「等身大の高校生」を大切に、丁寧に描いた青春映画『ハルチカ』橋本環奈×市井昌秀監督インタビュー

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市井昌秀監督と橋本環奈

市井昌秀監督と橋本環奈

累計60万部を突破した、初野晴の人気青春ノベル『ハルチカ』シリーズを、映画初出演・初主演の佐藤勝利Sexy Zone)と、同じく主演となるヒロイン役に橋本環奈を迎えて実写化。監督は、今年1月に『僕らのごはんは明日で待ってる』が公開されたばかりで、今年早くも2本目となる市井昌秀が務める。主演デビュー作『セーラー服と機関銃-卒業-』に続き、角川映画の40周年記念作品に連続して主演することとなった橋本と、佐藤・橋本ほか若手のフレッシュなキャストをまとめ上げた市井監督に話を聞いた。

橋本が演じるのは、廃部寸前の吹奏楽部を存続させようと奔走する女子高生の穂村千夏(チカ)。原作を読んだ橋本は「何事にもまっすぐというか…不器用ではあるんですけど、自分なりに考えて前を見ているところが凄く素敵だなと思いました」と第一印象を語ってくれた。また、同じ高校生の役としてチカに共感する部分もあったという。

橋本:車の中で練習するシーンがあるんですけど、セッティングの時とかもずっと練習していたんです。できないとずっとやっちゃうところなんかは似ているかもしれないですね。人前ではなくこっそり練習したりとか。できないことがあると凄く悔しいタイプなので」

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

そんな橋本の性格には、市井監督もチカと重なる部分を感じたとか。

市井監督:負けず嫌いなチカと環奈ちゃんは本当にリンクしている面があると思っていますね。まっすぐな鉄の角みたいな感じのイメージで。鉄だから折れるときは一気に折れるというか…そういうところが実際チカにあると思っていて。チカの弱さとか負の部分を環奈ちゃんの演技でしっかり引き出せたことが良かったかなぁと思っています。

橋本は“女子高生役”という意味で、前作の『セーラー服と機関銃-卒業-』と基本の設定は同じ。しかし、『セーラー服』は彼女の周りは大人の男たちばかりで、同世代との学園生活が描かれることはほぼなかった。そういった意味でもチカを通して橋本のリアルな高校生の姿を見ることになる。

橋本:同世代の方と一緒にお仕事することが今までほぼなかったので、現場はすごく新鮮でしたね。私が高校3年生になった時にこの作品を撮っていたので、(3月の卒業を前に)本当に高校生最後の作品というか、リアルな高校生というのは『ハルチカ』が最後なんだなと。チカが演奏するフルートだったり、共演者のみんなも一つ一つ楽器を練習していて、楽器は違っても同じ目標・曲を一緒に演奏するので団結力も高まって、『みんなで創り上げた』という達成感や、関係性も撮影の中で築けたものがそのまま出ているなと思います。朝現場に来たら、教室でその日の演奏の相談をしたりとか…みんな控室が一緒だったので、本当に学校生活を送っているような感じでした。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

橋本が言う『現場で生まれた関係性』というのは、市井監督が大切にした部分でもあった。

市井監督:全キャストには「基本は背伸びをせずにあくまで等身大で、そこから必要なキャラクターや要素を自分の中から出してください」と伝えていました。ちゃんと生きている等身大の高校生でいて欲しかったので、周りのキャストやエキストラの方々の影響も受けつつ、(佐藤演じる)ハルタとチカが特出してキラキラせずに“吹奏楽部の一員”というところは目指しました。環奈ちゃんは、意識的なのか無意識的なのか、ずっとチカをいい意味で引きずりながら現場にいてくれたことが本当に嬉しかったですし、勝利君も『ここぞ!』というところで引っ張る一言を言ってくれたりして、本当にハルタに近いところがありましたね。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

『ハルチカ』の撮影における橋本と佐藤のファースト・コンタクトは意外なところから始まった。それは…

橋本:初共演だったんですが、クランクイン初日にチカがハルタを蹴ったり、叩いたりするシーンがあって(笑)。ここを見ただけで、ハルタとチカの関係性が見て取れるシーンだと思ったのですごく大事にしたいと思いました。だから、勝利君や見ている人が引くくらい行く!というのをモットーに頑張りましたね。気持ち的には『ごめん!』と思いながらも、チカになったらもうそこは関係なしに行くんだって。

市井監督:思い出すよね。僕はリハーサルをクランクイン前には通常しないんですけど、ここは2回リハーサルしたもんね。

橋本:「もっとやって」って言われて、「はい!」って言いつつもちょっと戸惑うみたいな(笑)。逆にクランクイン初日がそのシーンで良かったなと思っていますし、これを乗り越えたからこそハルタとチカってこうなんだって言うのが最初でお互いに分かった気がして、勝利君とはその先もやりやすかったですね。

そして2人のクランクアップは、劇中でも印象的なシーンのひとつになる場面で締められることになる。

市井監督:チカとハルタの間に様々な積み重ねがあって、あのハグのシーンになるので…実はあれが最終日なんですよ。勝利君らしくないかもしれないけど、ぎこちない抱きしめ方というのは、ホントにすごく丁寧に演じてくれたなと思います。

橋本:結構関係性ができている中での、あのシーンだったので。結果、ハグから始まっていたら絶対できないようなシーンになりましたね。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

本作はいわゆる『青春映画』だが、市井監督が思う『青春』への考え方が、この作品を作る上でのこだわりの一つになっている。

市井監督:青春って、立ち止まらなければ続くものだと思ってますから、今も青春だと思っているんですけどね。でも、高校時代の3年間というのは、今よりも濃厚というか…。かけがえのない時間だと思うので、いつも以上に「ちゃんと時間を紡ごう」とこだわった現場でした。

橋本:すごくリアリティがありますよね。キラキラした部分だけじゃなくて、挫折とかも含めて青春映画だと思うので。ちゃんとハルタもチカも挫折を味わっていて、個人個人でみんなが何かを乗り越える瞬間があるんですよね。成長している姿がしっかり映画の中に映し出されているなって思いますし、だからこそ、観ている人が共感できる映画になっていると思います。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

共感できるところ、と言うのは例えばこうだ。劇中、吹奏楽部が復活するまでは先頭を走っていたチカが、いざコンクールを目指すようになる段階では最後尾のポジションとなってしまい、周りの緊張感が高まって、それが一気に爆発するシーン。

橋本:チカがいない時にみんなで言い合うシーンがあるじゃないですか。そこも凄くリアリティがあって。このシーンは長回しなんですよね。しかも台本とは全く違うことになっているんですよ。(隣の教室で)モニターを見ていてとても感動して思わず泣きそうになりました。

市井監督:もうエチュード(即興)に近い感じで。完全に芝居を固めるのではなく『こういう方向で』くらいにして、ちゃんと(キャラクター同士)キャッチボールしていこう、とにかくちゃんと(その空間に)生きていようと。

橋本:クランクインする前に、リハで一回エチュードをやったらしいんですよ。私はいなかったんですけど(笑)。

市井監督:ただ、僕も本当にもう、怖かったですけどね(笑)。日が暮れそうな中で「本当にこれが最後、(これから撮る)これが全部OKシーンだから」ってみんなに伝えて。プレッシャーも感じながら、ドン! とやりましたが、感動しました。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

このような、吹奏楽部のメンバーを描く音楽的要素と、ハルタとチカの関係を描く要素。2時間弱の尺の中で、このバランス感はどう取られていったのだろう?

市井監督:能動的に「触れる」、もしくは意図しないところで「触れてしまった」というようなハルタとチカの距離感だったり、チカの頑張りを見てハルタの心が動く、ようなところを一個ずつ丁寧にやっていったんですね。それはハルタとチカだけではなくて、例えば宮本(平岡拓真)なら宮本で、チカに救ってもらったことでチカに対して恋心を持っている…といったような葛藤をひとりずつしっかり作っていったところはあるんですよ。はっきりと「好き」という描写はしていないし、あくまで想像させるくらいの感じにはしていますが。ほかにも例えば後半で吹奏楽部に入ってくる、ハルタの隣でホルンをやっている子とか。要は、ハルタを好きな子なんですが。そういうひとりずつの葛藤をしっかりと与えて。界雄(清水尋也)だったら元部長だけど、今の部長の片桐(前田航基)を支えようという意志で、最後まで駆け抜けていく。ひとりひとり、どういう目的で吹奏楽部にいるのかを押さえていたので、「バランスを取った」というよりは、ひとりずつの葛藤をしっかり形にしたという感じですかね。

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

(C)2017「ハルチカ」製作委員会

しかも、それをしながら、観客自身が考えを巡らすことができる余白まで作品に残しているのである。

市井監督:100伝えたいところをあえて、80しか伝えないで余白を残してあげることで、お客さんの想像によってそれが150、200になるかもしれない。そういう感覚は大事にしたいなと思っていますね。

『ハルチカ』でリアルな高校生を見事演じてみせた橋本は、この3月に卒業。女優として、社会人として次のステージをしっかりと見据えている。

橋本:気持ち的にもやっぱり社会人と学生っていうのは全然違いますし、自分の言動であったり、一つ一つの行動にも自覚を持ちたいなというのは思います。これからが楽しみですね、すごく。


映画『ハルチカ』
2017年3月4日(土)全国ロードショー

原作:「ハルチカ」シリーズ 初野晴・著(角川文庫刊)
脚本・監督:市井昌秀/脚本:山浦雅大
出演:佐藤勝利(Sexy Zone)、橋本環奈/恒松祐里、清水尋也、前田航基、平岡拓真、上白石萌歌、二階堂姫瑠/志賀廣太郎、小出恵介
配給:KADOKAWA

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橋本環奈

生年月日1999年2月3日(18歳)
星座みずがめ座
出生地福岡県

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市井昌秀

生年月日1976年4月1日(41歳)
星座おひつじ座
出生地富山県

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