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缶詰は日本食だ! 缶詰の未知の世界を語る、缶詰愛あふれるイベントレポート

2015.8.30 (日) 23:00

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缶詰博士・黒川勇人氏が缶詰の魅力について語るイベント「缶詰Bar in 湘南蔦屋書店 開店!!」が、2015年8月6日に湘南T-SITEで開催された。

まずはビールで乾杯! 来場者と一緒に、湘南ラウンジでお酒を飲みながら「缶つま(おつまみの缶詰)」(国分株式会社)をいただくという、大人の時間が始まった。6月に発売されたカルチャー誌『ケトル』(太田出版 刊)で「缶詰が大好き!」特集を敢行した嶋浩一郎編集長、缶詰博士の黒川勇人氏、国分株式会社より缶つまシリーズ考案者の森公一氏による、缶詰の奥深いトークショーが繰り広げられた。

お酒を飲むために作られた“缶つま”シリーズの魅力

写真左から、嶋浩一郎氏、黒川勇人氏、森公一氏

嶋浩一郎氏(以下、嶋):『ケトル』で缶詰特集をしたきっかけは、以前に村上春樹さんの特集を作ったことです。彼の本の中にはサンドイッチが良く出てくるんですね。その中で、『風の歌を聴け』という小説がありまして、主人公がコンビーフサンドを食べているのがすごくおいしそうなんですよ。実は村上春樹さん自身も昔、作家になる前にジャズ喫茶を経営されていたんですね。缶詰を使ったサンドイッチや料理をお出しになっていて。このコンビーフサンドを食べたいなぁと思いまして……。

黒川さんとは、特集でお話しさせていただいたんです。今日は缶詰の話をつまみにしながら、「缶つま」でお酒を飲むということで……。さて博士、缶詰ブームを作ったと言われている「缶つま」シリーズとは、どのようなものなんですか?

黒川勇人氏(以下、黒川):ひと言で言えば、“お酒を飲むための缶詰”です。普通缶詰は、お弁当のプラス一品や、夜のおかずのプラス一品にすごく便利ですよ、というものですが、国分の缶つまは違う。これでお酒飲んでください! お酒を飲む人が食べてくれればいい! それに特化しちゃったっていうのは、世界中どこを探してもないですね。だから世界でも稀なんです。

森公一氏(以下、森):8月で89種になります。3カ月間毎日違うのを選んでも、飲めるぞ! という……。2010年に缶つまをシリーズ化したんですが、その前に少し牡蠣の缶詰をやっていて、その時の30倍売れるという好評をいただきました。

嶋:博士が“缶修(監修)”された缶詰は、2つともマニアックですよね。コンセプトをご説明いただけますか?

黒川:「焼鳥おび肉塩だれ」は、焼鳥屋に行っても見たことがない部位。もも肉の付け根のあたりですね。筋肉なので歯ごたえがある。それからうまみも強い。そういう希少な部位を基本的にはスパイシーな塩味に仕上げています。塩気は2回くらい工場にお願いして抑えてもらいました。それでいて結構しっかりした味に仕上がっているのは、スパイスの使い方なんですよね。「ラムタン香草焼風」も塩を少なくして、その代わりローズマリーの香りをもっと効かせてくれと。基本的に僕、羊肉大好きなので、その羊のにおいがしっかりある感じがすごく嬉しいです。

黒川氏監修の「缶つま匠焼鳥おび肉塩だれ」。スパイシーでうま味があり、希少部位を使ったやわらかいおび肉が絶品

日本未発売のタイ飯シリーズ。黒川氏がタイのお土産でもらい、感動した一品。玄米から作られている

干し大根の生産量日本一である宮崎県の田野町で作られている、たくあんの缶詰。たくあんメーカーが3年かけ作り上げた、噛むとバリッという音がする、本物のたくあんを食べたような食感

ここまで缶詰を愛する博士の、缶詰との出合いとは

嶋:黒川さんは缶詰博士なんですよね?缶詰との衝撃的な人生の出合いってどこであったんですか?

黒川:僕は昭和41年(1966年)生まれなんですが、僕が小さい頃は、缶詰は今より身近な食べ物で、晩御飯のおかずに何かしら缶詰が出てきている時代でした。4歳の時にキャンプへ行った時、朝、親父がたき火でお鍋に湯を沸かしていたんですね。何を作ってくれるんだろうとそばに行ったら、お鍋の中で炊き込みご飯の缶詰を湯煎していたんですよ。五目飯とか鶏飯とかドライカレーっていうご飯の缶詰は、普通に小売店で売っていたんです。それを見て僕は、何をしているのか分からなかった。食べ物を茹でているわけじゃなく、金属の箱がボコボコボコボコお湯の中で踊っている。それを開けて中身を出してくれたんです。それが確か五目飯だったと思うんですけど、鶏肉、シイタケ、ニンジン、という風に5つ具材が入っている。家で食べる五目飯よりちゃんとした、本物の五目飯なんです。これに感動しましてね。「これは缶詰というものなんだ! 外でご飯が食べられるんだ!」と。そう思って家に戻ると、サバの水煮とかサンマの蒲焼きとか、普段おかずで食べているものが、実は缶詰だと気が付いたんですね。それから今の今まで、缶詰に夢中です。

嶋:そのお父様はコンビーフが好きだとお聞きしましたが。

黒川:その頃はコンビーフは価値があったというか、子供に食わせてくれないんですよ。どこかに隠したんです。それを自分の晩酌用に、細切りにしたジャガイモと香ばしく炒めるわけですよ。僕、小さい時に、外国の缶詰にものすごい憧れがありましてね、『トムとジェリー』とか見てると、缶詰をぱかっと開けて、ハムとかチーズとか出して、それをサンドイッチにして食べるんですよ。

嶋:オイルサーディンの缶、こんなネジみたいなので開けるんですよね。そもそも『トムとジェリー』のアニメでジェリーのネズミのベッドは、オイルサーディンの缶なんですよね。

黒川:そう。しかも古い時代のクルクル巻くやつ。あと僕がその時代、欠かさず見ていたのは、グラハム・カー『世界の料理ショー』。グラハム・カーは今でいう料理研究家なんですけど、彼が毎回キッチンでジョークをずっと言いながら、1品、2品作り上げる。

嶋:森さんの缶詰との出合いは?

森:私は昭和37年(1962年)生まれなんですが、缶詰は高級品だったんですね。親に食べさせてもらったのは、桃の缶詰。熱を出したりして果物しか食べられないという時に食べたというのが、イメージに残っていますね。

缶詰の開発から販売まで

3回に分けプレートで出された缶つま。好みのお酒と一緒につまむ

嶋:「缶つま」は新たなトレンドを作りましたね。

森:缶詰の販売は100年以上前、1887年からなんですよ。

嶋:会社は江戸時代に創業されたとお聞きしました。

森:企業的には300年以上経っているんですが、もともとお醤油を作っていて、今は食品とお酒の卸しをやっています。酒の売り場もたくさん持っていますので、他社と差別化するためにも、じゃあ、つまみやっちゃおうか、と。2009年にレシピ本や黒川さんとの出会いがあって、2010年から「缶つま」を販売開始しました。

嶋:平均500~600円と価格帯が高めなのは、やっぱり素材を厳選するというところがあるんですか?

森:プレミアムシリーズは、国産の素材を使って顔が見える内容のものとなっている。箱に仕立てたというのも、缶詰のラベルだけだと情報が少なくなってしまうんですね。箱だとそこに中身のことを色々書けて、中身が見える(わかる)ということ。中身が見えないというお客様からの不満点もあったので。500円も出して失敗したらどうしようということも出てきてしまうかと思うんですね。

缶詰を温めるスタッフ。来場者には、一番おいしい状態で出される

ふたを開ける前の缶詰を熱湯に入れて3分放置。これで缶詰が劇的においしくなる

缶詰博士が絶賛する、意外な缶詰とは?

嶋:黒川さんがすごく褒めていた「ゆば」の缶詰があるらしいですね?

黒川:ゆばの一大産地・日光のものです。京都のゆばは、引き上げるときに一番端っこに串を通してすっと引き上げる。それに対して日光は、真ん中に串を通して引き上げるから二重になるんですよ。だから厚みが出る。歯ごたえのあるゆばをクルクル巻いて筒切りにして油で揚げた「揚げ巻きゆば」が、日光の特産品なんです。その缶詰が日光で作られているんですよ。

嶋:これ、めちゃくちゃ手間かかりますよね?

黒川:おばちゃんたちが丹精込めて作っていますし、そのクルクル巻いて筒切りにして油で揚げたものを上品なだし汁に入れてねぇ。加工食品ではあるけど、もう料理じゃないかと。缶詰って、もともと変な悪いイメージが昔からあるんです。半端なもの、余った原料を使っているとか、旬の時期を外れたものを使っているとか。でもそれはすべて都市伝説で、原料も最高のものを使っているんです。

嶋:そう考えると、クールジャパンと言って日本のアニメとか売っていますけど、同じように日本の缶詰を紹介するってのはアリですね。2020年に向けて。

森:これだけ種類が豊富で、色んな缶詰が出ている国っていうのは多分ないと思うんですよね。

嶋:外国の方が食べたら結構衝撃ですよね。もし、僕らが湯葉の作り方まで解説できたら、外国人の方は相当喜びますよね。

黒川:缶詰って食文化もギュッと詰まっているんですよ。

最後に、1缶5000~10000円する国分さんの缶詰をゲットするため、来場者と博士のじゃんけん大会


黒川氏は、干し大根の生産量日本一の宮崎県田野町のたくあんメーカーが作ったたくあんの缶詰や、1年寝かせてから販売し、あえてヴィンテージと謳う青森県八戸市の八戸鯖水煮缶、また世界中のシェフが絶賛し、海の生ハムと言われるスペインのエリテアンチョビ、タイのバジルライスなどのタイ飯のシリーズなど、海外のおすすめ缶詰も紹介。

2時間という限られた時間の中で、12種類もの缶つまを試食した。また缶詰の誕生秘話、生産者と職人の魂が注入されている質の高い日本の缶詰、ひと手間で劇的においしくなる缶詰の食べ方など、身近で簡単に食べられる缶詰だからこそ、おいしさを追求し飽きさせない工夫がなされているという缶詰の裏話。作り手の思いがギュッと詰まった缶詰は、一品料理としてお酒とともに味わいたいものである。

(文:虹乃そら)

■イベントで振る舞われた缶詰リスト(全12種)

人気商品のひとつ「缶つまプレミアム 北海道・噴火湾産ほたて燻製油漬け」。桜チップで燻した香ばしいうまみ

プレミアムシリーズ。「日本近海どりオイルサーディン」はエキストラバージンオイルに浸かった国産イワシにはEPA、DHAがたっぷり

バラ肉を使用して作った「缶つま熟成 霧島黒豚ベーコン」。肉のうまみがふわっと広がる熟成ベーコン

缶つま匠シリーズ(8/17に発売)
缶つま匠 おつまみチャーシュー648円
缶つま匠 国産牛すじ軟骨どて煮(関西風)648円
缶つま匠 焼鳥おび肉塩だれ540円
缶つま匠 ラムタン香草焼風648円

缶つまプレミアム 広島県産かき燻製油漬け572円
缶つまプレミアム 北海道産ほたて燻製油漬け464円
缶つまプレミアム 日本近海どりオイルサーディン486円
缶つま コンビーフユッケ風399円
缶つまレストラン 厚切りベーコンのハニーマスタード味432円
缶つまSmoke 鮭ハラス432円
缶つま熟成 霧島黒豚ベーコン648円

※価格はすべて税込み


嶋浩一郎(しま・こういちろう) 博報堂ケトル
1993年博報堂入社コーポレートコミュニケーション局で企業の情報戦略に関わる。2000〜01年朝日新聞社に出向、若者向けタブロイド紙「SEVEN」編集ディレクター。04年本屋大賞設立に参画。06年既存の手法にとらわれないクリエイティブエージェンシー博報堂ケトルを設立。
カルチャー誌「ケトル」の編集長でもあり、2012年から下北沢でビールの飲める書店B&Bを経営。
博報堂ケトル - HAKUHODO Kettle Inc.

黒川勇人(くろかわ・はやと) 缶詰博士・タレント
1966年福島県出身。会社員生活、出版社勤務を経てフリーライターとして独立。2004年世界の缶詰を紹介する『缶詰Blog』を開始。『缶詰博士』(公益社団法人日本缶詰協会公認)として、様々なメディア出演や執筆活動で活躍。これまで世界46カ国・数千缶の缶詰を食している。常に3000缶のストックがある。世界一の缶詰通。
缶詰blog

森公一(もり・こういち)
国分株式会社マーケティング部オリジナル商品担当副部長。1986年国分株式会社入社。入社19年間大阪にて小売店向け酒類卸売営業に従事。2005年、加工食品カテゴリーの自社商品(K&Kブランド)開発部門に移る。
国分株式会社 ウェブサイト
缶つま倶楽部

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