね。パスタもホームメイド?

古澤:ファミリーで週末に集まるなんて時はお母さんが作ったりしていますね。彼らの中では、パスタを作るということは特別難しいことではないようです。


料理を引き立てる、さまざまな白い器

高橋:色んな“白”がありますね。

古澤:そうですね、イタリアにはたくさんの素敵な器があると思います。白い器の代表的な窯元のものを使用させていただいています。

高橋:一言で“白”と言っても、土が違ったりしますよね。厚さとか上薬の違いだとか、後は年代によっても違う。かなり魅力的ですね。

アンティーク市には、ガラクタから掘り出し物まで

古澤:これは、いわゆるアンティーク市。きっとフランスのプロヴァンスなんかと一緒だと思います。イタリアもあまり知られてませんが、毎週末どこかの村の教会の前とか広場だとかでアンティーク市が開催されています。


トスカーナ暮らしについての話はもちろんのこと、スライドが流れる度に、客席からため息や歓声が漏れるほど、ご自身で撮られたという写真の美しさが印象的だった。紹介される料理はどれも気取らずおいしそうで、すぐにでも真似したくなるものばかり。トスカーナの穏やかな空気が思う存分感じられるトークベントになった。

(文:岸田祐佳)


古澤千恵(ふるさわ ちえ)

神奈川県生まれ。メニュー開発から、雑誌のスタイリングや料理教室まで幅広く活動。イタリア・トスカーナで10年暮らした後、2010年鎌倉・長谷にエノガストロノミア「OLTREVINO」をオープン。著書に『とっておきのフィレンツェ/トスカーナ』(筑摩書房刊)がある。イタリア アンティークwebショップ「OVUNQUE」を運営、器、家具などの販売店舗住宅コーディネートを手がける。

イタリア アンティークwebショップ「OVUNQUE」


高橋みどり(たかはし みどり)

1957年東京生まれ。1987年、スタイリストとして独立。おもに料理のスタイリングを手がける。『酒のさかな』(筑摩書房)、『私の好きな料理の本』(新潮社)、『わたしの器 あなたの器』(KADOKAWA/メディアファクトリー)などの著書がある。


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トスカーナ美味の教え

トスカーナ美味の教え

トスカーナに10年以上暮らす著者が贈る、魅力のレシピとおいしさの理由。

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