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大人気のクラフトビール、実は知らないことだらけ! ブームの意外な背景と、日本の今後とは?

2015.8.19 (水) 13:18

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クラフトビールのイメージ

暑い日こそ飲みたくなるものと言えば、ビール!「今日は何を飲もう?」とさまざまなメーカーや銘柄が思い浮かぶと思うが、今夜は最近のビールシーンを盛り上げている“クラフトビール”を選んでみてはいかがだろうか?

しかしその前に、一体クラフトビールってどんなもの?と思っている人も、まだまだ多いはず。今回はクラフトビールを約70種類も取り扱っている、「麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)」(東京・両国)の青木辰男オーナーに、ブームの背景や今後の話を伺った。


クラフトビールのブームはアメリカから始まった

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)オーナー 青木辰男氏

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)オーナー 青木辰男氏

クラフトビールという名を聞くことは増えているが、そもそもクラフトビールと呼ばれるものはどんなものなのだろうか?

「小規模なビール醸造所でビール職人が作るビールのことを言います。現在日本でも人気が高いですが、世界中でブームが巻き起こっていますね。ビールの本場であるドイツでも人気に火がついているほどです。これはやはり、アメリカの“ホームブルー”たちがきちんと定義を作ったことが大きいと思います」

そもそもの発端は、アメリカでのある動きにあるという。

「火付け役であるアメリカでのブームの背景には、“ホームブルー”と呼ばれる自家醸造家が、時間やコストに捉われることなく自分の飲みたいビールを、オリジナルレシピで作っていたことがあります。彼らはプロではないけれど、自分たちを“ブルワー”だといい、ウェブ上でレシピを公開している人もいます」

しかし、それだけではブームの規模も知れている。さらに世界的ブームに押し上げたのには、一人の立役者がいたという。

クラフトビールのブームを牽引した立役者とは?

アメリカでは1978年頃にホームブルワーズ協会が創設された。会長は、チャーリー・パパジアン。彼によって、アメリカのクラフトビール業界は発展した。

「チャーリー・パパジアンがいなかったら、今のブームは起こっていないと思います。1990年以降、一気に年間300ほどブルワリーが潰れたことがありました。原因は価格破壊。そこで彼が政治活動などの運動を通して、安売りをやめるための価格協定などを結び、税金についても大手の半分ほどに抑えることに成功しました。また、新しいビールを発表するためのコンペティションなどを開催して、業界全体を盛り上げていったんです」

こうしてアメリカでは現在、年間約500ものブルワリーが増えるほどクラフトビールの成長が盛んな国に発展したという。

アメリカのブリューのイメージ

アメリカのブルーのイメージ

日本におけるクラフトビールブームの弊害は、酒税?

では、日本におけるクラフトビールの市場はどうなのだろうか?

「1995年に地ビールが誕生して間もなく、一度ブームが失速しました。その原因には、味がおいしくなかったというのがあると思います。それは海外で人気の高いビールのレシピを、ただマネして作っていただけだったから。今はすばらしい作り手のビールも多く存在しています。ですが、これからももっとクラフトビール業界を盛り上げていくためには、高すぎる酒税が弊害になってくると思っています」

アメリカでは、クラフトビールメーカーの酒税が安い

アメリカでは大手ビールメーカーとクラフトビールメーカーで、かかる酒税が異なるという。その酒税を決めるに当たっての争点が、“規模”になる。

「クラフトビールは“小規模”という話を最初にしましたが、規模についてはアメリカでも現在議論されている問題です。ブームによって消費量も増えているため、国内でも規模はどんどん大きくなっていっています。今アメリカのクラフトビールメーカーで一番大きいのは、日本のサントリーの半分くらいの規模だと言われています。

というのも、規模大きいかどうかっていうのは、アメリカでは税金の問題に関わってくるのです。大手ビールメーカーに比べ、クラフトビールメーカーにかかる税金は半分ほどなのです」

アメリカでは、酒税が大手は売値の7.5%なのに対し、クラフトビールメーカーは売値の3.5%に抑えられている。

日本のクラフトビールは、高い!

「ビールはもともと高級品ではありません。けれど贅沢税がかけられ、缶ビールの約30%の税金がかけられることにより、高い飲み物になってしまっています。ビールは本来そんなにお金をかけずとも作れるものです。むしろ今安く売られている発泡酒のほうが、加工などにお金がかかるので本来税金を差し引いたら高いほど。それほどまでに高い酒税によって、ブームに歯止めがかかっているといえます。ここの改正がない限り、日本のクラフトビールの未来は先行き不安です」

日本においては課題が山積みなクラフトビール業界だが、今後も人々に愛され続けるためには秘策が必要だという。当面の酒税問題の解決とまではいかないが、ブームを盛り上げるための方法とは?

最上級の味を作る“セラーマン”が、クラフトビールのブームを支えるカギ

「ポパイ」のタップの数は圧巻!

「ポパイ」では約70種類のクラフトビールを取り扱っている。タップの数も圧巻!

価格の高さに負けず、おいしいビールで魅了する!

日本のクラフトビール界を牽引する青木さんは、現在自分で経営するお店以外でも新店オーブンに際してビールのレクチャーなども行っているという。

「おいしいビールは勉強をしないと入れることはできません。100以上もあるビールのスタイルそれぞれに合わせて、炭酸の量など入れ方は異なってきます。一番おいしい味を引き出せるサービング技術を持った人を育てるため、実際に依頼された店舗で指導をすることもあります。私は彼らのことをセラーマンと呼んでおり、日本でももっと多くのセラーマンを育てていくことが必要だと思っています」

ただのブームで終わらせないためには、ビールの真のおいしさを引き出すセラーマンの存在がカギを握るという。


知れば知るほど奥が深いクラフトビールの世界。知識を得てから飲むビールは、また格別においしく感じる。ビールが苦手だと敬遠している人も、ぜひ足を運んで、こだわりの一杯を味わってもらいたい。

(文:戸塚真琴)

◆あわせて読みたい

プロが教える、クラフトビールが本当においしい店・銘柄の選び方とは?

青木辰男(あおき・たつお)

創業30周年を迎える、両国『麦酒倶楽部 POPEYE』オーナー。株式会社シンポ企画代表取締役。「ジャパンクラフトビアパブ協会」顧問。NPO法人「日本の地ビールを支援する会」理事長など、日本のクラフトビール業界における第一人者。

麦酒倶楽部 POPEYE


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