上海で話題騒然! レストラン「ウルトラヴァイオレット」は住所も料理も謎だらけ

2017.6.7 (水) 07:00

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草原でのピクニックをイメージしたシーン

上海で2012年にオープンして以来話題の、有名なレストランがある。実はレストランであってレストランでない、それにみんなが聞いたことがあるのに詳細を知らない、そんな不思議なレストランだ。

住所がない秘密のレストラン

ウルトラ・ヴァイオレットと言う名のこのレストラン、実は所在地が明かされていない。予約完了時に指定される集合場所に全員が揃ったところで、目張りをした車で工場のような会場へ往復すると言う仕掛け。上海在住者でも何処なのかがどうしてもわからない、謎めく所在地らしい。

メニューは全20コースにドリンクのペアリング。ドリンクはありきたりのワインだけでなく、お茶やソーダ、ジュース、水やスピリッツと多岐にわたり、すべて料理との相性を計算したセレクションだ。

潜在意識にある味覚を破壊する食体験

世界を渡り歩いて来たフランス人シェフは、上海の業界ではすでに名うての料理人。長年の夢だったと語る、洗練されたアヴァンギャルドな料理と、ダイニングルーム全体の演出の融合が織りなす「五感で味わう新感覚の食体験」を展開させたのがこのレストランだ。つまり光や音、音楽、温度、風、香り、視覚で食事を味わうというもの。真っ白な飾りのない無機質の部屋に、プロジェクションマッピングで映し出された風景、温度や風、香りを加えることによって、今までになかった食体験が完成するのだ。

イギリスの雨をイメージしたシーン

イギリスの雨をイメージしたシーン

上海の夜景をプロジェクトマッピングしたシーン

上海の夜景をプロジェクトマッピングしたシーン

秋の森の土の匂いが漂う場面であったり、波打ち際の海辺の音、カモメの鳴き声、潮の香りであったり。次から次へと、20コース20シーンがリズムよく食事とともに現れる。吹雪の演出で、寒さを感じながら口にする料理は、この上なく新鮮さが際立ち、感覚が研ぎ澄まされていることを身をもって体験できるというもの。ディナーショーではなく、シーンそのものに自分と周りの人、それに料理が同化することによって五感をフルに稼働させて食事が出来る。潜在的に持ち合わせる心理的味覚(食べる前から想像している常識的な味)は、これまでの経験や記憶から成り立っており、これを打ち破ろうというのがウルトラヴァイオレットの試み。チョコレートにそっくりのフォアグラは、視覚で頭脳が甘いものと判断しているのに、味覚はしょっぱさを感じると言ったサプライズ。トマトにそっくりなイチゴのガスパッチョ、キッチンに積み上げられた汚れ物にそっくりな料理など、ユーモアを交えつつ固定概念を見事に裏切られる料理も交えた20コースはあっという間だ。

キッチンの汚れ物に見える料理は、ライチやバラ、ラズベリー製

キッチンの汚れ物に見える料理は、ライチやバラ、ラズベリー製

チョコレートに見えるフォアグラの一品

チョコレートに見えるフォアグラの一品

ランスの山モンブランに見立てたデザートは、ヤクルトが材料

フランスの山モンブランに見立てたデザートは、ヤクルトが材料

芸術的に美しいチーズのサラダ

芸術的に美しいチーズのサラダ

中国都市部での飽くなき食への好奇心

毎晩10名限定で、一人4,000元(約64,000円。2017年6月取材時)の一律料金。にもかかわらず1か月先に空席があればラッキーだと言われるほど。いろいろな意味で予約困難だが、口コミサイトは常に満点、さらに2016年にはミシュランの2星も獲得している。

歴史的に外国人居住者が多く、中国でも特に自由な気風のある上海。地元の若い富裕層の台頭や、中間所得層の増加に伴い、新しい体験や外国の物を積極的に取り入れる姿勢が加速中だ。

(文:伊勢本ゆかり from上海、画像提供:ULTRA VIORET Photo: Scott Wright of Limelight Studio)

ウルトラヴァイオレット

■取材国・都市:中国・上海

伊勢本ゆかり(いせもと・ゆかり)

ヨルダン、ドバイの中東12年半を経て、上海経由蘇州が現在地のライター。編集協力『ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか』、共著『ニッポンの評判』他、中東と中国の情報を機内誌や雑誌、機関紙等に寄稿中。

Global Press


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