最終回「おんな城主直虎」イケメンお花畑と見せかけて、外れ者たちのシブ〜い大河ドラマだった

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「おんな城主直虎 四 ノベライズ」NHK出版

NHK 大河ドラマ「おんな城主 直虎」(作:森下佳子/毎週日曜 総合テレビ午後8時 BSプレミアム 午後6時)
12月17日(月)放送 最終回「石を継ぐ者」 演出:渡辺一貴

再放送は、12月23日(土)13時5分から
総集編は、12月30日(土)13時5分から

急に弱る主人公


もうずーっとやたら元気だった主人公の直虎(柴咲コウ)が、突如咳き込みはじめ、最終回とはいえ、途中で亡くなってしまう。
井戸の前で、満足そうに眠るような死に顔は、さながら「マッチ売りの少女」か「あしたのジョー」かという風情だった(どちらも燃え尽きます)。合掌。

主人公は早いうちに亡くなるが、放送時間は拡大され、トピックスが盛りだくさんだった。

直虎、最後の大仕事となった、明智(光石研)の子供・自然(田中レイ)を救う場で、信長(市川海老蔵)にもらった茶碗が役立った驚き。
子供時代のおとわ、亀之丞、鶴丸の幻が出てくる衝撃。
残された万千代(菅田将暉)が、井伊と小野の名前をとった“直政”という名で元服するときの感動。
さらに、成人した直虎、直親(三浦春馬)、政次(高橋一生)が碁を打つ高揚感(三浦、高橋の顔を映さないという上品さ)、そして、猫・・・SNSは沸きに沸いた。

演劇ドリームチームの活躍


家康をはじめとしたチーム徳川の面々も活躍した。
本能寺の変が起こり、伊賀越えの際、小芝居を打って危険を切り抜けた家康(阿部サダヲ)は、急激に芝居がうまくなり、織田の弔い合戦をするとしれっと言い、豆狸っぷりを発揮する。
「直虎」の家康は、狸は狸でも「豆狸」。これまでもちょいちょい「豆狸」と呼ばれてきたが、阿部サダヲのハダカの後ろ姿もなんだか豆狸っぽく、これで名実共に「豆狸」化したといえるだろう。

直虎が風邪をこじらせたか労咳だかで亡くなってしまったあと(史実的には本能寺の変から約3ヶ月後とされている)、徳川が北条と戦い、和睦に成功すると、家康が狸の扮装で、歌い踊る場面は傑作。
このとき歌い踊っているのは、氏真(尾上松也)、忠次(みのすけ)、本多正信(六角精児)と家康(阿部サダヲ)で、歌舞伎、ナイロン100℃、大人計画、扉座と、49話の劇団徳川以上に、演劇人のドリームチームといっていい。
ここに、近藤(劇団☆新感線の橋本じゅん)が入っていれば、さらに、松・竹・梅と三代をひとりで演じた梅沢昌代(文学座、演劇集団MODE)もいれば・・・とも思ったが、いやいや、これ以上は望むまい。

それはともかく、演劇人たちの羽目をはずしまくった踊りの場面が、単なる賑やかしでないように思えてならないのだ。それは、この場面の前に、万千代(菅田将暉)たちが北条を説得しに赴いたことと関わっている。

みんな外れ者ばかり


万千代たちが北条に和睦を促すとき、木を伐るしか能のない奥山(田中美央)、逆賊として磔にされた者が出た家の子・万福(井之脇海)、潰れた家の子・万千代(菅田将暉)・・・と、こんな我らを家康は受け入れてくれたと言って説得する。
確かに家康は、瀬名(菜々緒)と信康(平埜生成)の命を間接的に奪うことになった忠次のことも、責めず、処分することもなかった。
このように、武芸に秀でた力の強い者がのし上がっていく戦国時代に、それができそうにない人たちでも、なんとか生きていけることを描いたのが「直虎」だった。12月30日(土)放送の総集編第三章のサブタイトル「逃げるは恥だが時に勝つ」(16年に放送された人気ドラマの題名をもじったもの)のような生き方が描かれたのだ。

それが、演劇ドリームチームが歌い踊る場面とどう関係があるかというと、「直虎」の時代、芸能をやる者たちは、家をもたない流れ者だったからだ。いまは違うが、世が世なら、歌舞伎俳優や演劇人は、かなりアンダーグラウンドの存在である。だから、彼らが歌い踊る徳川家を演じている姿に、当時の芸能を生業としていた者たちの魂が重なって見えたのだ。

外れ者たちの駆け込み寺に


直虎は南渓(小林薫)に、井伊谷の龍潭寺を、表の世界でうまくいかない人たちの駆け込み寺のような役割にしたいと語る。
直虎は、戦わない方法を探る一方で、どんな世界になってもこぼれ落ちる人たちのことにまで目を配っていた。さすが、還俗したとはいえ、尼だっただけはある。
明智の人質のようにしてやってきた少年・自然が、明智が死んだため命の危険を帯びたときも、彼をここで育て続けようとする。
自分の子をもったことがないからこそ、どの子も等しくわが子のように思える という直虎の台詞も印象的だった。

外れ者たちを華やかに彩った


12月16日に公開されたエンタメOVOにおける、制作統括の岡本幸江のインタビューが興味深い。
「女性の時代を象徴する作品という受け止め方もあった」のではないかという媒体記者の質問に対して岡本はこう回答している(一部抜粋)。
“私自身、一度もその目線からこの物語を作ったことはありません。男性に対する女性ではなく、メジャーに対するマイナー、強者に対する弱者が、自分の居場所や自分が生きる道をどう確保して切り開いていくかという目線で作ってきました”

だとしたら、オリジナルキャラクター・龍雲丸と直虎の恋愛エピソードがほんとうに必要だったか疑問は残る。女性が主人公で、しかも無名と、内容が地味な分、話題性を意識せざるを得ないこともわかるが、明らかに女性視聴者受けを狙ったと感じるイケメン俳優を揃えたキャスティングや、初期に放送された女子トークふうの宣伝映像などによって、ドラマに興味を失った視聴者もいただろうと思うと、惜しい。

直虎を取り囲むイケメンたちにしても、直親は家を追われた者、政次はお家の敵という汚名をかぶった者、龍雲丸は、家のない流浪の者と、全員、外れ者。潰れた家の子・万千代に、磔の刑に処せられた者の甥っ子・万福、武芸に秀でてない者・奥山、男主体の世界で行き辛い、跡継ぎ男子が産めなかった祐椿尼(財前直見)、子供を産まなかった直虎・・・等々、社会的弱者たちが生きるある種、影のある世界を、グランドロマン、少女漫画、ファンタジー、貴種流離譚などの華やかな要素を、そここに散らばせながら、明るい理想郷に塗り替えていく流れは、森下佳子の手腕に唸るばかりだ。

「真田丸」と黒白の関係


列強に挟まれた小国のサバイブを描く物語という点では、16年に放送された、三谷幸喜の「真田丸」と同じで、しかも、真田は豊臣側で、井伊は徳川側と、奇しくも敵味方に分かれた。それぞれの大義に貫かれて戦う2作を見ると、どちらが正義とは決めがたい。2作はまるで、囲碁の黒白の関係のようである。
ただ、この黒と白の碁石の大きな違いは、「真田丸」は小国とはいえ主人公は人気武将を中心に、一方「直虎」は無名の者たちの戦いであったことだ。
前述したように、主要な人物がほぼ王道から外れて生きてきた者ばかりで、そんな彼らの思いを、最後は直政が引き受ける。おまけに、潰れた武田軍まで引き受ける。
直政は、開拓者である直虎と似た視点をもっているであろう家康と共に、誰かが犠牲になることない世の中をつくるという、前途には希望の光が満ちていた。
家康が正妻を大事に想い続けたり、直虎が直親に恋をし、政次に支え続けられ、龍雲丸と女性としての生活を経験するという、様々な体験によって人として豊かになっていったりすることは、ありえないのかもしれないし、ありえたかもしれないし。どちらにしても、歴史をベースにした創作なのだから、これくらい夢は大きくていいだろう。

末端ながら木俣家の子孫である私としては、のちに、井伊家の筆頭家老として、井伊が江戸に行く間、彦根城を守っていく木俣家の先祖・守勝(柾賢志)が最後に出たので満足(最後に、直政から兜を取り替えられる人)。願わくば、菅田将暉主演で、大河ドラマ「井伊直政」を森下佳子に書いていただきたい(なんでも「卑弥呼」を描きたいそうだが)。
(木俣冬)

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柴咲コウ

生年月日1981年8月5日(36歳)
星座しし座
出生地東京都豊島区

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