【プレミアムフライデー連載】文筆家・甲斐みのりさんに聞く「映画とビールな金曜日。」

2017.8.18 (金) 07:00 PR サントリービール株式会社

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甲斐みのりさん

「プレミアムフライデー」が始まって半年。どんな過ごし方をしているだろうか。ちょっと遠くの店まで足を伸ばしてみたり、思い切って週末旅行に出かけたり……。

家へ帰ってのんびり休みたい!という人には、家飲みがもってこい。そのお供になるのが映画や音楽、本やコミックだ。この連載では、プレミアムフライデーの相棒を見つけるべく、カルチャー通の人々にお気に入りを教えてもらう。

今回、お話を聞いたのは文筆家の甲斐みのりさん。パンやお菓子、それらの包装、さらには建築や旅と、興味の範囲も著作のジャンルも幅広い。そんな甲斐さんがおすすめするプレミアムフライデーの過ごし方は、大好きな映画をのんびり見ること。

好きな映画はいつも憧れの対象だった

――今回、好きな映画を何作があげていただきましたが、すごく共通している雰囲気がありますね。

そうですね。自分が中高生だった10代の頃に観た作品ばかりです。どれも少女が生き生きと描かれていて、大好きなんです。

――まず、最初の作品はTSUTAYAでの人気企画である「NOTジャケ借」形式で紹介してください。

「美少女」としましたが、今の時代における美少女というより、当時の美少女ですが、今見てもとにかく、かわいい。それに、夏の感じがすごく出ていて、夏休みに観たい映画でもあります。

――『つぐみ』ですね。吉本ばななさんの小説「TUGUMI」が原作の映画で、主役が牧瀬里穂さん。観たきっかけはやはり小説でしょうか?

はい、もともと小説が大好きで。実は、この小説は中学一年生の頃に隣の席の男の子が貸してくれた本なんです。いつも喧嘩ばかりしていた子だったんですが、土曜日の放課後にいきなり差し出されて、こんなにきれいで大人びた本を読むんだって知って……そこから恋に落ちました(笑)。ちょっとクサすぎるエピソードですけど。

その後、映画になると知って、それでも映画館で見るお金はないから図書館で観たんです。あの頃はDVDじゃなくてレーザーディスクでした。無料だったし、リクエストもできたし、図書館でたくさんの映画を見ている時期でした。

『つぐみ』は、本当に牧瀬里穂さんの絶妙なかわいらしさがすごい、と思って。設定として主人公のつぐみは、意地悪だけど病弱で、繊細だけど気が強くてっていう、もうこれ以上ないくらいすごいかわいい設定なんですよ。それを牧瀬さんっていうかわいい人が演じていて、とにかく憧れでした。

甲斐みのりさんのオフィスは、本やCD、そして素敵な雑貨でいっぱい。

甲斐みのりさんのオフィスは、本やCD、そして素敵な雑貨でいっぱい。

甲斐みのりさんのオフィスは、本やCD、そして素敵な雑貨でいっぱい。

――特に好きなシーンはどこですか?

お風呂掃除をしているなかで歌うシーンがすごく印象的でした。「キリンのワルツ」という歌なんですが、自分でも歌ってみたりして。
去年、西伊豆に旅行に行ったんですが、当初は特につぐみを意識していたわけじゃないんです。でも到着してから「ここ『つぐみ』の町だ!」と気がついて。舞台になった旅館は取り壊されていたんですが、近くに神社があったり、海に向かう道があったり。もともとロケ地巡りも大好きなので、すごく嬉しかったです。帰ってきてからもう一回映画を見直したら懐かしさがこみ上げてきて。10代の頃の自分って、その時の自分とは違う環境に憧れるというか、ここじゃないところに行きたいって思うんだったと、当時の気持ちを思い出しました。

数珠繋がりで興味が広がる楽しさを教えてくれた作品

――当時の切ない気持ちを思い出す作品としては、次の『東京上空いらっしゃいませ』も同じでしょうか?

そうです。これも牧瀬里穂さんが主役です。なぜか、名女優の名演技の映画というものにほとんど興味がなくて、アイドルやデビューしたての女優さんのたどたどしい演技に惹かれるんです。

歌でも一緒なんですけど、ものすごく上手な歌手よりもアイドルが歌っている姿の方が好きで。きっと自分に近い存在に感じられるからだと思います。特に10代の頃は、憧れの対象で、かわいいな、こうなりたいなって思う存在に興味があって。

――特に印象に残っているシーンはどこですか?

最後に牧瀬里穂さんが歌って、中井貴一さんがトロンボーンを吹くシーンがあるんです。井上陽水さんの『帰れない二人』という歌で、幼いながらにすごくかっこいい東京のシーンだ!って思ったんですよね。で、この時に井上陽水さんの歌に興味をもって、他の作品を聴いてみたりもしました。

それに、それまでは映画の監督さんという存在に気がついていなかったと思うんですけど、もともと好きだった『台風クラブ』という映画とこの『東京上空いらっしゃいませ』が同じ監督さんなんだ!と気がついて。相米慎二さんなんですが、そのあと相米さんの作品をもっと観てみたいと思って探したりもして。

この作品はそうやって数珠繋がりで興味の対象を広げるというか、そこからいろんな文化を知るというか、そういうことの楽しさを教えてくれた作品でもあります。

家飲みで見るなら、10代の頃の切なさを思い出す作品を

――なるほど。甲斐さんの好きなものの幅広さはそうやって培われてきたんですね。次の『BU・SU』は、どういう興味がきっかけで観た作品でしょうか?

まず、タイトルが強烈だなというのと、富田靖子さんに注目していた時期だったんです。当時は今みたいにネットで情報を仕入れるということはなくて、図書館のキネマ旬報とかの映画雑誌でいろんなことを知るという状況でした。そのなかで、今注目の若手女優さんとして紹介されていたんです。

主人公は、性格ブスという設定で、コンプレックスの塊みたいな女の子なんですね。その子が神楽坂で芸妓さんの修行をしながら成長していくという話。コンプレックスから解放されて、進みたい方向を見つけてどんどん変わって成長していく感じがすごく良くて。最後に学祭で『八百屋お七』の人形浄瑠璃を演じるシーンがあるんですが、見るたびにいつも泣いてしまいます。昔は主人公と同じ目線で見ていたんですけど、今はあの頃の自分を見守っている視点も混ざってきてしまいます。

――そう考えると、先にあげてくださった『つぐみ』と『東京上空いらっしゃいませ』も女の子の成長物語といってもいいかもしれませんね。

はい、そういう物語に弱いみたいです。みんなそれぞれコンプレックスとか葛藤とか悩みがあって、それと戦っていく感じ。その戦い方の表現は穏やかだったり静かだったりするんですが、戦う中で成長していってるんですよね。そういう姿を見て、当時は自分もそうなりたい、早く自分も向こうにいきたいって思っていました。名女優さんよりも、アイドルやデビューしたての女優さんみたいに近い存在が演じていると、より共感しやすいので好きなんだと思います。

当時のキュンとする気持ちを友達と共有しながらワイワイ見るのが好きで。家でお酒を飲みながら見るなら、ゆるっと気を抜いて楽しめるものがいいですね。

ビールを飲む時にはいつもこのグラス。「大阪の雑貨店『saji』さんで購入したものです。ガラス学校の研修生さんの作品だとかで、ガラスの揺らぎがあったり、形が不ぞろいなのがいいなと思って」

ビールを飲む時にはいつもこのグラス。「大阪の雑貨店『saji』さんで購入したものです。ガラス学校の研修生さんの作品だとかで、ガラスの揺らぎがあったり、形が不ぞろいなのがいいなと思って」

沖縄のアンテナショップで購入するという『天使のはね』。「ふわふわでティッシュみたいな食感なんですけど、すごくおいしいんです。音がしないから映画を見ながら食べるにはぴったりのお菓子です」

沖縄のアンテナショップで購入するという『天使のはね』。「ふわふわでティッシュみたいな食感なんですけど、すごくおいしいんです。音がしないから映画を見ながら食べるにはぴったりのお菓子です」

――大人になってからの映画ではどうでしょうか?

変わらず、女性を描いている日本映画が好きですね。日本映画が好きということで、映画監督の井口奈巳さんと知り合ったんですが、この『ニシノユキヒコの恋と冒険』では、一緒にイベントをやったりしました。実は、エキストラとしても出させていただけて。すごく嬉しかったです。井口監督は女性を描くのが本当に上手で、この作品の主役であるニシノユキヒコは竹野内豊さんが演じていますが、それを取り巻く女優さんの方に注目してしまいます。それぞれの色っぽさや弱さ、かわいらしさがすごく上手に表現されていてさすがだと思いました。これも女性の成長物語と言えるかもしれません。今まで紹介した少女映画の先のことが描かれている作品かも。最後のシーンがすごくいいんですよ。涙の撮り方がすばらしくて。

――どういうシーンですか?

あまり詳しく話すとネタバレになるので難しいんですが、中村ゆりかさんが演じるみなみが、ポロリと涙を流すんですね。その涙の中に映画に出てきた人たちみんなの思いがつまっている感じがするんです。

あとは、東京のシーンが多く出てきて好きです。日本映画を好きな理由として、自分が実際にいる世界の風景を映画の中でも観られるのが楽しいということがあるんです。距離が近いというか。普段知っている場所とか街とか、かつてあった風景でもいいんですけど、それらが映像として残されていると安心します。最近は街が変わっていくことが多いので。

昔ながらの酒場のシーンを楽しむ日本映画

――西伊豆では『つぐみ』のロケ地を巡られたとおっしゃってましたが、他の作品でもロケ地をまわることは多いんですか?

ロケ地巡りは、すごく好きです。『BU・SU』の神楽坂にも行って、出てくる場所で写真を撮ったりして。西伊豆では、喫茶店のマスターと映画の話で盛り上がりました。旅先で地元の人と話すきっかけにもなるので楽しいんです。

ロケ地巡りの楽しさを知ったのは学生の頃です。ゼミの先生は映画評論家でしたし、映画を見るサークルにも入っていました。実際に行ってみるとこんな危ない場所で撮ってたんだ、こんな狭いところだったんだって知ることができておもしろいんですよね。それまで見ていた街が違ったものになる。ドラマチックに見えてくるんです。

――それまで見ていた街が、ドラマチックに変わるというのはすごく素敵なことですね。

そうなんです。著書の『東京でお酒を飲むならば』では、井口監督と酒場と映画に関する対談をしながら、上野の酒場とか酒場じゃないけれどお酒が飲める場所を巡ったりもしました。映画に出てくる酒場に注目していた時期があったんです。サントリーバーのシーンが見たくて、出てくる映画を探してはDVDを買ってそのシーンだけ何度も見たりして。対談でも話しているんですが、ベタですけど『ALWAYS 三丁目の夕日』の酒場のシーンを見ると、昔の酒場ってこんな感じだったんだなーと思うんです。あとは『夜の蝶』や『女が階段を上る時』は銀座のバーが舞台になっていておもしろいんですよ。井口監督の『人のセックスを笑うな』でも、居酒屋でお酒を飲むシーンが好きです。

酒場を含めて、東京をはじめとする日本の風景が見られる映画が本当に好きなんです。何回も一時停止して見てしまいます。知っている街なのに知らない風景が出てくることもありますし。家でDVDを見るからこそ、そういうシーンを何度も楽しめるんですよね。


甲斐さんの興味の対象は幅広い。一つの映画から別の作品へ繋がり、歌や食へと広がり、ロケ地巡りにまで発展していく。

身近な場所が出てくる映画や、10代の頃を思い出す作品は、お酒を飲みながら見ていると、きっと盛り上がることだろう。いろいろな思い出が数珠繋がりで出てきたり、他の作品を思い出して観たくなったりするかもしれない。これぞ、家飲みだからこそできる楽しみ方。ビール片手に、ぜひどうぞ。

甲斐みのりさん

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公式サイト(http://www.suntory.co.jp/beer/premium/)


※お酒は二十歳になってから

(インタビュー・文:晴山香織、撮影:MASA(PHOEBE))

甲斐みのり

文筆家。1976年静岡県生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。お菓子やパン、旅やクラシック建築めぐりなど、女性が好んだり憧れたりするモノやコトを主な題材にし、書籍や雑誌に執筆している。「叙情あるものつくり」と「女性の永遠の憧れ」をテーマに雑貨の企画・イベントを行う「Loule」も主宰している。近著に『お菓子の包み紙』(グラフィック社)がある。

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