新作映画『ムーンライト』を観るべき3つの理由――ハリウッドの新陳代謝を促す新世代による傑作

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(C)2016 A24 Distribution, LLC

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『ムーンライト』ってどんな映画?

マイアミの貧困地域に暮らす少年シャロン。学校では“リトル”のあだ名でいじめられ、家に帰れば麻薬中毒の母親が待っていた。そんな息苦しい日々のなか、偶然出会った麻薬ディーラーのフアンは、まるで父親のように幼いシャロンに接し、「自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな」と生きるすべを伝授する。やがて、シャロンは同級生のケヴィンに淡く切ない思いを抱くようになり…。主人公の少年期、思春期、成人期を通したアイデンティティの模索を描き、第89回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、脚色賞を受賞した。

観るべき理由:1――アカデミー賞作品賞受賞の“シンプル”な理由

前代未聞のハプニングで幕を閉じた第89回アカデミー賞授賞式。作品賞に輝いたのは、大本命『ラ・ラ・ランド』を抑えた『ムーンライト』だった。この結果には少なからず驚きもあったが、オスカー前哨戦と呼ばれる賞レースでは、『ラ・ラ・ランド』に勝るとも劣らない勝率を誇っていただけに、納得の結末といえるだろう。

近年叫ばれていた「白すぎるオスカー」という批判に対する配慮だという受け止め方もあるようだが、これは的外れだ。『ムーンライト』の大きな魅力は、高い芸術性と力強いメッセージ、それを引き出したバリー・ジェンキンス監督の手腕に他ならない。つまり作品賞を受賞した理由は、非常にシンプルなのだ。ジェンキンス監督は現在37歳で、長編は2作目。史上最年少の32歳で監督賞に輝いた『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼルも長編は3作目だ。こうした“新世代”の真価を見出し、背中を押すことで、アメリカの映画産業全体が新陳代謝を促そうとしている。そんなことを感じさせる今年のアカデミー賞だった。

観るべき理由:2――未知の先にある“共感”こそが、映画の醍醐味

貧困地区で生きる黒人少年が、さまざまな苦しみを乗り越える物語…と聞くと、日本で暮らす映画ファンの中には、「ちょっと重苦しいんじゃないかな?」と腰が引けてしまう人もいるはず。実際、アフリカ系アメリカ人を主人公にした傑作映画は数多く存在するが、見終わった後に「ちょっと、自分の世界とはかけ離れすぎていて…」と距離を感じた経験が少なからずあるかもしれない。

もちろん『ムーンライト』にも、舞台となるマイアミの麻薬をめぐる“闇”が刻まれているが、それはあくまで映画の風景に過ぎない。その闇を照らす“月の光”が、少年の抱く悩みや葛藤をビビッドに浮かび上がらせ、誰もが経験したほろ苦くロマンチックな思春期を思い出させてくれる。未知なる世界の先にある身近な共感こそ、映画の醍醐味。この春、新生活を迎える人にぜひおすすめしたい作品でもある。

観るべき理由:3――称賛に値するブラッド・ピットの鋭い“目利き”

本作の製作を手がけたのが、あのブラッド・ピットが所有する映画制作会社「プランBエンターテインメント」。2002年の創設以来、数多くの話題をプロデュースしており、マーティン・スコセッシ監督に初めてのアカデミー賞作品賞を授けた『ディパーテッド』をはじめ、実在の黒人奴隷が歩んだ波乱の半生を描いた『それでも夜は明ける』スティーヴ・マックイーン監督)も同作品賞に導いている。また、ブラピ自身が製作総指揮に立った『グローリー/明日への行進』は、黒人の有権者登録をめぐるデモ行進で起こった悲劇を描き、こちらはアカデミー賞主題歌賞を受賞している。

共同社長でプロデューサーを務めるジェレミー・クライナーは、本作について「脚本がとんでもなく素晴らしく、構成は特筆すべきエレガントさとシンプルさがあった」。いわゆる“売れ線”の要素は皆無に近い企画だったが、ジェンキンス監督の稀有なビジュアル感覚と、繊細な心理描写が胸を打つシナリオの可能性を見極めた鋭い“目利き”は称賛に値する。

(文・内田涼)


映画『ムーンライト』
2017年3月31日(金)全国ロードショー

監督/脚本:バリー・ジェンキンス
エグゼクティブプロデューサー:ブラッド・ピット
キャスト:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホーランド
提供:ファントム・フィルム/カルチュア・パブリッシャーズ/朝日新聞社
配給:ファントム・フィルム【2016/アメリカ/111分/シネマスコープ/5.1ch/R15+】原題:MOONLIGHT

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ナオミ・ハリス

生年月日1976年9月6日(40歳)
星座おとめ座
出生地英・ロンドン

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