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プロが教える、クラフトビールが本当においしい店・銘柄の選び方とは?

2015.8.19 (水) 13:39

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流行りのクラフトビール。都内にも専門店がいくつかあるけれど、「正直どんなお店を選べばいいのかがわからない」「大手メーカーのビールよりも値段が高いからこそ、普段飲めないような個性的なものが飲みたい」などの声をよく耳にする。

今回は都内で一番歴史のあるクラフトビール専門店、「麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)」(東京・両国)の青木辰男オーナーに、正しいお店の選び方やおすすめのビールを教えてもらった。


クラフトビールがおいしいお店の見分け方、ポイント3つ

ポイント1、清潔な場所でビールを作っている

せっかく飲みに行くなら、おいしいクラフトビールを飲みたい。では、どんなものか? いくつか基準はあるが、まず直醸造場で作られている場合、しっかりと管理された場所でなければ、よい品質のビールは生まれないという。

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)オーナー 青木辰男氏

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)オーナー 青木辰男氏

「簡単にいうと、ビールはバクテリアを働かせて作られます。けれど、空気中にはビール作りには不要な、よからぬバクテリアがたくさん存在します。品質のいいビールを作ろうと思うなら、まずはそれをシャットアウトした状態を作らなければなりません。そのためには、ビールを作るタンクの中を滅菌状態にする必要があります。つまり、ビール作りをしようと思うなら、それなりの設備が必要になってくるということです」

最近では、簡単な設備でオリジナルビールを作っているところも増えてきている。しかし、作るうえでの環境には十分な注意が必要だ。

「きちんと滅菌された場所で作られていないビールには、余計なバクテリアがたくさん入ってしまい、味を損なうことにつながります。これでは、クラフトビールで一番の魅力でもある“クオリティ”、これが低くなってしまうんですね。でも、数年後にはこういったビールはなくなっていくでしょう。お客さんはおいしくないものには、シビアですからね」

ポイント2、サービング技術が徹底されている

「ポパイ」には約70種類のクラフトビールがある

「ポパイ」では約70種類のクラフトビールを取り扱っている。タップの数も圧巻!

では、ポパイのように開店以来20年以上もの間、クラフトビールの専門店として人気を獲得し続けるためには、何が必要になってくるのだろうか?

「私が過去にアメリカに渡った際、日本がアメリカに勝つために必要なのはサービング技術だと思ったんです。彼らはなんといっても雑なので(笑)。きちんとやれば勝てると思い、そこからサービングについて徹底して勉強をしました」

青木さんのいう徹底したサービングは、大手のビアホールにいる“注ぎ方名人”とは異なる。

「ビールにはそれぞれスタイルがあります。大雑把に分けて100通りほど。このスタイルごとに、アメリカで入れ方のマニュアルがあります。色やアルコール度数も違うビールごとに、それぞれ一番の良さを引き出すためには炭酸量の調節が必要です。この炭酸量がビールのおいしさを左右するんです」

青木さんはアメリカでのマニュアルを元に、独自でビールのスタイルごとに炭酸量の計算式をエクセルで作っているという。

「炭酸量を調整するためには、ホースの長さを変える必要があります。日本では太さが異なるものは存在しないので、長さで調節する。この加減をきちんと極めれば、おいしいビールが注げます」

現在正しいサービングの方法を伝えるため、全国で35店舗ほどのコンサルティングを行っている。たかがビールだけれども、クオリティを担保するためには欠かせないことだという。

ポイント3、ビールに泡がない

ビールと泡の割合は7:3がベストと言われているが、青木さん曰く「例外もありますが、基本的にエールビールをおいしく飲むには泡がないほうがいい」という。その理由はなぜだろうか?

「例えばコーラをグラスに注ぐときに、ドボドボと注げば泡が立ちますよね? ビールもそれと同じです。ビールに欠かせないものがホップですが、このホップが核となって味を調和しています。不必要な泡ができると味がバラバラになってしまいます。そのために私たちは、炭酸の量でライン等をセッテングします。タップから出るスピードを一定にすることで、泡なしで注げるようになります。正直、“無駄泡”は傘ましといっても過言ではないですね」

適切な炭酸量で丁寧に注げば、無駄な泡が出なくなる。だからこそ、おいしいビールを出すお店のビールは泡がコントロールされている。


クラフトビールの“飲んでおくべき銘柄”とはどんなもの?

お店の選び方が分かったら、今度はどんな銘柄を飲むのがいいのかが知りたいところ。クラフトビール初心者から通までを唸らせる、青木さんが思う“おいしいビール”について教えてもらった。

「最近は日本のブルワーのクオリティもとっても高くなっています。僕が個人的にすごいと思うのは、他では真似することができないビール。どんなビールがおいしいのかが研究され、その人であり、その場所でしか作ることのできないビールというのが素晴らしいビールだと思っています。『志賀高原ビール』や『伊勢角屋麦酒』なども、その一つ。甲府のブルワーである丹羽さんが作る『アウトサイダー ブルワリー』も素晴らしい。彼の感性でしか作ることのできないビールだと思いますね」

『POPEYE』オーナー青木さん、おすすめビール6種

富士桜高原 ヴァイツェン(山梨県ミナミ津留郡)

富士桜高原 ヴァイツェン
(山梨県ミナミ津留郡)

ホワイトエールはほんのり甘さがあり、ビールが苦手の人でも飲みやすい。女性に人気の高いビール。

伊勢角屋麦酒 ペールエール(三重県伊勢市)

伊勢角屋麦酒 ペールエール
(三重県伊勢市)

飲んだ瞬間にふわりと口内に広がる柑橘系の香りと、軽い飲み心地が特徴。国内だけでなく、海外の大会でも多数賞を受賞している。

ブリマーブリューイング ポーター(神奈川県川崎市)

ブリマーブリューイング ポーター
(神奈川県川崎市)

ロンドン発祥のポータービールは、ほろ苦い味わいと香り高いビール。こちらもビールが苦手な人でも飲みやすい。

ベアードビール ライジングサン ペールエール
(静岡県伊豆市)

苦味とともに柑橘系の香り、ハチミツのような甘いフレーバーが感じられる。クラフトビール初心者にもおすすめ。

アウトサイダー オーストラリアンIPA
(山梨県甲府市)

本来のビールらしい味わいで、しっかりとしたコクやホップの苦味が口の中に広がる。ビール好きにおすすめ。

スワンレイク アンバーエール
(新潟県阿賀野市)

心地よい苦味、キャラメルのような香ばしい風味を楽しめるビール。国際的なビアコンテストでも賞を受賞している逸品。


数多くあるクラフトビール。アメリカのように毎年たくさんの新製品が生まれるわけではないが、日本の作り手も個性的なビールを少しずつだが作り出している。ただのブームに乗ってクラフトビールを飲むだけではなく、おいしさの秘密を理解した上で味わうと、また別の楽しみが生まれそうだ。


(文:戸塚真琴)

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)店内の様子

『麦酒倶楽部 POPEYE(ポパイ)』(東京・両国)店内の様子

◆あわせて読みたい

大人気のクラフトビール、実は知らないことだらけ! ブームの意外な背景と、日本の今後とは?

青木辰男(あおき・たつお)

創業30周年を迎える、両国『麦酒倶楽部 POPEYE』オーナー。株式会社シンポ企画代表取締役。「ジャパンクラフトビアパブ協会」顧問。NPO法人「日本の地ビールを支援する会」理事長など、日本のクラフトビール業界における第一人者。

麦酒倶楽部 POPEYE


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